FOCUS 企業が求める ビジネスミーティング英語力 ― 調査報告からみる課題と解決法 (一財)国際ビジネスコミュニケーション協会 IP 事業本部長 一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協 会は「人と企業の国際化」に貢献することをミッ ションとして、日本における TOEIC®プログラ ムの実施運営ならびにグローバル人材開発に関す る情報発信や調査研究などを行っている。 安藤益代 英語ミーティングの難しさとは? -企業・国際部門の管理職対象に調査 この調査では、企業の国際的業務に携わる管理 職を対象に、部署で行う英語のミーティングに関 ビジネスのグローバル化が加速する中で、日本 して、困難を感じている点とその要因について尋 の企業は社内でも社外でも、多様な言語的背景を ねた。ミーティングの成果は、業務遂行スキルや 持つ人々と英語でミーティングをする機会が増加 専門知識、人間関係構築力など非言語的要素も影 している。それに伴い、ミーティングを円滑に行 響すると言われるが、この調査では、分野を切り い、業務目的を達成するための英語力もますます 分けて言語的側面にフォーカスした。調査方法は 重要になっている。 2通りで、インターネットによるアンケート調査 一方、英語によるビジネスミーティングの現状 (2013 年2月~4月実施、クローズドデータ 277 と課題については、個々の事例として取り上げら 件+オープンデータ 632 件=計 909 件)と、ア れることは多いが、英語教育学における「ビジネ ンケート結果の妥当性を検証するためのインタ ス英語」 (EBP:English for Business Purposes) ビュー調査(2014 年2月実施、12 社、12 名)で の分野で、このテーマに絞った大規模調査を通し ある。 て全体像を把握する試みはこれまであまり行われ 回答した国際業務部門の管理職の平均的なイ ていない。そこで当協会は一般社団法人大学英語 メージは次のとおりである。業務における英語 教育学会(JACET)と共同で、2012 年から2年 使用歴は6年以上 10 年未満で、平均3~4年の 間かけて国内の企業の国際業務部門を中心に、英 海外勤務経験を持ち、管轄部門は管理職以外の 語によるビジネスミーティングに関して現場でど 正社員が 10 ~ 13 人と、3人程度の管理職がい のような問題が生じているかを把握し、またその る。対象企業の業種ならびに職種は多岐にわたっ 解決法は何かを探る調査研究を行った( 「企業が ている。半数以上が英語で仕事をする割合が1~ 求めるビジネスミーティング英語力調査報告書」 30% 程度で、日常業務は日本語で行っていると 2014 年3月発行) 。本稿ではその概要を紹介する 回答している。英語によるミーティングは社内で とともに、これからのビジネスミーティングに必 は月5回、取引先や顧客など社外では月2.5回 要な英語力の育成について考察する。 程度であり、対面の会議が最も多いが、テレビ会 28 2015 年 1/2月合併号
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