第 ¾½ 章 物質中の電気磁気 集合することにより異質な極微が生じる。それらが集合と言わ れたのである。まさにそれらは知を生ぜしめる因である。 そして、極微のかの特殊性は他のもろもろの極微なくしてはな い。 ダルマキルティー ´法称µ 「知識論評釈」 ¾½º½ 誘電体 見ると,図 ´¾½º½µ のようになることがある。これ を物質の電気分極という。外部から電場をかける ½ 章で静電気の話をはじめたとき,電気を帯び と電気分極をおこす物質を誘電体 ´ Ð ØÖ ×Ù ¹ ていない紙は ·³ の電気にも ³ の電気にも引き ×Ø Ò µ という。 付けられるといった。これが誘電現象である。 個々の細胞内には電荷 Õ が Ö だけ離れて存 在する。ここで Ô Õ Ö を電気双極子 ´ Ð ØÖ 電場ベクトル ÔÓÐ µ という。単位体積内の電気双極を総和し たものを電気分極ベクトルといい,È と書く。·Õ のある位置を ÖÕ ¸ Õ のある位置を Ö¾ とすると, − + − + − + ÕÖ ´·ÕµÖ½ · ´ ÕµÖ¾ だから,物質全体の電気分 極は電荷密度 をつかって − + − + − + ¾½º½º½ 電気分極 ¦ È 分子 Ö Î Î ´¾½º½µ と書くことができる。 分極のしかたが場所によって異ると,全電荷は ¼ であっても,つまり 図 ¾½º½ 電気分極 原子や分子は内部構造を持つので,物質は 大きく見ると中性だが,細かく見ると電荷 Î が現れる。 ¼ ´¾½º¾µ であっても,局所的に電荷が現れる。次の図 物質は原子からできている。原子は電気的に中 · · · 性である。しかし,それは ·³ の原子核と ³ の電 子からなる構造を持つ。原子核と電子は強く結び から予想されるように,局所的に現れる電荷密 付けられているので,それらは電場のなかに置い 度は ても離れないかもしれないが,電子の分布は歪む。 ÚÈ ´¾½º¿µ Ô 物質は大きく見ると電気的に中性だが,細かく ¾¼ ¾½º½º ¾¼ 誘電体 である。じっさい,電荷密度がこの式で表せるな によって電束密度 ら,その物体の分極は誘電体を内部に含む体積領 域で積分によって Ô Ö´È ¡ Òµ Ö Ë ÚÈ Î · ´È ¡ Ö µÖ Î Î Ö È を定義すると ¾ Ú ´¾½º µ である。 電場 のなかで,物質がどれだけ分極し,どれ くらいの電束密度になるのか,物質内で働く複雑 な力の働きを考察するのは困難である。そこで, この部分で実験値にたよることとする。弱い電場 のなかでのわずかな変化は一次関数で表せるので, Î ´¾½º µ と表せるが ½ ,この式はこの物体は単位体積あた り È の分極をしていることを示している。 ¯ ´¾½º½¼µ とおく。比例係数 ¯ は誘電率と呼ばれ ¿ ,一定の温 例 ¾½º½ 電気的に中性の誘電体が電気分極 È を 度や圧力のもとで物質ごとに特有の値をしめす。 持つとき,誘電体の表面に現れる電荷の面密度 を求めよ ¾½º½º¾ 電場は測れるか 解 誘電体の表面の一部を低面積 Ë ,高さ Æ の小さ これまでの章で,私たちは真空中にわずかな数 な円筒で囲み,´¾½º¿µ 式をその領域で積分する。表面 の電荷があるというイメージのもとで電気,磁気 の単位法線ベクトルを Ò とすると,誘電体の外部では 現象を考えてきた。このイメージのもとで,電場 È ¼ だから, は真空中に置かれた試験電荷に働く力によって定 義された。しかし,物質中は真空ではない。私た ちが識別できるスケールのなかには,事実上,無 この物体のなかに,その物体のものでない密度 限といってもいい量の原子があり,電子が存在し の電荷を外部から持ち込むとガウスの法則は ている。私たちが識別できるスケールの真空など, どこにも存在しない。では,どうすれば電場が測 Ú ´ Ú Èµ ´¾½º µ れるだろうか マクロな物理にはミクロな物理とは異なった取 となる。