2014/12/9 足を動かす 残りの足で体重を支える この動作を繰り返す Shinichi Kanazono, DVM, DACVIM (Neurology) Saitama Animal Medical Center Synergy Animal General Hospital 考える? 埼玉動物医療セン ター リズミカルな筋収縮 局所的に存在する神経細胞群 自律的に脱分極 相互連絡 無目的な運動 通常の歩行には不十分 協調 & LMNを動かす! 目的 筋骨格系 CPG & LMN UMN 高次中枢:目的のある行動 複雑なフィードバックシステム › 感覚系&小脳系経路など 1 2014/12/9 運動単位:LMNの機能単位 脊髄反射弓の一部を構成 筋収縮が全ての運動に必要 運動単位:1本の運動神経が支配する筋線維 › 外眼筋:4本 筋肉を収縮:足を動かす › Rectus Femoris M: 本 Motor Unit Recruitment 火事場のクソ力 ATP分類 Type 1 Type 2 主な代謝 酸化 (好気性) 酸化&糖分解 糖分解 (嫌気性) 酸化&糖分解 酸化&糖分解 収縮速度 緩 中間 速 中間ー速 中間ー速 運動単位の 大きさ 小 中 大 中 中 主な燃料 トリグリセ ライド CPK、グリ コーゲン CPK、グリ コーゲン CPK、グリ コーゲン CPK、グリ コーゲン 疲れ易さ 疲れにくい やや疲れに くい とても疲れや すい やや疲れに くい やや疲れに くい PAS/NADT Low Medium High Medium MediumHigh Oil Red O/ High Medium Low Medium LowMedium Type 2B (猫) Type 2C (新生児) Type 2M (咀嚼筋) Slide courtesy of Dr. FA Wininger 1つの筋肉内に両方の筋線維が混在: モザイクパターン 比率がそれぞれの筋肉によって異なる 1つのMotor Unit=1種類の筋線維 2 2014/12/9 演奏家不在/楽器故障 重力に対する姿勢の維持 筋肉の緊張度が低下 随意運動の開始 体重を支えられない LMN緊張度(γ運動神経)の調節 歩幅の短縮 錐体外路・錐体路 ウサギ跳び歩行 頸部下垂(猫) Courtesy of Dr. J Coates 霊長類で重要 反対側へ交差 Corticospinal tract Corticobulbar tract LMN Rubrospinal tract Medullary reticulospinal tract Pontine reticulospinal tract Vestibulospinal tract 繊細な動きに重要 › 馬の舌&口唇、アライグマの手 指揮者不在:雑音、協調性無し 歩幅拡大 筋緊張性 増大 脊髄反射 正常/亢進 LMN UMN 目的を持った動き 脳幹のUMN中枢を指揮 3 2014/12/9 左右の不均衡 前庭系 › 筋バランス不均衡 › 頸部・四肢の伸筋/屈筋 › 他の前庭系症状 ほとんどの症例は比較的容易 評価が非常に難しい症例も… 歩行評価の標準手順を設定! › 御家族から隔離 › 主観的:アドバイスを求める 大脳・間脳系 › 意識・感覚・運動機能 › 無目的には直進可な事も ヒストリー! 運動失調 麻痺(虚弱) 跛行 4 2014/12/9 正常? 異常? 異常→ どの足? 跛行 : 有 麻痺 : 有 運動失調: 有 無 無 無 両後肢 歩幅短縮 運動失調? 麻痺? 跛行? いつ症状が良い/悪い? “Regularly irregular” foot placement 殆どが整形外科疾患 神経筋疾患でも認められる 麻痺、運動失調と共在? 痛み! 単肢 vs. 複数の肢 神経根、筋肉 疼痛 多発性関節炎 ROM異常 線維性筋症(薄筋) 椎間板ヘルニア 馬尾症候群 神経鞘腫 神経根炎 滑膜嚢胞(腰仙部) 椎間板脊椎炎 筋損傷(急性、拘縮) 5 2014/12/9 T1 rib head anomaly Lumbosacral stenosis 痛みによる跛行 Diskospondylitis 単肢 vs. 複数の肢 Intraforaminal IVDD Transitional vertebra - Cat PNST Intraforaminal IVDD Courtesy of Dr. Mitsuhiro Shibata Synovial Cyst 運動失調=感覚系異常 Ganglioneuritis 固有位置受容感覚 足の位置がバラバラ Irregularly irregular rhythm プロプリオセプション性 前庭性 小脳性 古典的概念:Conscious vs. Unconscious Unconscious Proprioception: 運動失調 Conscious Proprioception: 姿勢反応 Unconscious