地域リハビリテーション研修会 神経難病患者様への在宅リハビリ かすみがうら居宅介護支援センター 訪問リハビリテーション部 三重つくし診療所 リウマチ科 専門理学療法士 (生活環境支援) 高木 章好 TAKAGI Akiyoshi S.L.E.P.T. M.A. まず自己紹介いたします • 診療所2カ所に勤務する理学療法士です • 主に訪問リハビリテーションに従事しています • リウマチ専門病院、整形外科診療所、理学療法 士養成施設教員を経て、現在に至る • 人間の生死、尊厳、ターミナルケアなど、医学で 解決できない領域の研究をしています • 理学療法士の地位・実力向上のため、地域へ の働きかけを続けています • 地域によりよい医療を! がモットーです 地域リハビリテーション研修会 2 本日の内容 • 在宅医療の概要 • 難病ケアの概念 • 難病患者とリハビリテーションのかかわり • 地域難病患者さんの現状 • リハビリテーションの対応 • 地域での取り組みー四日市モデルの紹介ー • リハビリテーションの果たすべき使命 • セラピストに必要なこと? 順不同です 地域リハビリテーション研修会 3 在宅医療に関わるきっかけ • 病院勤務の時、外来患者さんの自宅での生活 をみる機会があり、大変驚きました • 悪友が末期がんになり、自宅で亡くなる前の1ヶ 月をともに経験しました • 教員時代、難病患者さんや末期がん患者さん の訪問リハビリを経験し、自分の仕事と痛感し ました • 現場に出て在宅医療の充実の必要性を確信し ました 地域リハビリテーション研修会 4 在宅医療とは? • 広義: 病院外で行う医療全般 ある意味、入院医療以外はすべて在宅医療 • 狭義: 通院困難な患者さんが過ごす自宅もしくは施設 などに、医療者が訪問して、医療継続すること ※英 裕雄:在宅医療のマネジメント より • 両者を見ると、医療機関以外でなされる医療の比率と 重要性が如何に大きいかが分かります! • 通院、通所患者さんは、ご自宅での生活があることを忘れては いけません リハビリ室その場だけではないのです 在宅を見据えた対応が必要になります 地域リハビリテーション研修会 5 在宅医療に対する誤解 在宅医療を妨げる要素 • • • • • • • • • • 介護してくれる家族に負担がかかる 80% 急変時の対応に不安がある 60% 経済的負担が大きい 30% 急変時、すぐに入院できるか不安 30% 往診してくれる医師がいない 30% 居住環境が整っていない 20% 訪問看護体制が整っていない 20% 24時間相談に乗ってくれるところがない 15% 介護してくれる家族がいない 15% 訪問介護体制が整っていない 10% ※大津秀一:余命半年 より 地域リハビリテーション研修会 6 在宅医療ができること • 採血、検尿、血液ガス、X線撮影、内視鏡、 気管支鏡、超音波、呼吸機能測定 =検査 • 在宅人工呼吸器、中心静脈栄養、在宅酸 素、胃瘻、輸血、緩和ケア、点滴、リハビリ =治療 • できないこと: 手術、CT/MRI検査、放射 線治療などを除けばほとんどのことができ ると考えて良い 地域リハビリテーション研修会 7 在宅医療に対する誤解 • 前述の上位5項目をもとに考えると… • 介護してくれる家族に負担がかかる 80% フォーマル、インフォーマルなサービス • 急変時の対応に不安がある 60% • 急変時、すぐに入院できるか不安 30% • 往診してくれる医師がいない 30% 病診連携、在宅ケアチーム • 経済的負担が大きい 30% 特定疾患医療受給者症、ボランティア 在宅のほうが手厚いケアが可能な面も! 地域リハビリテーション研修会 8 難病患者さんとの関わり • 教員時代、ALS患者さんを在宅で担当したのが 最初です • 現在の勤務地で、多くの難病患者さんを担当す ることとなりました • 多くはALS、MS、MSA、PSP患者さんでした • いつの間にか、担当患者さんはALSの方が多く なりました • 現在、6名のALS患者さんを担当しています 地域リハビリテーション研修会 9 なぜそうなったのか? • 自分なりに分析すると…… • お断りする理由がなかったこと? • その裏には、患者を選ぶ療法士の存在が • 難民患者と同時に難民セラピストもいたのか! • 難病の専門知識を持っていなかった 「こうあるべき」という先入観はなかった! • 特定疾患医療受給者証が物語る? • 保健所の専属アドバイザー? ではありません • 私はごく普通の理学療法士なのですが… 地域リハビリテーション研修会 10 そもそも難病とは? • 原因不明、治療方針未確定であり、かつ、後遺症を残 す恐れが少なくない疾病 • 経過が 慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介 護等に著しく人手を要するために家族の負担が重く、ま た精神的にも負担の大きい疾病 ※難病対策要綱 S47 厚生省 • 我が国では特定疾患として、治療費を公費負担する制 度が確立されています 特定疾患とは? • 本人や家族の負担が大変大きく、かつ症例数が少ないため全国 規模で国が研究の必要ありと認め、治療費を公費負担する疾患 地域リハビリテーション研修会 11 難病の中のALS • ALSは難病の中の代表的難病といわれています ※中島 孝:難病のQOL研究でわかったこと より • その理由は、 • 医療従事者だけでなく、一般市民にも「人間が生 きていく」ということについて深く考えさせ… • 人生の意味を教え、導くものだからといわれます • ALSが特定疾患になっていることで、我が国の 保健・医療・福祉システムの核となる原点が育ち ました • だからといって、特別構える必要はありません 地域リハビリテーション研修会 12 ALSの特殊性 1 進行性 2 四肢麻痺 3 呼吸筋麻痺 生命維持に直結 4 嚥下障害 • 教科書上の生存期間は3~5年 • 病名告知=死の宣告 • 呼吸器、胃瘻=延命? 地域リハビリテーション研修会 葛藤 13 これまでの医療の対応は • 臨床的な結果評価ーアウトカム評価を重要視 • アウトカム:症状の消失、腫瘍の消失、病気の 治癒、寿命の延長など • アウトカムの向上を目標に医療が行われる • どのような治療介入により、どの程度のアウトカ ム改善が得られるか確率研究=EBM • 最短距離で行う手法=クリティカルパス • 標準的治療=ガイドライン • 治癒不可能な疾患に対しては、この考えは当て はめられない 地域リハビリテーション研修会 14 根治できない疾患に対しては • 科学的方法は確立されていないとされ、 • 医学、教育、診療報酬体系では十分な扱いをさ れていない • ケアの質を検討するのは無駄? 自然な死、尊厳ある死をアウトカムにすればすべ てうまくいく、との思想 尊厳死の概念が発生してきます! 地域リハビリテーション研修会 15 新たな難病対策 • 我が国の難病対策は、昭和45年の「医療保険制度の 根本的改正について」の答申に始まりました 「特定疾患は全額公費負担とすべき」 • 平成8年に以下の項目が追加されました • 地域における保健・医療・福祉の充実と連携 • QOLの向上を目指した福祉政策 • 難病ケアにおける多専門職種ケアを地域のネッ トワークに広め、QOLの向上を目標とする! 地域リハビリテーション研修会 16 難病ケアの考え方 • 多専門職種ケアや多様な福祉施策の充実が必 要になります チームでの対応です • なぜか? • 機能障害が進行し、 • 自分では日常生活が全くできなくなり、 • 全介助で経管食を使い、 • 皆に支えられている状態であっても、 • 人間は対等な尊厳を持ち、幸せになりうる! …と、考えるからです 地域リハビリテーション研修会 17 難病ケアを阻むもの • QOL、尊厳という言葉がでてきていますが… • 根底には「機能主義」という価値観があります • 「人間は一生懸命努力し、能力や機能を高め ていく中で幸せになり尊厳を高められる」という 教育を受けています = 機能主義 • この他にも、「ピンピンコロリ思想」「内なる優性 思想」などが考えられます これらは普通の人の標準的感情と思います 地域リハビリテーション研修会 18 難病とQOL • 努力にも関わらず病気になる=機能低下 社会生活から脱落してしまう 幸せや尊厳の喪失 • 機能低下=QOLの低下と考えてしまうと… 難病は治療方法がないから… 難病=幸福、尊厳の喪失、となってしまう • これが内なる優性思想を生み出してしまいます 「自分なんかいなくてもいいじゃないか」 「いない方がいいんじゃないか」 地域リハビリテーション研修会 19 内なる優性思想の背景 • 優生学発生の背景は… • 第一次大戦後のヨーロッパで、「よりよい社会と 合理的な社会福祉政策」の検討にあります • QOLを高めることができない人間はかわいそう • どうしてもQOLが向上できない →生きていくのが苦しそうで忍びない →安楽死や慈悲殺はいたしかたない →しかし、殺すのは不憫 最初から生まれてこないようにしよう 地域リハビリテーション研修会 20 ALSの病名告知により • どんどん機能が低下してしまう • いずれは呼吸ができなくなる • 食事をとることもできないのか • 仕事もできないな • 家族に迷惑をかける • 人間らしい生活ができない • 生きる意味も尊厳もない • 自分はいない方がいい 