分極によって生じる微視的な電荷は巨視 り扱い方がある。たとえば,物質の性質は原子間 的に見えないので, に働く力によって決まってはいるが,私たちはそ のような力を,直接,見るようなことはない。物 · È ´¾½º µ 質の比熱とか圧縮率といった量を測る。ここで重 ´È ¡ Òµ ´¾½º µ ½ ¾ ここで体積領域の境界面 Ë は誘電体の外にあり,したがって表面積分は ¼ である 電束密度の次元は,とうぜん,電場の次元と等しく, Ž ¾ Ä ½ ¾ Ì ½ である。ËÁ 単位系での電束密度 Ö ¯¼ によって移ることができる。ËÁ 単位系での単位は Ñ ¾ × ¿ ËÁ 単位系へは ¯ によって移ることができる。 ¯ËÁ ¯¼ へは ´¾½º µ ËÁ であり, ËÁ Ѿ と書く。 ´¾½º½½µ ¾¼ 第 ¾½ 章 物質中の電気磁気 要なことは,圧力とか温度といった量をきちんと ¿ 導体表面に現れる電荷の面密度 ½ ¸ 誘電体表面 制御して物理量を測るということである。物質の に現れる電荷の面密度 ¾ を求めよ。 比熱は圧力一定の条件で測る場合と,体積一定の 誘電体の裏表に現れる電荷の作る電場 ¿ を求 条件で測る場合で値が異なってくる。マクロな物 めよ。 理では何を制御するのかを明確にしておかなけれ ばならない。 解 電場は静電ポテンシャルの勾配だから, ¼ の大 きさは Î である。電極表面に現れる電荷の面密度 誘電体を扱う時,たとえば,コンデンサーの間 は,ガウスの法則から ¼ ¼ から決まる。 に誘電体を挟み,コンデンサーの極板間の電圧を ¼ 誘電体表面の法線ベクトルを Ò とし 電池によって一定に保つというような制御の仕方 Ú ÚÈ をする。コンデンサー上の電荷を一定に保っても よいが,測定される物理量の値は変わってくる。 を誘電体の表面を囲む領域で高さ Æ の領域で積分す コンデンサーの極板間の電圧を一定にすると考 ると, えよう。誘電体を挟んでいない時,極板間の真空 ´ ½ ¾µ ¡ Ò ´¼ ȵ ¡ Ò には電場 ¼ ができる。この電場は外部電場と呼 θ ¾ ¯ ¾ È だから, ¾ · ½´ µ ¾· ばれる。コンデンサーの極板間の距離を ,誘電 だから, 体板の厚さを ´ただし, µ とする。この誘 Î Î 電体を極板間に挿入すると,極板間の電場は外部 ½ ¾ ½ ´½ ¯µ · ¯ ´ ¯ ½µ · 電場とは異なったものになる。誘電体内部の電場 ¾ はもちろんのこと,極板間の真空部分の電場 である。 ½ も ¼ とは異なる。 導体表面に現れる面電荷 ½ は ½ ½ からも ½ は微視的に測定できるが, ¾ は測定でき とまる。誘電体表面に現れる面電荷 ¾ は ¾ È ない。しかし,電圧はきちんと制御されており, Ö の関係があるから, ½ が分かれば, からもとまる。 誘電体の表裏面に現れる面電荷 ¾ の作る電 ¾ がいくらでなければならないかが分かる。こ 場 ¿ È は分極電場とよばれる。 のように物質中の電場は間接的に測られるもので ある。 ¦ ¾½º½º¿ E1 a E0 b E2 図 ¾½º¾ 誘電体内の電場 誘電体に蓄えられるエネルギー 平面キャパシターに電荷を持たせたとき,金属 平板間の真空中には,単位体積あたり Û ¾ ´¾½º½¾µ 例 ¾½º¾ ½ 距離 離れた ¾ 枚の導体平板のあい のエネルギーが蓄えられた。この金属平板間に誘 電体をはさんだとき,その物体にはどれだけのエ だに電位差 Î をかける。平板間に生じる電 ネルギーが蓄えられるであろうか。 場 ¼ の大きさを求めよ。導体表面に現れ 誘電体の表面の法線ベクトルを Ò とする。この る電荷の面密度 ¼ を求めよ。 法線ベクトルは金属内部に向いている。誘電体中 ¾ 導体間の電位を一定に保ったまま,厚さ ¸ 誘 ではガウスの法則が ´¾½º µ で表されるので,金属 電率 ¯ の誘電体を挟む ´¾½º¾ 参照µº 導体間 表面に現れる電荷は単位面積あたり の誘電体のない部分の電場 ½ の大きさ,誘 電体内の電場 ¾ の大きさを求めよ。 ½ ´ ¡ Òµ ´¾½º½¿µ ¾½º½º ¾¼ 誘電体 である。 真空中であれ,物質中であれ,単位電荷に働く 力は Ö である。電場のする仕事は経 路によらないので,それはポテンシャル で書く ことができる。したがって,電場に逆らって,ポ テンシャル の導体を ÆÉ だけ電荷を増やすため に必要な仕事は ´ µ ÆÏ ÆÉ × ÆÉ Æ Ë ´¾½º½ µ 部がその系に行った仕事を表す。こうして,電束 密度を一定にしたエネルギーの偏微分から,極板 の電荷を一定に保って,たとえば,誘電体を挟ん だキャパシターの極板間の距離を変えるにはどれ だけの仕事が必要か,といった問題の答が分かる。 もし極板のポテンシャルを一定に保って外部の 力がその系に行った仕事を考えたければ,エネル ギー式にル・ジャンドル変換 Û Û ½ ¡ ´¾½º½ µ である。ここで積分は誘電体の表面で行う(導体 をほどこして,変数を電束密度 から電場 に 表面でもあるが,法線方向が逆である)。こうし 換えなければならない。 て,½ ¾ ページと同様の計算を行うと, 例 ¾½º¿ 鉛直に置かれた平板コンデンサーの極 ½´ Æ µ Î ÆÏ ´Æ Òµ Ë 板間のポテンシャルを一定に保って,密度 ¸ 誘 ´¾½º½ µ 電率 ¯ の液体のなかに入れる。持ちあがった水平 面の高さ を求めよ。 のエネルギーが誘電体に蓄えられることがわかる。 電束密度 は物質を巨視的に見たときの熱力 l 学量である。試験電荷によって測ることのできる h 微視的な量ではない。物質の温度の変化や圧力の 変化とともに考察すべき量である。 もし と のあいだに ´¾½º½¼µ のような一次関 係があれば,電束密度 の誘電体には単位体積 図 ¾½º¿ あたり ¡ ¡ ¾ Û ¯ ´¾½º½ µ 解 極板間のポテンシャルを一定に保っているので, 電場の単位体積あたりのエネルギーは のエネルギーが蓄えられていることがわかる。 ¾ 金属表面に現れる電荷は ´¾½º½¿µ 式にしたがっ ´¾½º½ µ Û´ µ ¯ て と関係しているので,¯ ½ なら,真空の場 合と較べて,少ない仕事で同じ電荷量を帯電させ である。したがって, ることができる。同じ なら,¯ が大きいほど, ¾ ´Ð µ ¯ ¾ ½ ¾ ´ µ · ´¾½º½ µ Ï は小さいからである。極板間にガラスをはさ ¾ むと,同じ仕事で約 倍の電気を蓄えることがで が極小になる状態が実現される。したがって,持ちあ きる 。 がった水平面の高さは 式 ´¾½º½ µ は電場 に逆らって電荷 ÆÕ を運ぶ ¯ ½ ¾ ために要する仕事であった。電束密度 の変化 は電荷の変化に比例しており,電束密度を一定に 保ったエネルギーの変化は電荷を一定に保って外 である。 Ô 光の屈折率 Ò の値と Ò ¯ の知識から,この値をおかしいと思う人がいるかもしれない。しかし,誘電率 ¯ は電 磁波の振動数にかなり依存する。 ¾¼ ¾½º¾ 第 ¾½ 章 物質中の電気磁気 磁性体 磁化 によって電流を定義する。この電流にたいして, 導体外まで広がる任意の断面を貫く電流束は,導 原子の大きさまで細かく物質をみると,物質の 体外部では電流は流れていないことを使うと, なかには電気が流れている。原子核のまわりには Á 電子がまわっているが,電気がまわっているのだ ´ Å Òµ Ë ´Å ص Ð ¼ ´¾½º¾ µ から,それは電流である。 まわっている電流 Á は回転面の法線方向 Ò の磁 となる。つまり,この電流は原子のスケールで流 れている電流であって,大きなスケールで面を横 気双極モーメント 切って流れる伝導電流ではない。 Á Ñ ËÒ ´¾½º¾¼µ この電流の作る磁気モーメントは ¾½º¾º½ ¡ に等価である。ここで Ë は線電流が囲む面積であ る。