proprioceptionの障害 運動失調 Conscious proprioceptionの障害 “CP消失” = 姿勢反応の消失 6 2014/12/9 Unconscious Proprioception: 運動失調 Conscious Proprioception: 姿勢反応 運動失調+CP消失 › 脳幹、脊髄、末梢感覚神経 CP消失のみ › 大脳・間脳 運動失調のみ › 小脳 Courtesy Dr. Joan Coates III, IV, VI III, IV, VI (-) 0 1+ (-) (-) 伸筋 (+) 屈筋 (-) 1+ (-) 伸筋 (+) (++) 伸筋 屈筋 (-) 屈筋 Courtesy of Dr. FA Wininger 7 2014/12/9 全ての随意運動を調節 過剰な運動機能を抑制 四肢の運動調節 関節の過屈曲 筋緊張度増大 Wide-based stance › 運動の開始は関与しない 前庭機能 運動の学習 同時に前庭様症状もあり得る 運動神経系異常 UMN › 錘体路・錘体外路 LMN › 運動神経細胞 › 軸策/髄鞘 › 神経筋接合部 Courtesy of Dr. D O’Brien 基本的な概念:オーケストラ Gait generator (LMN) Gait modulator (UMN) › 筋肉 8 2014/12/9 UMN “指揮者不在”=雑音 筋肉の緊張度が増大 › 痙性麻痺、歩幅拡大 運動開始の遅れ 通常、プロプリオセプション性運動失調 と共に認められる Courtesy of Dr. JR Coates Veterinary Neuroanatomy and clinical neurology 指揮者の一人舞台:音が出ない LMN Courtesy of Dr. JR Coates 9 2014/12/9 脊髄反射の低下 筋肉の緊張度低下 神経原性筋萎縮 四肢不全麻痺 運動失調:無し 跛行: 無し 脛骨神経 腓骨神経 Courtesy of Dr. FA Wininger 10 2014/12/9 左後肢 膝関節 足根関節 足首の位置 重症筋無力症 ダニ麻痺 15歳齢 去勢雄 ヒマラヤン 四肢不全麻痺 起立不能 › 亜急性進行性 病歴: 特に無し 全身性LMN疾患 運動神経細胞体 神経根 末梢運動神経 神経筋接合部 骨格筋 BUN 22 mg/dL, Cre 2.0 mg/dL 軽度の貧血 (Ht 27%) K 2.1mEq/L Ca 9.3 mEq/mL CK: 正常 等張尿 USG 1.018 胸部レントゲン: 正常 重度の全身性疾患 11 2014/12/9 重症筋無力症 甲状腺機能亢進症 低カリウム筋症 腫瘍随伴性 慢性進行性 全身性LMN徴候 通常は 筋組織の著変無し 2−3日程度で治療に反応 原因疾患: › CRF、食事、GI loss、甲状腺機能亢進症、利尿 腹部超音波:正常 抗アセチルコリン受容体抗体: 陰性 T4:正常 剤、高アルドステロン症、尿閉解除後 › 先天性:Burmese cats 疲れると首を曲げる 項靱帯が無い LMN系疾患 › › › › › › › › Gandolfi_2013_PLos One 重症筋無力症 多発性筋炎、筋疾患 低カリウム筋症 筋ジストロフィー症 鉛中毒 慢性有機リン系中毒 多発性神経症 エチレングリコール中毒 中枢性:チアミン欠乏症 ほ乳類の静止膜電位:K+透過性が決定 静止膜電位の維持:Na-K-ATPポンプ › Goldman-Hodgkin-Katz方程式 脱分極: Na+流入 再分極: Naチャネル不活化 Kチャネルが後れて開く › 筋肉: Cl-の流入 12 2014/12/9 Ca2+ K+ 運動失調+CP消失 Unconscious Proprioception: 運動失調 Conscious Proprioception: 姿勢反応 UMN: 指揮者不在 LMN: 演奏者不在 › 脳幹、脊髄、末梢感覚神経 CP消失のみ › 大脳・間脳 運動失調のみ › 小脳 Unconscious Proprioception: 運動失調 Conscious Proprioception: 姿勢反応 Unconscious Proprioception: 運動失調 Conscious Proprioception: 姿勢反応 UMN: 指揮者不在 LMN: 演奏者不在 運動失調+CP消失+不全麻痺 › 脳幹、脊髄 鑑別診断 = 病変部位+シグナルメント+ヒストリー CP消失のみ › 大脳・間脳 運動失調のみ › 小脳 画像診断? 治療? 予後? 不全麻痺のみ › 全身性LMN 13 2014/12/9 よく観察し、異常の3要素の有無に注目 動物の姿勢に注目 歩行異常=機能異常 機能異常≠画像異常 わからない? 誰かに相談! Courtesy Dr. Joan Coates 14
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