患者さんの自律が損なわれた状態を生む危険 地域リハビリテーション研修会 21 そこで、難病ケアは • 自律を尊重する必要があります! • 自分の価値、尊厳、人生の意味は… • 自分の財産、地位、職業、能力、外見、病気の 有無等によって決定づけられていない • 尊厳が失われ、幸せになれないかも…に対し • 医療者の「そうではないですよ」の一言が自律 の尊重です • 医療者の側が、尊厳、QOLなどを正しく理解し ていなければなりません 地域リハビリテーション研修会 22 そして難病ケアは • 難病患者の損なわれた自律を回復するための ケアである、と言えるでしょう • 自律の回復 ≠ 自己決定 それは、 • 地域ネットワーク この2点に集約されます • 緩和ケア QOLの向上を目的に掲げています 地域リハビリテーション研修会 23 尊厳とQOL • 「夜間の頻回な吸引が家族負担になり、人工呼 吸器をつけて無理に延命処置されるのは耐えら れないので、尊厳死を選び人工呼吸器療法を 選択したくない」 …という選択をした人 • 果たして尊厳はないのでしょうか? • 呼吸器をつけることは延命でしょうか? 地域リハビリテーション研修会 24 尊厳死? • 尊厳死=日本では無理な延命治療をしないで 死に至ること? • 尊厳ある死は、もともとは終末期の患者の最後 の日々をどう支援するか、目標を示す用語 • 尊厳は死を形容しているのではなく、死に向かっ て最後の生を生きている人のあり方 • 尊厳ある死は尊厳をもって死に至るまで生きる こと • 死に至るまで、自らの存在を肯定する自尊感を もって生きるあり方を指す=生き方 地域リハビリテーション研修会 25 では、尊厳は? • 「死ぬ」ということを装飾しない用語であることは 間違いないようですが… • さまざまな捉え方があります • 生命の尊厳 • 人間の尊厳 • いのちの尊厳 地域リハビリテーション研修会 26 人の尊厳をどう捉えるか? • 尊厳には大きく二つの捉え方があります Dignity: 1 威厳ある振る舞い、高貴、高位 • この場合、高い・低い、ある・ないなどの比較論 になります • 人間に当てはめると序列ができてしまいます • 2 尊重に値する性質 • 3 自らを価値ある存在と感じる自尊感情 Sanctity:それ自体尊いもの • 本来はSanctity of Life(SOL:生命の尊厳) • 比較ではなく、尊厳はみな等しく同じです! 地域リハビリテーション研修会 27 尊厳は • 生命の尊厳に由来しています • どんな生命も置き換えられない価値がある • 「あなたのかわりになる人は、この世のどこにも いない」 • 尊厳は不可侵 • 相手を否定せず、お互いを尊重しあう • 人間による評価の対象ではない! • 「ある」「ない」を他者が評価するのは無意味 地域リハビリテーション研修会 28 緩和ケアの定義 • 緩和ケアは、死にいたる病に伴う問題に 直面している患者と家族に対し、疼痛や身 体的、社会心理的、霊的問題を、病初期 から認識し、適切なアセスメントと治療を行 い、その予防と苦痛の軽減を図ることによ ってQOLを改善するためのアプローチで ある.…末期だけでなく、もっと早い病期の 患者に対しても治療と同時に適用すべき 点がある. (WHO:2003) 地域リハビリテーション研修会 29 緩和ケアの概念の変遷 症状進行 発病 30年前 20年前 10年前 最先端 CUREのあきらめ=死 CURE CURE CURE 死 Terminal care Palliative care Palliative care ※川島孝一郎:地域における緩和ケアの推進に向けて より 延命治療をしない 誤ったターミナルケア CURE/CAREが同時進行 適切なPalliationを継続 =すべては緩和される 30 緩和ケアは • 生きることを肯定し、死を正常のプロセスとみな し、死を早めることも先延ばしすることもしない • これを実践することが緩和ケア • 終末期ケアのことでも延命治療の中止後のケア のことでもない • つまり、より良い生を尊重すること • これはその人らしく生きることに視点を置き、 • 死を前提としていない • 尊厳死と緩和ケアは真逆の考えです! 地域リハビリテーション研修会 31 改めて緩和ケアとは? • 最小限の治療しかしない、ということではない • 良い死を導くことではない • 尊厳をもって死ぬことでもない • どんな重篤な患者に対しても、症状の緩和を行 い、生きる意欲を助け、自立度を増し、在宅生 活もできるよう援助するもの 癌、AIDSに限ったことではない ※現行診療報酬は、緩和ケア病棟の対象者は癌、AIDSに限定されています 地域リハビリテーション研修会 32 では、リハビリテーションは? • 本来の意味は「復権」であるはず 難病患者さんに当てはめると… • どのような病気や障害があっても、生きていく自 分を肯定することが支援される、の意味 • 本人、家族、そして地域全体が難病と共に生き る患者を受け入れるということ • 身体機能が回復するか否かは重要ではない → 「障害は不便である.