線電流上の位置を Ö とし,線電流の接線ベク トルを Ø とおくと ½ ¾ ÁË Ò Á Ö ¢ ØÁ Ð ½ ¾ Ö¢ Å ¡ ½ ¾ Î Ö ¢ ÖÓØ Å Î Å Î ´¾½º¾ µ となり,Å は磁化になっている。 ´¾½º¾½µ M’ M だから ÁØ Ð Ú ´¾½º¾¾µ Î J によって線電流から体積電流に読みかえると ½ ¾ Ñ Ö¢ Ú Î ´¾½º¾¿µ rot M となる。単位体積あたりの磁気双極モーメント Å ½ Ö¢ Ú ¾ ´¾½º¾ µ 図 ¾½º 一様でない磁化と電流 伝導電流 とともに,この電流も磁気を誘導す る。したがって,時間変化がない場合のアンペー ルの法則は を磁化とよぶ。 磁化がすべての場所で一定なら,ちょうど電流 ÖÓØ は打ち消しあうが,磁化が場所によって異ると局 所的に電流が現れる。 である。 Å ¡ ÖÓØ Å ´¾½º¾ µ · À ÖÓØ Å ´¾½º¾ µ Å ´¾½º¾ µ 外積の大きさはその二つのベクトルが作る平行四辺形の面積であったことに注意しよう。曲線の囲む面積は原点を 頂点とし曲線上の微小直線を底辺とする三角形の面積の和から求めることができる。 磁場の次元は,とうぜん,磁気誘導場の次元に等しく,それは電場の次元にも等しい。 Ž ¾ Ä ½ ¾ Ì ½ º ËÁ 単 位系には À À Ô によって移ることができる。ËÁ 単位系での磁場の単位は ¼ Ñ ÀËÁ である。 ´¾½º¿¼µ ¾½º¾º ¾¼ 磁性体 によって,磁場 À を定義すると , ´¾½º¿½µ ÖÓØ À 問 ¾½º½ 表面に平行に一様に磁化したドーナツ 形の磁石の内部と外部の ¸ À を,それぞれ,求 めよ。 となる。 磁気誘導場 と磁場 À のあいだの関係は物質 ヒント どこにも磁荷は現れないことに注意。 のなかの複雑な力の組み合せのなかで決まるもの である。その力学を解かなければならないが,そ れはきわめて困難な問題である。そこで実験事実 によって力学計算の代りをさせる。磁気誘導場が 問 ¾½º¾ 一定の磁化 Å で永久磁化した内径 , 外径 の球殻の表面に現れる表面磁荷の面密度を 小さい場合,一次近似ができるので, 求めよ。球殻の内部 ´Ö µ,外部 ´Ö µ での磁 À ´¾½º¿¾µ 場を求めよ。 によって透磁率 を定義し ,実験的にその値を ヒント ÚÀ ¼¸ ÖÓØ À ¼ だからポテンシャル 求めるわけである。 の問題である。À Ö にたいし,Ö で 面に垂直な方向に一様な磁化 Å を持 ¡ Ö¸ Ö で ¡ Ö · ¡ Ö Ö¿ ¸ Ö で ¿ ¡ Ö Ö を仮定して,境界条件を満たすものを求 つ無限に広い板磁石がある。面の表面に現れる磁 めよ。磁性体の境界で は連続であるが,その導関数 荷の面密度 Å を求めよ。磁石の外部の ¸ À,内 は飛躍する。飛躍量は表面磁荷密度で,つまり Å に 部の ¸ À を求めよ。 例 ¾½º よって決まる。 解 電荷が電場 の湧きだしであったと同様に,磁 荷は磁場 À の湧きだしと考えられる。 Ú ¼ であ るから,磁場の定義式 ´¾½º¾ µ より, ÚÀ ÚÅ ´¾½º¿ µ 磁性体に蓄えられるエネルギーの源は磁場を作 る源となる電流を流すために外部から行った仕事 である。この仕事が磁束密度を変化させ,磁束密 度の変化が電場を生じさせる。この電場に抗して 電流を流し続けるため ÆØ 時間のあいだに外部か ら行う仕事は, であり, Ú Å が磁荷密度である。したがって,磁 荷分布 Å が与えられたとき,この式から磁場 À が 決まる。もし伝導電流 がなければ,ÖÓØ À ¼ だか ら,磁場を決める基礎方程式は電場を決める基礎方程 式とまったく同じになる。 磁化 Å が一様な場合,体積磁荷は現れないが,磁 ÆÏ ÆØ Î 性体表面で Å が不連続となるので,そこに表面磁荷 があらわれる。その面密度は Å ´Å Òµ で与え られる。