所得に対する課税 財政学(財政学B) 第3回 畑農鋭矢 1 所得とは? • ヘイグ=サイモンズの所得の定義 所得=消費+資産の純増(貯蓄) • 所得に含まれるべきもの 自家消費:農家の農産物消費、 専業主婦の家事 帰属家賃:持ち家のサービス(自分への家賃) キャピタル・ゲイン:資産の値上がり分 現実の所得課税制度 • 統計的事実 国際的に見て個人所得税のウエイトは低い 景気循環に対して敏感 • 包括的所得税との乖離 控除制度 基礎控除、配偶者控除、社会保険料控除 非課税や分離課税(資本所得) 現物給付 捕捉率の格差(クロヨン) 効用関数 効用関数の性質 (i) 財増加⇒効用増加 (単調増加) (ii) 財増加⇒限界効用(財の追加的な増加に 対する効用の追加的な増加)低下 (限界効用逓減) (iii)A、B、C:財の組み合わせ 効用の比較 A>B、B>C⇒A>C (推移律) 効 用 効用関数の形状 限界効用逓増 限界効用一定 限界効用逓減 O 財の量 関数と変化(=限界):逓減 Y の 変 化 Y 需要・供給 変化は右下がり! 需要・供給 2財からの効用(効用曲面) 100 80 効 用 u I4 60 I3 40 20 0 0 I2 20 I1 40 60 0 80 余暇l 100 100 80 60 40 20 消費c 無差別曲線 効用曲面を真上から見た地図(等高線) 消 費 c 効用が高い 効用の等高線 =無差別曲線 同じ無差別曲線上 ⇒効用が等しい 北東方向ほど 効用が高い。 I4 I3 I2 I1 O 余暇l 無差別曲線は交わらない! 消 費 c A C B O 余暇l 図よりA>B 図よりB>C 推移律からは A>C 図からは C=A(同一無差 別曲線上) 推移律と矛盾 ⇒無差別曲線は 交わらない 予算制約線(予算線) 消 費 c 24(w/p ) O 所得y=pc p消費財の価格 所得y=w(24-l) w時給 w(24-l) =pc 予算制約式 c =24(w/p ) - (w/p ) l 切片 傾き 時給が上がると予算線は上へシフト 24 余暇l 予算制約下の最適化(効用最大化) 消 費 c 無差別曲線と予算 線の接点(赤い点) が最適 ⇒なぜか? 予算線シフト ⇒最適な消費と余 I4 暇の組み合わせが 変わる。 I3 ⇒なぜか? I2 I1 O 余暇l 消 費 c 24w p 労働所得税と予算制約線 労働所得税なし pc w24 l A 241 t w p tは税率(0<t<1)、税率が10%の場合t=0.1 B O w 24w c l p p 1 t w l 241 t w c 労働所得税あり p p 予算制約線はシフト:A⇒B 労働所得税により手取り賃金が変化 賃金が余暇の価格であることに注意 24 余暇 l 消 費 c 労働所得税の余暇への効果 A E0 B E1 I2 I1 O 24 余暇l 最適点の移動 E0⇒E1 効用が低下 I2⇒I1 消費 c は減少 余暇 l は増加 消 費 c 所得効果と代替効果 A E0 E2 E0⇒E1を分解 補助線C : I2と接しBと平行 E0⇒E2⇒E1 E0⇒E2:代替効果 同じ効用水準で手取り賃金 (余暇の価格)が変化した効果 E2⇒E1:所得効果 余暇の価格が変化せず、 所得が減った効果 B E1 I2 I1 O 24 余暇 l 消 費 c 所得効果と代替効果の大小関係 A E0 B 代替効果 E0⇒E2 余暇価格が下がれば必ず余暇増加 所得効果 E2⇒E1 所得減少⇒余暇減少(正常財・上級財) 所得減少⇒余暇増加(劣等財・下級財) 所得効果>代替効果 労働所得税⇒余暇減少(E1’) E2 E1’ E1 O I2 I1’ C I1 24 余暇 l 消 費 c 余暇から労働へ 消 費 c A 労働時間=24-余暇時間 横軸を労働時間に変換 E0 B E1 I2 I1 O 労働L O24 余暇l 消 費 c 労働所得税の労働への効果 I2 I1 A I1’ E0 E2 E1’ 代替効果E0⇒E2 労働 L は減少 所得効果E2⇒E1 労働 L は増加 代替効果>所得効果 労働 L は減少 代替効果<所得効果 労働 L は増加 B E1 O 24 労働L 消 費 c 労働所得税の非効率性 A C E0 E1’ K 余暇l1(労働は24l1)の下で 労働所得税額はE1K 労働所得と関係なくE1Kと同額を課税 ⇒予算制約線C(一括固定税) 最適点E1’は無差別曲線I1’上(I1’>I1 ) 効用の比較:労働所得税<一括固定税 税額 B I2 E1 I1’ I1 O l1 24 余暇 l
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