2014 年 10 月 9 日 工学部化学系用 物理学 II の補助説明 1 電磁気学の歴史 ===================================================== 2 クーロン力, 電場および電気力線 教科書の p.225∼228 に対応 ===================================================== 1.クーロン力 電荷の間に働く静電気力を求めるため, 大きさが無視できる点状の電荷を考え, これを点電荷と 呼ぶ. 図 1 のように, 2 個の点電荷 q と q ′ が真空中で距離 r だけ離れて置かれているとき, q ′ が q に 及ぼす静電気力は q ′ と q を結ぶ直線上のベクトルで与えられ, F = qq ′ ˆ r 4πε0 r2 (1) となる. ただし, ˆ r=r/r は点電荷 q ′ から q に向かう方向の単位ベクトルである. (1) 式をクーロン (Coulomb) の法則といい, 静電気力をクーロン力という. q が q ′ に及ぼす力が −F であることは 明らかである. 図1:q' が q に及ぼすクーロン力 ( qq' > 0 ) 次に図 2 のように, 真空中に分布する n 個の点電荷 q1 , q2 , · · ·, qn が, 別の点電荷 q に及ぼすクー ロン力 F について考えてみよう. q1 が q に及ぼすクーロン力 F1 は, 他の電荷に影響されないこと が経験的に確かめられているから, (1) 式を用いれば F1 = qq1 ˆ r1 4πε0 r12 (2) と表わされる. ここで, r1 は q1 から q に至る距離, ˆ r1 はその方向の単位ベクトルである. 同様にし て, i 番目の点電荷 qi が q に及ぼすクーロン力は Fi = qqi ˆ ri 4πε0 ri2 (3) と表わされる. したがって, 点電荷 q1 , q2 , · · ·, qn の全体が q に及ぼすクーロン力 F は, それぞれの 点電荷が q に及ぼす力のベクトル和として求まり 図2:クーロン力に関する重ね合せの原理 n ∑ n q ∑ qi ri F = Fi = 2ˆ 4πε r 0 i=1 i i=1 (4) となる. このように, n 個の点電荷が q に及ぼすクーロン力は, それぞれの電荷が他の電荷によって 影響されることなく, 独立に q に及ぼす力のベクトル和として求められる. クーロン力に関するこ のような性質を 重ね合せの原理 という. 2.電場および電気力線 図 3 に示すように, 中央にある帯電体 A(電荷 q ′ , 1 個でなくてもよい)のそばへ右側か ら別の帯電体 P(電荷 q )を近づけると, A から離れていても相互の間に静電力が働く. す なわち, F = qE(r) と表すことができる. ここで, q = 1 C とおくと F =E とな るので, このベクトル E は ”単位電荷に働く静電気力 ”を表わしていて, 電場 と呼ばれる. 電場 E とは, その場所に単位電荷を置いたときに, その電荷が受ける力であり, 単位は N/C (V/m) である. 1 qq ′ クーロンの法則 (1) 式より F = であるので, q ′ = Q とおくと, 真空中に置かれた 4πε0 r2 点電荷 Q が r だけ離れた点 P につくる電場は E= となる. 電場 q' Q ˆ r 4πε0 r2 (ˆ r=r/r) (5) 力 q 図3:電場を媒介にした静電力( qq' > 0 ) ー電場中で電荷qが受ける力ー 図4:電気力線 電場の様子を直感的にとらえるのに便利な方法として, 電気力線 というものを空間的に描く方 法がある. これは図 4 に示すように, その接線方向が電場の方向と一致するように線を描いたもの で, それは正の電荷から出て負の電荷で終わるか, または始点か終点のどちらかが無限遠にのびて いる. このような曲線は原理的には何本でも引くことができるが, 便宜上, 電場に垂直な単位面積 を通過する曲線の本数(数密度)が E 本となるように定める. したがって, 電気力線の密なところ は電場が強く, 粗なところは弱いことを意味する.
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