ここで Ò は磁性体表面の単位法線ベクトルで である。 をアンペールの法則を使って磁場 À で ある。 書きなおし,部分積分をおこなうと 磁性体外部の真空中の磁場 À は,平板コンデンサー の作る電場と同様,対称性から ¼ である。そこでは磁 ÆÏ 化は ¼ なので,磁気誘導場 も ¼ である。 ÆØ À Î 磁性体内部の磁場も,平板コンデンサー内部の電場 と同様に,大きさ À Å で,Å とは逆方向を向 いている。つまり,À Å である。磁気誘導場 ÆØ À Î は À · Å ¼ である。 ´¾½º¿ µ Ú´ ¢ µ ´¾½º¿ µ ¡ ÖÓØ 透磁率は無次元量である。ËÁ 単位系へは ËÁ ´¾½º¿¿µ ¼ によって移ることができる。ËÁ 単位系での単位は Ñ× ¾ ¾ であり,それを À Ñ で表すことが多い。 ¾½¼ 第 ¾½ 章 物質中の電気磁気 である。第 ½ 項の発散項は無限遠の表面積分に表 を使わなければならない。積分は全空間にわたる。資料 せ,それは ¼ である。Æ ´ صÆØ を使うと が置かれてない場合の磁場のエネルギーを差し引いて ½ ´À ¡ Æ µ ÆÏ Î ´¾½º¿ µ ½ Æ ÆÀ À¼ÆÀ¼ Î である。透磁率 が定数のときは単位体積あたり を作ると, に磁場の形で蓄えられるエネルギーは ½ Û ¾ ´¾½º¿ µ である。 誘電体の に対応する磁性体の量は À である が,エネルギー式には Æ にたいして,Æ が入っ ていることに注意しておこう。力学的に微視的に 見た場合, と が対応するのだが,熱力学的 に巨視的に見た場合, と À が対応する。現象 は,最初は,巨視的にしか現れないので, を電 場(電界)の強さと呼んだのにたいし,À を磁場 (磁界)の強さと呼んだのである。 磁気誘導場 の変化は磁束密度 ¨ の変化に比例 しており,電流の変化には比例していない。磁場 の源は電流であるが,磁気誘導場を固定したエネ ルギーの変化は,その電流を変えてしまう。電流 を一定にした変化を考えるためには,エネルギー 式にル・ジャンドル変換 Û Û ½ À¡ ´¾½º¿ µ Æ ÅÆÀ¼ Î となり,積分は資料の内部に制限できる。この変形 には次の事実を使う。資料の置かれている場合も置 かれていない場合も同じ電流で制御していることか ら ÖÓØ ´À À¼ µ ¼ がなりたつ。 Ú ¼ から Ú ¼ から À¼ ÖÓØ ¸ Ú À¼ ÖÓØ ¼ となるベクトル・ポテンシャル ¸ ¼ が存在する。 À がなりたつならば, ½¾ ÅÀ¼ ½ ならば, となる。資料が十分小さく, ¾½ Î À¼¾ Î である。ここで Î は資料の体積である。したがって Þ 方向に À¼ が変化するとき,資料には をほどこして,変数を磁気誘導場 から磁場 À に換えなければならない。実験で制御するのは, Þ À¼ ÀÞ¼ Î 多くの場合,磁場の源となる電流であるから,実 験結果の記述には,磁気誘導場 ではなく,磁場 À を使うことが多い。 である。そこで図 ¾½º のような装置を作ると,資料 には垂直方向の力が働く。その力を天秤を使って測る 例 ¾½º 資料が十分に小さくて,資料全体にわ と磁化率を測ることができる。 たって外部磁場 À¼ が一様と考えられるとき,そ の資料の ´¾½º µ 式で定義される磁化率 を測定 する方法を考察せよ。ただし, ½ とする。 電磁石 解 電流を制御して電磁石によって外部磁場 À¼ を作 るとする。電流を制御しているので,エネルギーの変 化量として磁場 À を変数とする ÆÏ ½ ÆÀ Î 資料 図 ¾½º ¾½º¾º ¾½½ 磁性体 ¾½º¾º¾ 時間変化がある場合 誘電体にたいしてガウスの法則は Ú ´¾½º ¼µ ÖÓØ À ´¾½º ½µ いどであるが,きわめて大きな値を示すものもあ る。それどころか,磁場をまったく加えなくとも, それ自身で磁化しており永久磁石となっている物 質もある。 