PCI-20-03 誤嚥性肺炎の予防・改善を目的とした装具療法の実践 The brace therapy for preventing and improving aspiration pneumonia ○藤岡志帆 (OT) 1),古谷多美子 (OT) 1),山本征孝 (PT) 1),菅野洋平 (共同製作者) 2), 島田雄宇 (PT) 1) 1) 兵庫県立淡路医療センターリハビリテーション科, 2)インターリハ株式会社 Key words: Innovations and challenges,Physical function,Quality of life [はじめに]誤嚥性肺炎を発症する患者の多くが,リクライニング位での食事である.誤嚥を防ぐには 肩甲帯が最適に調整されたリクライニング位が理想であるため,我々は頭頸部・肩甲帯を1つのユニッ トとして調節できる装具を開発した.[目的]頭頚部の位置の違いが嚥下に与える影響や,装具を用い た際の嚥下の状態変化を明らかにすることを目的とした.[方法]A.嚥下障害なし群60名,B.嚥下障害 あり群63名に,①肩甲骨間距離②肩甲骨前傾角③喉頭位置を計測し,統計解析を行った.また,リク ライニング位で装具を使用した場合と枕のみの場合の筋電図を測定し,嚥下造影による効果判定を行っ た.[結果]BはAに対して肩甲帯が伸展域にあり,喉頭が低位であった.また,Bの計測項目の平均値 を算出し,その数値を再現した姿勢で筋電図を計測したところ,健常ではみられないタイミングで胸 骨舌骨筋の収縮が認められた.嚥下障害患者への造影検査では,装具使用後に,喉頭蓋反転不全の改 善,咽頭腔の拡大,咽頭残留量の減少,1回嚥下量の増加が認められた.[考察]リクライニング位は肩 甲帯が伸展域にあるため,肩甲骨・鎖骨に起始部をもつ肩甲舌骨筋や胸骨舌骨筋が伸長され,喉頭挙 上不全の原因になっていることが示唆された. [結論]嚥下の姿勢調節は,頭頸部と肩甲帯を同時に調 節することが重要であり,今後も嚥下造影による検証とエビデンス構築が必要である.
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