STAS作成の 背景と開発過程 および日本語版について 2005年7月10日 日本ホスピス緩和ケア協会年次大会 STASを用いたクリニカルオーディット ミニワークショップ 医療法人鉄蕉会 亀田総合病院緩和ケア室 的場 和子 STASとは何か? • 1990年代前半 英国で在宅緩和ケアサービスの Audit Toolとして開発 • 緩和ケア患者用のアウトカム評価ス ケールとして活用。 では。。。。。。 1)Auditとは? 2)なぜ英国でAuditが必要とされるよう になった? 現代の医療制度 • 医療の需要↑ – 医学の進歩・現在の医療に対する期待の増大 →医療支出の増大 (科学技術の進歩→期待↑→支払う対価↑) • 高齢化、少子化→労働力率の割合低下 →公共財源の縮小=公的資金調達の制約 現代の医療制度② 公共財源の縮小=公的資金調達の制約 • 効率性(efficiency)の向上 – それぞれの国の医療制度において、Value for Money (費用にみあった価値)の追求 • 効率性のみの追求は危険 – 社会的立場での評価 – 効果(effectiveness)と公正(equity)の視点も 新しい経済 社会システムへ (広井2004) 市場経済を 超える領域の 発展 ケインズ政策 産業化 市場化 伝統的社会 消費構造 市場経済 物質・エネルギー 産業化社会前期 産業化社会後期 の消費 → 情報の消費 → 定常型社会 時間の消費 → 経済学の パラダイム 古典派 新古典派 ケインズ ? 科学の基本的 コンセプト 物質 エネルギー 情報 生命 政治哲学 保守主義 自由主義(リベラリズム) (vs保守主義) [対抗思想としての社会主義・共産主義] →社会民主主義 &環境主義 vs自由主義 社会の 構成単位 大家族 (3世代同居) 地域共同体 核家族化 企業(カイシャ) [理念としては個人] 個人単位化 ケアの社会化 政治哲学と「福祉(社会保障)-環境―生命倫理」 における対応 社会民主主義 Social Democracy 自由主義 Liberalism 保守主義 Conservatism 基本理念 自立した個人 +公共性 自立した個人 (→市場) 伝統的な家族や 共同体 社会保障 普遍主義モデル (税中心) 市場型モデル (民間保険中心) 社会保険モデル (社会保険中心) 環境 環境主義 (ないしはエコロジズム) 開発ないしは自然支配 cf.ダーウィニズム 自然との共生 (伝統的な自然とのかか わり) 生命倫理 公共主義的生命倫理 (公的規制を重視) 自己決定主義的生命倫理 (当事者の自己決定重視) 伝統主義的生命倫理 (“自然の摂理“など) 例 北欧 およびヨーロッパの一部 アメリカ 独・仏など (の保守政党) 広井2004 New Public Management 民間企業におけるマネジメントの発想と手法を、 公共サービス分野に適応しようとする新しい動きの総称 特徴 • 公共セクタの役割の見直し • 市場メカニズムの重視と民間活力の活用 • 効率の重視 • 成果・結果の重視 • 評価の重視 近藤2004 英国の医療改革(公→疑似市場へ) 1990「Working for patients] サービス提供者 公 → 機構 行政 医療機関 医療機関 サービス購入者 医療機関 患者 サービス消費者 どのサービスを選ぶか?提供されたサービスが、適正かどうか?=Audit New Public Management 民間企業におけるマネジメントの発想と手法を、 公共サービス分野に適応しようとする新しい動きの総称 特徴 • 公共セクタの役割の見直し • 市場メカニズムの重視と民間活力の活用 • 効率の重視 • 成果・結果の重視 • 評価の重視 近藤2004 医療の評価・標準化の 各レベルと評価主体 情報の 非対称性 大 提供者 消費者 専門学会 研究者 政府・第 3者機関 個々の 技術 ◎ ○ 技術総 体 ◎ ◎ ◎ ○ EBM DM 医療 サービス ○ ◎ ◎ ◎ クリティカルパ ス、病院機能 評価 ○ ◎ ホテルサービス (窓口の対応、 病室の環境) 主体 レベル ホテル 小 サービス 保険者 消費者 (例) 医療技術 評価など 広井2000 Clinical Audit • 診断や治療に用いられる手技/方法 • 医療資源の活用 • 結果として得られるアウトカムと患者への QOL を総括した”臨床でのケア“の質に対する 系統的で客観的(critical)な分析 医師単独のというより、あらゆる専門職、 ボランティア等も対象 Audit Cycle 基準・ゴールの設定 結果のフィードバック・ 臨床の改善 臨床実践の観察・ モニター 医療の評価・標準化の 各レベルと評価主体 情報の 非対称性 大 提供者 消費者 専門学会 研究者 政府・第 3者機関 個々の 技術 ◎ ○ 技術総 体 ◎ ◎ ◎ ○ EBM DM 医療 サービス ○ ◎ ◎ ◎ クリティカルパ ス、病院機能 評価 ○ ◎ ホテルサービス (窓口の対応、 病室の環境) 主体 レベル ホテル 小 サービス 保険者 消費者 (例) 医療技術 評価など 広井2000 Audit 成功の鍵 • 信頼性のある指標・クライテリアの存在 • 適切な指標・基準の存在 • 対象にふさわしい(有効な)指標の存在 • 簡便なシステム 緩和ケアにおける アウトカム指標の条件 • 状態の悪い患者・家族に対して使えること • 緩和ケアの目標を反映していること • ケアのなされていることそのままに評価で きること • QOLやQODDに関連していること • 臨床場面、研究、オーディットなど広い範 囲で使えること。 まとめ • 資源が無尽蔵にあると信じる時代は終焉し、 • 医療資源をどのように適正配分してゆけばよい のか、ということが問われる時代に突入 • 公正性の担保してゆくためには、 適切な評価とその結果の公開(説明責任)が求 められる。 ・適切な評価法は現場の経験のフィードバックか ら生まれる。 参考文献 • • • • • • • 広井良典 「医療情報の不確実性と医療システム改革」 村上陽一郎編 「21世紀の『医』はどこにむかうか」 NTT出版 2000 「ケア学ー越境するケアへ」 医学書院 2000 「脱ア入欧」 NTT出版 2004 Higginson, I 「Clinical Audit in palliative care」 Radcliff Medical Press, 1995年 的場和子、志真泰夫 「緩和ケアにおけるアウトカム評価とQOL評価”」 漆崎一朗編「新QOLと評価の手引き」メディカルレビュー社 2001年 OECD/阿萬哲也訳 「世界の医療制度改革」 明石書店 2005 Chocrane,A..L. Effectiveness and Efficiency 近藤 克則 「医療費抑制の時代」を超えて 医学書院2004
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