PCI-20-47

PCI-20-47
必要時に現れる余剰幻肢
Appearance of phantom limb as needed
○松川 勇 (OT) 1),船山道隆 (Dr.) 2),成塚陽太 (OT) 1),大山 南 (OT) 1),馬場 尊 (Dr.) 1)
1)
足利赤十字病院リハビリテーション技術課, 2)足利赤十字病院神経精神科
Key words: Innovations and challenges,Physical function,Cognitive function
【はじめに】
先行研究では余剰幻肢の報告は多いが,必要時に現れる余剰幻肢の報告はみられない.今回我々は脳
出血発症後,必要時に運動幻覚を伴う余剰幻肢が出現し,更に知覚転移を認めた2症例を報告する.
なお,症例に同意を得ている.
【症例】
両例共に右利き男性,左被殻出血,重度の運動・感覚麻痺を認めたが病態失認は認めなかった.本を
めくろうとした時,扉を押そうとした時などに運動幻覚を伴う余剰幻肢を認めた.また,前腕への痛
覚刺激に対し,存在する上肢の別の部位への知覚転位を認め,運動麻痺の改善と共に正しい位置へ戻っ
た.
【考察】
症例の症状の特徴として,(a)必要時にのみ現れる運動幻覚を伴う余剰幻肢,(b)知覚転位が起き,経過
と共に正しい位置へ戻った事の2点が挙げられる.f-MRIによる機能画像研究によると,余剰幻肢の出
現時は運動がイメージされる際と同様に運動・感覚領野が活動するといわれている.症例は皮質より
末梢が損傷されたために,運動イメージが脱抑制して運動幻覚を伴う余剰幻肢に結びついたと考え
た.知覚転移は感覚領野の障害部位に近接した比較的健常な部分が侵入しremappingされたためと考
えた.また,経過と共に正しい位置に戻った事から,一次感覚野の地図はdynamicなものである事
や,脳の可塑性が示唆された.症例の回復過程から,損傷された運動・感覚領野の再組織化の過程が
垣間みられ,運動イメージと余剰幻肢の関連も示唆された.