原子核三者若手夏の学校2015 1.原子核研究 Vol.54, Supplement 3 流体特集号 「相対論的流体力学と高エネルギー重イオ ン反応:来し方行く末」 2.数理科学2015年5月号 「流体力学と方程式」 • 流体力学の相対論版(Eckart, 1940) • 相対論的流体模型の多重発生への適用 (Landau, 1953) • 場の理論による基礎づけ(Iso, Mori, Namiki, 1959) • 1次元スケーリング解(Bjorken, 1983) • 完全流体QGP発見のプレスリリース (2005) time 平衡保てず ここ! collision axis 0 平衡達せず 流体力学:熱力学と保存則に立脚した系のダイ ナミクスを追う理論体系 流体モデル:初期条件、終期条件、状態方程式、 輸送係数など(重イオン衝突の記述に)必要な モデリング 実験と計算が合わないとき 1. 流体モデルが悪いが流体力学は悪くない 2. 流体モデルも流体力学(描像)も悪い 実験と計算が合うとき 1. 単に一組のモデル・パラメータセットが 合っただけ 2. 流体モデル and/or 流体力学(描像)が本 当に良いか、吟味必要 • 流体素片内で熱力学 ミクロスケールから 十分大きい • 熱力学量の時空変動 マクロなスケールか ら十分小さい • 実験室系へのローレ ンツ変換 時空点に局所静止系 𝑉 𝑒 = −(𝑒 + 𝑃) 𝑉 エネルギー密度 圧力 流体素片の体積 • 膨張希薄、収縮濃縮 • 𝑃𝑑𝑉:仕事による内部エネルギーの変化 • 熱力学第1法則 • 粘性による補正あり(熱の流入) 𝛼 𝛼 𝑤𝑢 = 𝛻 𝑃 エンタルピー密度 (𝑤 = 𝑒 + 𝑃) 流速 圧力 • 慣性𝑤の流体素片が圧力勾配で加速 • ナブラの前に負符号がないのは計量の所為 • 流速に関わる観測量 状態方程式𝑃 = 𝑃(𝑒, 𝑛𝑖 )の物質情報を反映 • 粘性による補正あり ′ ′ ′ Π 𝑡 = 𝑑𝑡 𝐺𝑅 𝑡, 𝑡 𝐹 𝑡 散逸流 応答 熱力学的な力 (輸送係数) (示強変数の空間微分) 散逸流 𝛱 熱力学的な力 𝐹 テンソル ずれ粘性 応力テンソル 流速の勾配 2 体粘性 体粘性圧 流速の発散 0 拡散 拡散流 化学ポテンシャルの勾配 1 構成方程式:時間遅れを含む線型応答 Navier Stokes Violation of causality Maxwell-Cattaneo 𝐺𝑅 𝐺𝑅 非マルコフ (記憶効果) 時間の 粗視化 𝜅 −𝑡 𝐺𝑅 = 𝑒 𝜏 𝜏 𝑡 マルコフ 𝐺𝑅 ≈ 𝜅𝛿 𝑡′ 𝜆 → 𝑡′ 𝑡 𝜅: 輸送係数、𝜏: 緩和時間 𝑡′ バランス方程式 • エネルギー保存則 • 運動量保存則 構成方程式 • 熱力学的な力に対する線型応答 ミクロな力学の情報 • 状態方程式(局所熱平衡の前提) • 輸送係数 • 緩和時間 Top-down: 第1原理計算の結果 Bottom-up: 第1原理計算と独立に TH(QM04) TH(2007) 重い粒子 高pTへキック パイオンの平均pTは膨張であまり変わらず Ollitrault(1992) 0 2𝜋 放射状フロー に対する補正 2𝜋 𝑁 𝑑𝑁 𝑑𝜙 𝑑𝑁 𝑑𝜙 系の平衡度 合いに敏感 2𝑣2 1 0 2𝜋 PHENIX(2003) 微分楕円型フローの質量順序 重い粒子は高pTにキックされて 低pTにかえって出にくくなる 負の値すら取り得る S.Takeuchi et al., arXiv:1505.05961 Courtesy of H.Song and X.Zhu Courtesy of H.Song and X.Zhu 𝜂 𝑠 = 2 0.16~ 実験結果を再現 4𝜋 VISHNU: (2+1)D viscous hydro + UrQMD X.Zhu et al., arXiv:1501.03286[nucl-th] 最先端流体計算の一つ 1 𝜂 2 𝑢 = − 𝛻𝑃 + 𝛻 𝑢 𝜌 𝜌 拡散方程式における拡散係数 𝜂water > 𝜂air but 𝜈water < 𝜈air 相対論的対応量 𝜂 𝜂 = 𝑤 𝑒+𝑃 Liao and Koch (2010) [Pa] = [N/m2] 粘性:𝜂 ~1.0x10-3 [Pa s] (水 20℃) ~1.8x10-5 [Pa s] (大気 20℃) 動粘性:𝜈 = 𝜂 𝜌 ~1.0x10-6 [m2/s] (水 20℃) ~1.5x10-5 [m2/s] (Air 20℃) • 散逸流に対する一般化されたランジュバン 方程式 Π 𝑥 = 𝑑 4 𝑥 ′ 𝐺𝑅 𝑥, 𝑥 ′ 𝐹 𝑥 ′ + 𝛿Π(𝑥) • 揺動散逸関係 𝛿Π(𝑥)𝛿Π(𝑥 ′ ) = 𝑇𝐺 ∗ (𝑥, 𝑥 ′ ) 𝐺 ∗ :対称化された相関関数 𝛿Π : 流体揺らぎ K. Murase and TH, arXiv:1304.3243[nucl-th] エントロピー 散逸 熱揺らぎ 熱平衡状態 =エントロピー最大 熱平衡状態の安定性 散逸と揺らぎの バランス Courtesy of K. Murase 1G:完全流体 2G:粘性流体 3G:揺らぎ流体 • QGPのダイナミクスを記述するための 流体モデル、流体力学の必要性 • すべての興味あるQCD物性物理の出発 点
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