すべての物質は磁性を持っているが,たいがい で表されるから,アンペールの法則 ´¾½º¿½µ を電 の物質の磁性が見えないのは,磁化には因子 Ú 荷の保存則と両立させるためには, がかかっており,その値はきわめて小さいからで ある。 ½ Ø でなければならない。変位電流が ´½ µ´ ص に なっていることに注意しよう。この式にしたがっ て時間変化が起こるかぎり,はじめの時刻にガウ スの法則を満たしているなら,その後の時刻でつ ねにガウスの法則を満たしている。この物質中の ガウスの法則と物質中の拡張アンペールの法則が マクスウェル方程式の一つの組を作る。 ファラディの法則 ½ ÖÓØ Å À ´¾½º µ の比例係数 で物質の磁性が述べられることが多 い。 は磁化率と呼ばれ,透磁率と ½· ´¾½º µ の関係を持っている。磁化率の大きさは,典型的 には,½¼ ていどである。 物質に磁場をくわえると,率直に考えると,ファ Ø ラディの法則にしたがって,外から加えた磁場を 消すように磁気が誘導されるはずである。つまり と磁気単極子不存在の式 磁化 Å と磁場 À は反対方向を向き, ½¸ ¼ Ú ¼ ´¾½º ¿µ となる。実際,そのような磁性体もあり,反磁性 ´ Ñ Ò Ø ×ѵ といわれる。ガラス,水,水素ガ は物質があってもなくても変わりはない。荷電粒 スなどは反磁性体である。 子に働く力の式は 多くの磁性体では磁化 Å と磁場 À は同方向 ¯ À ´¾½º µ になる。このような磁性体は常磁性 ´Ô Ö Ñ ¹ Ò Ø ×ѵ と呼ばれる。酸素,空気,アルミニウム によって,理論ではなく物質自身に解かせている などは常磁性体である。 ので,ローレンツの式は使わなくてもよい。物質 反磁性体,常磁性体のような弱い磁性体にたい 自身に解かせた力学の式の答は構成方程式と呼ば して,自発磁化をもつ磁性体は強磁性 ´ ÖÖÓÑ ¹ れる。 Ò Ø ×ѵ と呼ばれる。反磁性強磁性体もあるが,た ´¾½º ¾µ いがいは常磁性強磁性体である。強磁性体は温度 を上げると常磁性体になる。もし電子がローレン ¾½º¾º¿ いろいろな磁性体 ツの式で表されるように磁気誘導場の一次関数で 物質の磁化 Å が物体に加えた磁場 À にたいし 表される力を受けるだけなら,反磁性体にしかな てどのような値を示すか,多くのバラエティーが りえない。常磁性体,強磁性体が存在することは ある。誘電率が必ず ¯ ½ であるのとは対照的に, 磁性体内部では隣りの原子の回転電流の影響が外 透磁率は ½ より小さくも大きくもなる。多くの物 部的な磁場の効果よりはるかに大きいことを意味 質にたいして,Å の値はほとんど無視できるて している。 ¾½¾ 第 ¾½ 章 物質中の電気磁気 ¾½º¿ 超伝導体 ½ ½½ 年にカマーリング・オネスが水銀の温度 を冷やしていくと,突然,電気抵抗が ¼ になる現 象を発見した。この現象の理解には,きわめて多 時間を要したが,その第一歩となったのが,½ ¿¿ 年のマイスナーとオシェンフェルドによるマイス ナー効果の発見である。 超伝導体は物質中に入ろうとする磁気を跳ねと ばす。超伝導体のなかの磁気誘導場は ¼ であ る。超伝導体は完全反磁性体である。 磁気誘導場が ¼ なら,微視的なアンペールの 法則 ÖÓØ ´¾½º µ Ú より,体積電流は完全に ¼ になる。オームの法則 ¾½º は体積電流にたいする実験法則だから,オームの 法則は意味を失う。電流は物体の表面を流れざる をえない。 物体外の磁気誘導場と表面電流はアンペールの 法則によって結び付いている。もし物体の形が球 (と位相的に同じ)なら,アンペールの法則の節で 学んだように,物体外の磁気誘導場はポテンシャ ル(磁位)によって記述できる。もし物体の形が ドーナツのような形をしていたなら,ポテンシャ ルに意味を持たせるためには切断をいれなければ ならない。