緩和ケア病棟における STAS-J導入と工夫 綜合病院 山口赤十字病院 緩和ケア病棟 加藤恵子 杉山千世 小野芳子 はじめに 当緩和ケア病棟では、スタッフへの意識調査や 勉強会を重ね、STAS-Jを工夫して使用すること でカンファレンスにSTAS-Jを定着させることが できた STAS-Jの導入から現状までを報告する 病棟の概要 ベ ッ ド 数:25床(4人部屋2部屋、個室17部屋) 看護体制:固定チーム継続受持ち方式 勤務形態:日勤 管理1名、検査係兼クラーク1名、 看護師6名を基本とする 看護師の状況(2007年6月現在) 当病棟の経験年数 平均3.1年 患者状況(2006年度) 入院患者数271名 退院患者数250名(うち死亡退院173名) 平均在院日数32.1日 用語の定義 スタッフ:緩和ケア病棟の患者にかかわって いる医師、看護師、MSW、音楽療法士など カンファレンス:平日の午後、約30分間 患者のケアにかかわっているスタッフが 集まり、患者の問題点・看護ケアについて 討議すること 受持ち看護師:受持ち患者の入院全般に わたって主体的に看護の責任を担う 看護師 STAS-J導入前の カンファレンスの問題点 カンファレンスに時間がかかる 表面化している患者・家族の問題だけが 取り上げられる 入院患者全てのカンファレンスを行うことが 困難である 患者の問題点を多角的に捉えられない 実際 STAS-J導入の経過(1) 2004年~2005年 ワークショップ・研修の参加 第28回日本死の臨床研究会年次大会 日本ホスピス緩和ケア協会中四国ブロック 第29回日本死の臨床研究会年次大会 病棟では 事例を通じてSTAS-Jを理解していく STAS-J導入の経過(2) 2006年6月 カンファレンスでSTAS-Jを導入 一日に1人の患者のSTAS-Jを実施 受持ち看護師が中心になって評価 STAS-J導入前からの「問題が表面化して いる患者のカンファレンス」も並行して行う STAS-J導入の経過(3) 2006年6月~8月 カンファレンスに対する意識調査の実施 STAS-J導入前・後でスタッフ全員に実施 意識調査の結果を比較 レーダーチャート 2006年8月 STAS-Jの評価時にレーダーチャート記入開始 意識調査の結果① STAS-J 導入の利点 STAS-Jを導入して、患者・家族をトータルに 捉えることができる 問題点が明確になる スタッフのカンファレンスにおける意識向上に つながる 意識調査の結果② STAS-J導入後の問題点 患者の情報や自己評価を言語化・分析し、他 のスタッフへ伝えることの難しさを感じているス タッフがいる 新たな取り組み(1) 2006年10月 カンファレンスの司会者をスケジュールで 決定 司会者の役割を提示 受持ち看護師が自主的に申し出る 司会者は参加スタッフに意見や情報を求め、 その内容を調整・整理し、患者の問題点や 今後の方向性を明確にする 問題点 看護師の申し出がないと、入院してから STAS-Jの初回評価ができていない 2回目以降の評価もできないことがある 新たな取り組み(2) 2007年1月 STAS-J評価後、次回の評価日を決定 STAS-Jの評価が継続して行える 前回の結果と比較でき、入院患者全員を 定期的にSTAS-Jで評価できる 考察 ①スタッフがSTAS-Jに慣れる 一日1人の患者をSTAS-Jで評価することは スタッフにとっては必要な期間であった ②司会者の存在 情報がまとまり、患者の方向性が明確になった スタッフのカンファレンスにおける意識が向上 した ③次回評価日の決定 継続して評価を行うことができ、 前回の評価との比較に役立った 患者の問題点がどのようにクリアされたのか、 新たな問題点は何か、自分たちのケアの 評価を明確にすることに役立った 今後の課題 看護計画へと展開し、オーディットサイクルの 確立へつなげ、さらにケアに生かしていく カンファレンスの運営方法を検討していく STAS-J評価表 参考文献 ・Higginson IJ:Clinical audit in palliative care、in Higginson IJ、(ed):Clinical Audit in Palliative Care、 Radcliffe Medical Press、1993 ・杉野元子:カンファレンスをどう運営し充実させるか、 看護実践の科学、2004 ・川島みどり,杉野元子:看護カンファレンス、医学 書院、1995 ・宮下光令,笹野朋代:STAS-Jを用いた緩和ケアの 自己評価、看護管理、2005 ・STAS日本語版スコアリングマニュアル第2版、日本 ホスピス・緩和ケア研究振興財団、2005 ご清聴ありがとうございました ベランダの朝日
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