でも不幸ではない!」 ※乙武洋匡:五体不満足完全版 より 地域リハビリテーション研修会 33 セラピストの意識は? • 患者さんの「復権」を意識しているでしょうか? • 機能主義や内なる優性思想に縛られていないで しょうか? • 目前の患者さんを弱者とみていないでしょうか? • 地域ネットワークを意識して仕事をしているでしょ うか? • 緩和医療や緩和ケアを正しく理解しているでしょ うか? • 在宅医療を理解しているでしょうか? 地域リハビリテーション研修会 34 専門職として • 知識・技術を身につけ、向上の努力をすること は当然として… • さらに、ケアの理論と技術を身につける必要が あります • 地域での連携にセラピストの側からかかわり… • 在宅医療に真剣に取り組む必要があります • その上で… 必要となるのは揺るぎない信念と行動力! 地域リハビリテーション研修会 35 信念と行動力 • ケア=苦しみからの解放の援助 • 病期にかかわらずできる.限界はない • 個別性を重んじる=その人らしさを尊重する • 「あなたは大切な人です」 「どんな状態になって も決して見捨てません」 そばにいてかかわりきろうとする意志 • 傾聴できる忍耐、共感する感受性、苦しみを受 け止められる包容力、希望を提供する能力 • 理想論や批判ではなく、行動することが重要 地域リハビリテーション研修会 36 対応の実際 • 進行性であることを常に意識する • 次に打つ手を常に準備しておく • 後手に回らない • 対処方法は必ずあります • 医療者の側があきらめてはいけません • 問題は、呼吸と嚥下ですが… 地域リハビリテーション研修会 37 嚥下・栄養管理のアルゴリズム モニタリング 診断 嚥下状態(問診、VF) 栄養状態(身体計測、血液指標) 呼吸状態(%FVC) 嚥下訓練 嚥下指導 嚥下食 ALS functional rating scale Swallowing part(FRSsw) 4:正常に近い食生活 3:時々むせる 2:食形態の変更が必要 1:補助栄養が必要 0:経口摂取不可 嚥下状態評価 定期的に継続 FRSsw 1 吸引指導 %FVC>50% (低リスク) %FVC<50% (リスク上昇) 適応なし・希望なし 肺活量低下=内視鏡操作困難 →PEG困難 PEG検討 適応・希望あり 経口摂取とNG、 IOC、DIVの併用 経口摂取と PEGの併用 ※%FVC: %予想努力肺活量 ※NG:経管栄養法 ※IOC:間欠的経口 経管栄養法 ※DIV:点滴静注 FRSsw 0=経口摂取中止 唾液誤嚥 地域リハビリテーション研修会 外科治療検討 ※「政策医療ネットワークを基盤に した神経疾患の総合的研究」嚥下 グループ を部分改変 38 呼吸障害の場合 • 通常は、非侵襲的換気療法NPPV:Noninvasive positive pressure ventilation →侵襲式換気療法TPPV:Tracheostomy possitive pressure ventilation ※日本神経学会 ガイドラインでは… • 1 PaCO2≧45㎜Hg以上 • 2 睡眠中SPO2≦88%5分以上 • 3 %FVC≦50%か最大吸気圧≦60㎝H2O このうち一つを満たせばNPPVの適応ですが… 地域リハビリテーション研修会 39 実際には • 先のガイドラインでは遅すぎる、の意見が多い • 自覚症状…睡眠障害、朝方頭痛・頭重感、疲労 感、動作時の呼吸苦、食事時間延長、声量減少 、長時間会話困難 • 他覚症状…呼吸回数上昇、換気量低下、呼吸様 式の変化、呼吸補助筋の使用、夜間のSPO2低 下、PCF(peak cough flow)低下 これらを基に判断することとなります 私の経験では、体位変換が無効、PCFの低下 が決め手になることが多くありました 地域リハビリテーション研修会 40 地域の現状 • 三重県、四日市市でのALS患者さんの現状に ついて、簡単にご紹介します • まず、地理の特性をご理解ください 地域リハビリテーション研修会 41 桑名29 9の県域に区分=保健所 南北に長く 名古屋圏 四日市30 伊賀18 鈴鹿25 津28 北部の人口が多い 松阪21 特定機能病院は三重大学 中核病院は偏在 大阪圏 伊勢25 尾鷲4 