この結果,球状の超伝導体には物体外 に磁気誘導場がなければ電流は流れないが,ドー ナツ状であれば,物体外に磁気誘導場がなくとも 表面電流が流れることがわかる。 光の反射と屈折 光は電磁波の一種であり,物質中でのその運動 から調べられる。外部から電荷を持ち込まないと はマックスウェル方程式 き,電荷密度は ¼ であり,伝導電流は,もう 第一組 ガウスの法則 一つの構成方程式,オームの法則 Ú アンペールの法則 ½ ÖÓØ À Ø ´¾½º µ ´¾½º µ ´¾½º µ 第二組 磁気単極子不存在の法則 Ú から決まる。 誘電率 ¯,透磁率 が場所や時間によらず一定 であり,不導体で電気伝導度が ¼ の場合,ど のように光の波が伝わるかを調べよう。´¾½º µ 式 の両辺を Ø で微分すると ¯ ¼ ´¾½º ¼µ ¾ ½ ÖÓØ Ø ´¾½º ½µ ؾ ´¾½º ½µ より ¯ ファラディーの法則 ¾ だから,´¾½º ½ ÖÓØ ¾ ½ ÖÓØ ÖÓØ ¾ ؾ ¾ ¾ ´¾½º ¾µ ¯ À ´¾½º ¿µ ´¾½º µ ´¾½º µ µ を使うと,波動方程式は ¯ と,その構成方程式 Ø ´¾½º µ ؾ となる。真空中での波動方程式と比べると,物質 中で電磁波は速さ Ú Ô¯ ´¾½º µ ¾½º º ¾½¿ 光の反射と屈折 で伝わることがわかる。 がなりたつ。入射波の伝播方向を もし電場が角振動数 で振動し, の方向に伝 ´ × Ò Ó× × Ò Ó× わる波 ¼ ÜÔ ´ Ø Öµ ´¾½º µ なら,波動方程式 ´¾½º µ より,角振動数と波数 のあいだには分散関係 Ô¯ がなりたつ。 ´¾½º µ 式を ´¾½º ´× Ò Ó× Ö ×Ò Ö Ó× Ö Ó× Ö µ Ö 透過波の方向を ´ × Ò Ø Ó× × Ò Ó× Ó× µ Ø Ø Ø Ø とすると ¼ ´¾½º ½µ ×Ò Ó× ×Ò Ö Ó× Ö ×Ò ×Ò Ö × Ò Ö Ó× となり,電場の波は進行方向 に垂直な横波で あることがわかる。´¾½º µ 式を ´¾½º ½µ 式に入れ ると, 両方程式の各辺を比較すると Ô¯ Ó× µ 反射波の伝播方向を ´¾½º ¼µ µ に入れると ¡ ¢ ´¾½º ¾µ ØÒ ØÒ Ö Ö ØÒ Ö Ø Ø ×Ò ×Ò Ø Ø Ó× Ø Ó× Ø ´¾½º µ ´¾½º µ Ø であり,磁気誘導場の波は進行方向 にも にも だから,反射波,透過波は入射波の進行方向と面 垂直なことがわかる。 の法線方向が決める面上を進む。さらに,´¾½º ¼µ 境界面をはさんで上下で誘電率 ¯,透磁率 が 式から 異なる場合の波の伝播を考えよう。境界面以外で ¯ ×Ò ¯Ö Ö × Ò Ö ¯Ø Ø × Ò Ø は,それぞれの領域で ¯¸ は一定だから,´¾½º µ ´¾½º µ 式が使える。 境界面上の任意の位置,任意の時刻で,入射波, がなりたつ。入射波と反射波は同じ物質中を進む 反射波,透過波の位相のあいだには一定の関係が ので, なければならない。入射波 ´ Ò ÒØ Û Ú ,反射 ×Ò ×Ò Ö ´¾½º µ 波 ´Ö Ø Û Ú µ,透過波 ´ØÖ Ò×Ñ ØØ Û Ú µ の 位相を,それぞれ, つまり入射波の進行方向が面の法線となす角と反 Ø Ö ´¾½º ¿µ 射波の進行方向が面の法線となす角は等しい。物 ÖØ ÖÖ ØØ ØÖ 質の屈折率を とすると,任意の時刻にこれら位相が一致するこ とから Ò ¯ ´¾½º ¼µ Ô Ô Ô Ô Ö ´¾½º µ Ø がなりたつ 。また,境界平面上 の任意の一点 ´Ü Ý ¼µ で位相が一致しなければならないから Ü ÜÖ ÜØ Ý ÝÖ ÝØ ´¾½º µ によって定義すると,入射波の進行方向と透過波 の進行方向のあいだには Ò ×Ò ÒØ ×Ò Ø ´¾½º ½µ の関係が成立する。これはスネルの法則である。 ¾½ 第 ¾½ 章 物質中の電気磁気 入射波を与えたとき,反射波,透過波の場を決 境界面をはさんで高さが微小量 ¯ で横の長さが めるには,進行方向 に垂直なベクトルの成分は の面で ´¾½º µ 式を積分する。境界面内の接線ベ ¾ だから,計 つの境界条件が必要である。この クトルを Ø,境界面の上下での磁場を À½¸ À¾ と 条件はマックスウェル方程式が境界面の近傍でど すると,グリーン・ストークスの定理より, うなっているかを考察することから決まる。 ½ ´À½ À¾µ ¡ Ø ´ Ø µ ¡ ´Ò ¢ ص Ë ´¾½º µ · n となる。したがって,境界面上に面電流がなければ S ε ´À½ À¾ µ ¡ Ø ¼ 図 ¾½º ベクトル場の発散式から決まる境界条件 ´¾½º µ がなりたつ。つまり,境界面の上下で磁場の接線 成分は連続である。同様に ´¾½º ½µ 式より, ´ ½ ¾µ ¡ Ø ¼ ´¾½º µ 境界面をはさんで高さが微小量 ¯ で低面積が Ë の領域で ´¾½º µ 式を積分する。Ò を面の法線,境 がなりたつ。 界面の上下での電束密度を ½ ¸ ¾ とすると,ガ これら つの境界条件を使って,いろいろな場 ウス・ストークスの定理から 合の反射,屈折現象が調べられるが,そのなかか ら一つ重要な結果を取り上げよう。 ´ ½ µ Ò Ë Î ´¾½º ¾µ ¾ ´¾½º µ 式が示すように,反射,屈折は入射方 向と境界面の法線方向の決める面 Ë 内でおこるの である。したがって,境界面上に面電荷がなく,体 で,その平面 Ë を Ý ¼ とする。このとき,入 積の大きさに比例して体積内の電荷量が減少し, 射波の伝播方向は ´ × Ò ¼ Ó× µ,反射波の Ê ¯ ¼ の極限で Î ¼ なら,関係式 伝播方向は ´× Ò Ö ¼ Ó× Ö µ,透過波の伝播方向は ´ × Ò ¼ Ó× Ø µ である。 ´ ½ ¼ ´¾½º ¿µ 電場 Ø が面 Ë に平行な場合を考えよう。この ¾µ Ò がなりたつ。つまり,境界面の上下で電束密度の とき, ¡ ¡ 場の法線成分は連続である。同様に ´¾½º ´ ½ ¼µ 式より ¾µ ¡ Ò ¼ ´¾½º µ ´ Ó× ¼ × Ò µ Ö ´ Ó× Ö ¼ × Ò Ö µ Ø ´ Ó× Ø ¼ × Ò Ø µµ Ö Ø がなりたつ。 と書ける。磁気誘導場は ´¾½º Ô¯ Ô¯ Ô¯ n l t ε Ö Ø n× t 図 ¾½º ル場の回転式から決まる境界条件 である。 境界条件 ´¾½º ベクト Ó× Ö Ö Ø Ø ´¾½º µ ¾µ 式から ´¼ ½ ¼µ ´¼ ½ ¼µ ´¼ ½ ¼µ ´¾½º µ µ 式より Ö Ó× Ö Ø Ó× Ø ´¾½º ¼µ ¾½º º ¾½ 光の反射と屈折 であるが, Ö だから Ó× Ó× Ö である。境界条件 ´¾½º ½ Ô¯ · ½ Ô¯Ö Ø ´¾½º ½µ Ø µ 式より ½ Ô¯ がなりたつ。簡単のため透磁率は Ø である とすると入射角 と屈折率 Ò のあいだに Ö Ø Ò ´ ÒÒØ µ ´¾½º µ の関係があるとき,おなじ面 Ë 内にある反射波の 電場 は ¼ になる。いいかえると,偏っていない だが,スネルの法則 ´¾½º ½µ 式より,入射波,反 光がこの角度で入射したとき,反射波は面 Ë に垂 射波は同じ物質中を伝播するので, 直に偏っている。この角度はブリュスター角とよ ばれる。 ×Ò Ö · Ö Ö Ø Ö ×Ò Ø Ø Ø Ø Ø ´¾½º ¾µ ´¾½º ¿µ Ø 問 ¾½º¿ 境界面に垂直に光をあてたとき,入射 が導かれる。したがって Ö × Ò¾ × Ò¾ × Ò¾ Ø · Ø × Ò¾ Ø Ø ´¾½º µ 波と反射波の電場 の方向のあいだの関係を,屈 折率が境界面をはさんで大きくなる場合,小さく なる場合にわけて,考えよ。
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