読書推進の取組

公共サービス論(2014.11.10)
第五回 図書館に関する主な法律2
1
1 学校図書館法
2 子どもの読書活動の推進に関する法律
第3次子どもの読書活動推進に関する基本的な計画
3 文字・活字文化振興法
4 その他
(参考)読書に関する統計
2
学校図書館法
(昭和28年8月8日法律第185号)
3
定義(第2条)
小学校、中学校、高等学校において、学校教
育に必要な図書館資料を収集・整理・保存
児童・生徒及び教員の利用に供する
学校の教育課程の展開に寄与するとともに、
児童・生徒の健全な教養を育成する
設置義務(第3条)
学校には、学校図書館を設けなければならな
い。
4
司書教諭(第5条)
学校には、学校図書館の専門的職務を掌ら
せるため、司書教諭を置かなければならない
附則
(司書教諭の設置の特例)
2 学校には、平成15年3月31日までの間(政
令で定める規模以下の学校にあつては、当
分の間)、第5条第1項の規定にかかわらず、
司書教諭を置かないことができる。
5
学校図書館法附則第二項の学校の規模を定
める政令(平成9年政令第189号)
学級の数が11以下の学校とする・・・と規定
6
設置者の任務(第6条)
学校の設置者は、学校図書館の整備・充実
に努めなければならない
国の任務(第7条)
• 学校図書館の整備・充実・司書教諭の養
成に関する総合的計画の樹立
• 専門的、技術的な指導・勧告
• その他
7
学校図書館法の改正
平成26年6月27日公布
平成27年4月1日施行
第6条を新設し「学校司書」を法制化
(主な内容)
①専ら学校図書館の職務に従事する職員を
学校司書と位置づけ,配置に努めること
②国及び地方公共団体は研修等の実施に努めること
③附則 学校司書の資格や養成の在り方について
検討し結果に基づいて必要な方策をとること
8
学校司書の役割と資質の向上について
配布資料参照
9
学校図書館の現状(平成24年5月現在)
○司書教諭の発令状況
12学級以上の学校
小学校
99.6%
中学校
98.2%
高等学校
95.9%
11学級以下
23.9%
27.4%
25.3%
○学校図書館担当職員の配置状況
小学校
中学校
高等学校
47.8%
48.2%
67.7%
出典:平成24年度「学校図書館の現状に関する調査」
10
○「学校図書館図書標準」の達成状況
23年度末(21年度末)
小学校
中学校
56.8%(50.6%)
47.5%(42.7%)
学校図書館図書標準
http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/dokusyo/hourei/cont_001/016.htm
出典:平成24年度「学校図書館の現状に関する調査」(文部科学省)
11
○全校一斉読書活動実施状況(公立学校)
小学校
中学校
高等学校
2001年
2012年
77.8% → 96.4%
60.5% → 87.5%
24.6% → 40.8%
○「朝の読書」活動の実施状況(公立学校)
小学校
中学校
高等学校
2001年
65.7%
49.7%
16.3%
2012年
88.4%
83.5%
32.2%
出典:平成24年度「学校図書館の現状に関する調査」(文部科学省)
12
学校図書館図書整備5か年計画
2012年度から2016年度の5年間で、学校図
書館図書標準達成を目指す。
単年度約200億円、5か年で計約1000億円
増加冊数分:約430億円(単年度約86億円)
更新冊数分:約570億円(単年度約114億円)
学校図書館の新聞配備
単年度約15億円、5か年で計約75億円
(内訳)新聞1紙配備分
13
学校図書館担当職員(学校司書)の
配置
○約150億円/年
(14,300 人×105 万円)
(内訳)1週当たり30時間、職員をおおむね2校
に1名程度配置することが可能な規模を措置
14
(参考)「学校図書館図書整備5か年計画」
(2007年度~2011年度)
2007年度から2011年度の5年間で、学校図書館
標準を目指すこととし、単年度約200億円、5年で
1000億円の地方交付税措置を行う。
増加冊数分 約400億円(単年度80億円)
更新冊数分 約600億円(単年度120億円)
予算措置実績
平成19年度 約156億円
平成20年度 約157億円
平成21年度 約164億円
15
言語力の育成
学校教育法改正(平成19年)
第21条第5項
読書に親しませ、生活に必要な国語を正し
く理解し、使用する基礎的な能力を養うこ
と。
学習指導要領改訂(平成20年)
第1章総則
「児童の発達の段階を考慮して,児童の言
語活動を充実する」資料
16
文部科学省作成資料
学力調査結果から見た学力と読書
文部科学省が実施した全国学力・学習状況調査でも、読書が
好きな児童生徒や読書する時間の長い児童生徒は、全体的に
見て、国語の問題で正答率が概ね高い傾向が見られた。
中学3年生「読書はすきですか」
小学6年生「読書はすきですか」
100.0
(
正
答
率
)
国語A
国語B
86.4 82.7 80.7
