8.忌避灯(黄色蛍光灯)の利用技術 1)技術の特徴 近 年、 野 菜 ・花 き の 施設 栽 培に お い て、 ハ ス モ ン ヨト ウ や オオ タ バ コガ な どの ヤ ガ 類の 被 害 が 急 増し 、 そ の防 除 対 策に 悩 まさ れ て いる 。 特 に 、 オ オタ バ コガ は 1994年 の 夏以 降 、 九州 を は じ め 西日 本 に 大発 生 す るよ う にな り 、 イチ ゴ や キ ク など の 花 きを は じ め多 く の作 物 に も大 き な 被害を与え、重要害虫となっている。 ヤ ガ類 は 、 活動 時 間 であ る 夜間 に 黄 色の 光 が あ る と行 動 が 抑制 さ れ る習 性 があ る 。 黄色 蛍 光 灯 の終夜照 明でヤガ 類のハ ウス内へ の飛込み が減少し 、産卵が 防げるた め、タバコガ 類 では蕾へ の侵入、 ヨトウ ムシ類で は茎や葉 の食害な ど、幼虫 による被 害が軽減され る。 2)黄色蛍光灯の設置方法 防 蛾 用 と し て の 黄 色 蛍 光 灯 は 、 植 物 体 上 の 水 平 面 照 度 ( 以 下 同 じ ) が 1 Lux以 上 に な る よ う に 設 置 す る 。 ハ ウ ス 内 に 均 等 に 設 置 す る と 、 10a当 た り に 40W 蛍 光 灯 が 10∼ 15灯で、ほぼ1Luxの明るさが得られる。 器 具 の 取 付 け の 高 さ は 2.5m 以 上 な い と 、 明 暗 の ム ラ を 生 じ や す い 。 ま た 、 露 地 や ビ ニールハ ウスなど で雨や 水滴が浸 入するお それがあ る場合に は、防雨 防湿型器具を 用いる。 ヤガ類の活動は日没前∼日の出直後まで続くので、この間は照明が必要である。 3)黄色蛍光灯利用上の留意点 (1)黄色蛍光 灯は、夜 間しか活 動しな いヤガ類 の習性を 利用して 、施設へ の侵入阻止や 産卵 行動を阻 止するも ので、害 虫の殺虫 効果は ない。し たがって 、油断は禁物であ り、適期 の薬剤防 除と組 み合わせ る。また 、行動を 抑制する 害虫以外 のものは、防 除が必要である。 (2)点灯期間 はヤガ類 の発生開 始直後 から終了 期までと し、その 期間は、 毎日、日没か ら日の出まで点灯する。 (3)施設内で 黄色光の 照度にム ラがあ ったり、 点灯・消 灯時刻の 調整が不 備だったりし た場 合や、さ らに害虫 の発生密 度が高い 場合は 、黄色蛍 光灯を点 灯していても大き な被害が発生する場合がある。 (4)施設内の 照度や黄 色蛍光灯 の配置 および点 灯開始時 期につい ては指導 機関と相談し 決定する。 (5)黄色 蛍光灯は 白熱灯よ り波長域 が狭いが 、植物 に与える 影響は白 熱灯による電照と ほぼ 同じと考 えられる 。生育 に悪影響 がある品 目では、 蛍光灯の 設置方法を工夫し て植物が反応する明るさにならないようにする。 (6)果樹 栽培では 40W 蛍光灯を 10a 当たり棚 下5本、 棚上2 本(高さ5m)設置し、日 没後30分から 日の出ま で、7 月下旬よ り収穫終 了まで点 灯する。 また、チャバネア オカメムシ等は黄色蛍光灯や低圧ナトリウム灯の光を嫌うので有効である。 - 36 - 表A−33 野 菜 類 花 き 類 果 樹 類 作 物 青ジソ スイートコーン イチゴ トマト ナス ピーマン ネギ ショウガ アスパラガス カーネーション バラ キク トルコギキョウ ケイトウ スターチス デルフィニウム 全般 主要な適用作物と害虫 害 虫 名 ハスモンヨトウ、ベニフキノメイガ、コクロヒメハマキ類 アワノメイガ ハスモンヨトウ オオタバコガ、ハスモンヨトウ オオタバコガ タバコガ シロイチモジヨトウ ベニフキノメイガ ハスモンヨトウ オオタバコガ、ハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウ ハスモンヨトウ オオタバコガ、ヨトウムシ類 オオタバコガ、ヨトウムシ類 ハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウ、オオタバコガ ハスモンヨトウ ハスモンヨトウ ヤガ類、カメムシ類 - 37 - 備 考 花芽分化抑制に注意 花芽分化抑制に注意 開花促進、着果節位の低下 ボリューム増加 開花抑制に注意 開花抑制に注意
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