地域リハビリテーション研修会 熊野4 数字の単位は万 公立中核病院所在市 42 保健所別ALS患者数 在宅人工呼 吸器装着者 人工呼吸器 装着者 桑 四 名 日 市 3 4 鈴 鹿 津 松 阪 伊 勢 伊 尾 熊 三重 賀 鷲 野 県 2 0 2 2 1 0 0 14 4 7 10 5 6 2 0 1 42 7 患者数 19 23 16 30 14 23 17 3 5 150 (人口:万) 29 30 25 28 25 25 18 4 4 188 ※平成24年10月31日現在 ※人工呼吸器は気管切開による者のみ 地域リハビリテーション研修会 43 まず在宅へ! • 一般的には… • 神経内科専門医の先生は、在宅医療について あまり詳しくありません 双方のコミュニケーション不足 • 一般の訪問診療をしている開業医の先生は、 みたこともない病気なので敬遠します 「呼吸器をつけて在宅にいられるの?」 在宅主治医が見つからない 地域リハビリテーション研修会 44 それを補うのは • 物理的なハンディキャップは、器機やマンパワ ーで十分に補える • 在宅医師は、一般的な在宅管理に加え、気管カ ニューレや胃瘻チューブの管理ができれば、専 門知識は要求されない • マンパワーと在宅に携わる人間のスキルアップ が在宅を支える • ノウハウは自分たちで蓄積するしかない! • そのために地域で行ったことは… 地域リハビリテーション研修会 45 四日市での取り組み • 呼吸器をつけてでも外出しよう!外出の既成事実化 • 病診連携の会の結成 ショートステイ先の確保につながる ショートステイ先に県から補助金を 多職種ケアの実現のために • 医療介護ネットワーク会議の開催 • 主治医連絡方法リストの作成 • 難病研修会の開催 • 防災訓練の実施 いずれも在宅チーム主導で行いました 地域リハビリテーション研修会 46 振り返ると… • 医師会の先生方の協力が大きいですが… • ノウハウは自分たちで作るしかない、の意識で、 • 多職種の顔の見える関係づくりから始まり… • 各職種一人一人がスキルアップし… • 行政を巻き込んで… • 地域全体としての難病ケアに向かっていると感じ ています • しかし、まだまだ問題も… 地域リハビリテーション研修会 47 地域の問題点 • 市民・医療従事者ともに、在宅医療への理解が 進んでいない →在宅は無理? • 病院ー在宅間に意識の隔たりがある →病院は病院、在宅は在宅(勝手にやって?) • 地域全体をよりよく向上させたいという視点が十 分ではない→自助、公助、互助、共助 • 人生観、死生観が成熟していない(市民・医療者とも) • 人間理解が進んでいない →人間とは何か? 生きるとは? 死ぬとは? 地域リハビリテーション研修会 48 患者会から県への要望事項 ALS患者にとって、病気の進行に伴う筋力の低下や関節の拘縮を 予防する上で、理学療法士によるリハビリは、とても重要です.在宅 で療養している患者が入院したり、入院中の患者が他医療機関に 転院した場合、現在は、継続して同じ理学療法士からリハビリを受 けることはできません.ALS患者のリハビリでは、患者一人一人で 異なる病気の進行による個々の筋肉の状態の把握、その日の筋 肉の張り具合、普段の生活での運動量も考えた上での微妙な力加 減など、とても繊細な治療が要求され、これらは、継続して治療を 施行している理学療法士でなければ、個々におこる変化の把握は 困難と思われます.医師の診療には、開放病床を持っている病院 に、かかりつけ医が訪問して診療を行った場合、開放型病院共同 指導料という保険診療が可能です.理学療法士によるリハビリにも、 在宅、入院を問わず、”かかりつけ理学療法士”による継続したリハ ビリが受けられるように希望します. 地域リハビリテーション研修会 49 セラピストとして • 専門職としての知識と技術に加え… • その人らしさを尊重する意識を持つ必要 • 私たちの責任の重さを自覚する必要 • 同時に、私たちにしかできないことでもあります • セラピストは障害学を学んでいます • だからこそ、難病理解は他職種よりも容易です • セラピストとして行動することが求められます • 行動することは、汗をかくことです • この国の未来のためのセラピストであり続けま しょう 地域リハビリテーション研修会 50 皆様お疲れさまでした! ご清聴 ありがとうございました! お問い合わせ、研修会情報はこちら http://www4.ocn.ne.jp/~kasumi-c [email protected] 地域リハビリテーション研修会 51
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