76.8
82.2 77.1
74.2 68.0
75.0
100.0
(
正
答
率
)
75.0
50.0
50.0
25.0
25.0
0.0
国語A
80.7 75.7
72.0 67.8
国語B
72.0
66.2 61.6
55.9
0.0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
当てはまる
どちらかといえば、当てはまらない
どちらかといえば、当てはまる
当てはまらない
平成22年度全国学力・学習状況調査より
17
OECD生徒の学習到達度調査(PISA)2009
趣味としての読書に費やす時間別に見た生徒
の割合
趣味で読書に費やす時間
趣味で読書をすることはない
1日30分以下
1日31分~1時間未満
1日1時間~2時間
1日2時間以上
総合読解力得点
492
536
550
552
537
出典:生きるための知識と技能(2009年調査国際結果報告書
国立教育政策研究所編)
18
子どもの読書活動の推進に関する
法律(平成13年法律第154号)
http://www.douwa-kids.com/ja/outline/giren.html
19
目的(第1条)
子どもの読書活動の推進に関する施策を総合的か
つ計画的に推進し、子どもの健やかな成長に資す
ること。
基本理念(第2条)
読書活動は、子どもの健やかな成長に不可欠なも
のであることにかんがみ、すべての子どもが機会・
場所を問わず、自主的に読書活動ができるよう、積
極的にそのための環境の整備が推進されなければ
ならないものとすること。
20
国の責務(第3条)
施策を総合的に策定し、実施すること。
地方公共団体の責務(第4条)
国との連携を図りつつ、地域の実情を踏まえ、施策
を策定し、実施すること。
事業者の努力(第5条)
子どもの健やかな成長に資する書籍等の提供に努
めること。
21
保護者の役割(第6条)
読書活動の機会の充実と習慣化に積極的な役割を
果たすこと
関係機関等の連携強化(第7条)
国、地方公共団体は学校、図書館、民間団体等と
の連携強化その他必要な体制整備に努めること
22
子ども読書活動推進基本計画(第8条・第9条)
• 政府は子どもの読書活動の推進に関する基本
的な計画を策定し、国会に報告するとともに、公
表しなければならない
• 地方公共団体は政府の基本計画を基本とすると
ともに、地域の状況等を踏まえ、読書活動推進
計画を策定するよう努めるとともに、これを策定
したときは、公表しなければならない
23
子ども読書の日(第10条)
4月23日を子ども読書の日とし、国・地方公共団体
はこの日にふさわしい事業を実施するよう努めなけ
ればならないこと
財政上の措置等(第11条)
国・地方公共団体は、必要な財政上の措置等を講
ずるよう努めること
24
子どもの読書活動の推進に関
する基本的な計画(閣議決定)
25
今後おおむね5年間にわたる施策の基本的方
針と具体的な方策を明らかにするもの
第1次基本計画・・・平成14年8月閣議決定
・読書環境の整備について4本の柱を設定
第2次基本計画・・・平成20年3月閣議決定
・「家庭」「地域」「学校」の取組を明記
・数値目標設定
・国、地方公共団体、関係機関等の連携体制を強調
第3次基本計画・・・平成25年5月閣議決定
26
子どもの読書活動推進体制
(1)国における推進体制
・関係省庁、地方公共団体、学校、図書館、
民間団体等との連携強化、関連情報の
収集・提供
今後10年間で不読率を半減
(例:高校生 53.2%⇒26%以下へ )
27
子どもの読書活動推進体制
(2)地域における推進体制
・市町村推進計画策定率 53.8%
(市71.1%、町村38.8% 平成23年度末)
⇒ 市100%へ、町村70%以上へ促進
・具体的な目標を設定し、達成状況等に
関し点検及び評価を行うよう努めること
28
家庭における取組
図書館等における家庭教育に関する講座
や読み聞かせ会等を通じた保護者に対す
る理解の促進
家庭における読み聞かせなど、家庭で読
書を習慣づけることの重要性について
情報提供
29
地域における図書館の取組
①読書活動に関する情報提供
②図書館相互や関係機関との連携・協力
③学校図書館との連携・協力
④ボランティア活動の推進
30
地域における図書館の機能強化
①公立図書館の整備
公立図書館未設置市町村の解消に向けた取組
②図書館の資料、施設等の整備・充実
ア 資料の整備
イ 移動図書館の活用
ウ 情報化の推進
エ 子どもの利用のためのスペース等の整備
子育て施策や福祉施策等の担当部局との連携・協力
オ 障害のある子どものための諸条件の整備・充実
カ 運営の状況に関する評価等の実施
31
③司書及び司書補の専門的職員の配置・研修
ア 司書及び司書補の適切な配置
イ 司書及び司書補の研修の充実
国、自治体は継続的・計画的な研修実施に努める
32
 その他
子どもの読書活動の推進における大学図書館
の役割
「子どもの読書活動を推進する上で、大学図書館が有する
知見や資料を活用することは有効である。このため、大学
図書館は一般開放や所蔵資料の図書館への貸出しなど、
地域や図書館と大学図書館の連携・協力を推進する。」
33
学校等における取組
①児童生徒の読書習慣の確立・読書指導の充実
②障害のある子どもの読書活動の推進
③家庭・地域との連携による読書活動の推進
保護者や住民によるボランティア活動
小学校 81.2% 中学校27.2%
(「平成24年度学校図書館の現状に関する調査」)
34
学校における条件整備
新学校図書館図書整備5ヵ年計画に基づく、学校
図書館図書標準の達成の促進
【単年度200億円, 5年間で1,000億円の地方財政
措置】
司書教諭、学校図書館担当職員の配置促進
学校図書館の情報化
35
地方公共団体の読書推進計画の
策定状況
 都道府県読書推進計画策定率 100%
(平成18年11月に達成)
 市町村読書推進計画策定率(平成26年4月現在)
策定済み 64.2%(前年度59.8%)
策定中
8.7%(前年度9.5%)
検討中
13.7%(前年度15.4%)
予定なし 13.3%(前年度15.3%)
調査結果
http://www.kodomodokusyo.go.jp/happyou/datas.h
tml
36
文字・活字文化振興法
(平成17年法律第91号)
37
基本理念(第3条)
すべての国民が、その自主性を尊重されつつ、生
涯にわたり、地域、学校、家庭その他の様々な場に
おいて、居住する地域、身体的な条件、その他の要
件にかかわらず、等しく豊かな文字・活字文化の恵
沢を享受できる環境を整備すること
国の責務(第4条)
地方公共団体の責務(第5条)
関係機関との連携強化(第6条)
38
地域における文字活字文化の振興(第7条)
① 市町村は、必要な数の公立図書館を設置し、及び
適切に配置するよう努めるものとする
② 国及び地方公共団体は、司書の充実等の人的体
制の整備、図書館資料の充実、情報化の推進等
の物的条件の整備その他の公立図書館の運営の
改善及び向上のために必要な施策を講ずるよう努
めるものとする
39
国民読書年
国民読書年に関する決議(平20.6国会採択)
 読書推進に向けた気運の一層の発展をめざし、「文
字・活字文化振興法」制定から5年目の2010年を
「国民読書年」と定める。
 読書の街づくりの広がりや様々な読書に関する市
民活動の活性化など、読書への国民の意識を高め
るため、政官民が協力し、国をあげてあらゆる努力
を重ねることを宣言。
40
国民の読書推進に関する協力者会議
(2010.7~2011.9)
座 長:福原 義春(資生堂名誉会長)
副座長:肥田美代子(財団法人文字活字文化推進機構理事長)
国民の読書や読書環境の現状や課題を把握・分析し、読書へ
の国民の意識を高める効果的かつ効率的な取組の検討を行う
「国民読書年に関する協力者会議」(以下、読書推進会議とい
う)を設ける。
<検討事項>
• 国民の読書及び読書環境の現状と課題等について
• 読書活動の推進のための公立図書館、学校図書館等に
おける現状と課題等について
• 具体的な取組について
41
報告書 『人の、地域の、日本の未来を育てる
読書環境の実現のために』
第1章 なぜ今読書が必要なのか
第2章 読書環境・読書活動の現状
(1)読書環境の現状
(2)読書活動の現状
(3)読書環境の変化の動向、特にICTの影響
第3章 人の、地域の、日本の未来を育てる読書環境
の実現のために~3つの提言~
提言1:読書で人を育てる、「読書を支える人」を育てる
提言2:住民参加で自治体ごとの「読書環境プラン」(仮
称)を策定し、実現する
提言3:読書の可能性や将来像を構想し、推進するプラッ
トフォーム(基盤となる「場」)をつくる
42
報告書
~ 人の、地域の、日本の未来を育てる読書環境の実現のために ~
POINT
第3章
人の、地域の、日本の未来を育てる読書環境の実現のために~3つの提言~
【提言1】 読書で人を育てる、「読書を支える人」を育てる
① 自治体の首長や議員の理解を得る
② 司書や司書教諭等の読書に関する専門的職員を充実する
③ 地域で読書に関わるすべての人を支援する
【提言2】 住民参加で自治体ごとの「読書環境プラン」(仮称)を策定し、実現する
①
②
③
④
⑤
市町村が、主体的に、それぞれの独自性を活かして取り組む
学校や保育所、児童館、公民館等の読書環境を充実する
図書館の機能強化を図る
あらゆる世代の住民が参画し、議論し合う
国は自治体の取組を強力に支援する
【提言3】 読書の可能性や将来像を構想し、
推進するプラットフォーム(基盤となる「場」)をつくる
① 本を起点としたコミュニケーションを活発化させる
② 読書に関する関係者の力を結集したプラットフォームをつくる
報告書掲載URL
• http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/
09/__icsFiles/afieldfile/2011/09/02/131071
5_1_1.pdf
44