「学校裏サイト」等でのトラブルの未然防止についての 調査の実施結果

「学校裏サイト」等でのトラブルの未然防止についての
調査の実施結果について
全国で児童生徒等が運営する学校裏サイトが多数存在するこ
とが明らかになり、これを温床とするネットいじめ等が重大な
問題となっている中、本市において、いじめ・不登校等を未然
に防止し、児童生徒の健やかな成長を図るために、学校裏サイ
トに係わる実態を調査しました。
Ⅰ
調査時期
平成20年5月中旬~6月上旬
(アンケートは平成19年度以降の状況を対象とした。)
Ⅱ
Ⅲ
調査対象
1
市立小学校
:
115校
2
市立中学校
:
51校
3
市立高等学校
:
10校
4
特別支援学校
:
3校
(全日制5校、定時制5校)
調査の方法
学校管理職または児童生徒指導担当者による回答
-1-
□ ■ □ 調査結果の概要 □ ■ □
1
「学校裏サイト」の確認について
■ 現 在 、学 校 裏 サ イ ト は 、小 学 校 7 校( 約 6 % ) 、中 学 校 3 3 校( 約 6 5 % )、高 校 4 校
( 4 0 % )で 確 認 し て い ま す 。な お 、平 成 1 9 年 度 か ら 現 在 ま で に 学 校 で 確 認 し た サ イ
トは中学校で38校(75%)、小学校10校(9%)となっています。
①確認している
②現在は確認できていない
③確認していない
小学校
グラフ内は校数
7
0%
3
105
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
①確認している
②現在は確認できていない
③確認していない
中学校
グラフ内は校数
33
0%
10%
20%
30%
5
40%
50%
60%
13
70%
80%
90%
100%
小学校
中学校
高等学校
①
確認している
7
33
4
②
過去には確認できたが、現在は確認できていない
3
5
2
③
確認できていない
105
13
4
※数字は学校数
2
裏サイトの確認方法について
小学校
■学校での
中学校
裏サイトの
確認は、半
⑤その他
⑤その他
数以上のサ
④保護者・地域住民
④保護者・地域住民
③卒業生
③卒業生
②児童生徒
②児童生徒
①教職員
①教職員
イトで、限
られた時間
と環境の中、
教職員自ら
が努力しサ
0
2
4
6
8件
イトの発見
0
10
20
30
40 件
や監視を行
っている状
況です。
-2-
※報告数は延べ件数
小学校
中学校 高等学校
①
児童生徒指導担当者等、教職員が確認した
7
36
3
②
児童生徒の申告(話)により確認した
2
20
4
③
卒業生の申告(話)により確認した
0
4
0
④
保護者・地域住民の申告(話)により確認した
3
11
0
1
1
1
⑤その他
3
情報教育の講師を招いたときに、講師から教えてもらった。
「学校裏サイト」内の個人の誹謗中傷等やトラブルに発展するおそれのある悪質な
書き込みの存在について
小学校
中学校
②ない
6
②ない
①ある
4
①ある
0
9
5
10
校
29
0
10
20
校
40
30
■確認した「学校裏サイト」の中で、個人の誹謗中傷等やトラブルに発展するおそれのある悪質な書
き込みの存在は、中学校で29校(サイトの約76%)、小学校は4校(サイトの40%)に存在
が確認されており、在校生や卒業生の情報交換の場として運営されている掲示板の中にも他人の悪
口や個人を誹謗中傷する書込みが数多くあることが報告されました。
小学校
中学校
高等学校
校数
4
①
ある
4
29
4
②
ない
6
9
2
「学校裏サイト」での誹謗中傷やいじめの被害者やトラブルの対象者について
件
数
小学校
中学校
高等学校
①
児童生徒
4
28
4
②
教職員
2
13
0
③
削除依頼をした教職員
0
3
0
■「学校裏サイト」内の誹謗中傷の対象者は、児童生徒、教職員、削除依頼をした教職員で、児童生
徒が中学校で28校、小学校は4校。教職員への誹謗中傷は、小学校で2件、中学校で13件、
その内、削除依頼をした教職員への誹謗中傷が3校報告されています。中学校では学級の間のト
-3-
ラブルに加え、部活動や対教師の人間関係等、学校や学級の人間関係づくりに課題があることが
明らかになりました。
小学校、中学校とも児童生徒を対象にした書込み内容では、
Ky(空気読めない) 「うざい。」 「むかつく。」 「キモイ。」 「最悪。最低だね。」「消
えろ。死ね。殺す。」などの暴言、障害及び性的な表現を含む個人を誹謗中傷する悪質な言葉等
が多いことが報告されました。これらの書込みは、匿名性があることや直接相手のいないところ
で行っていることで、書き込む側が気持ちを大きくしていると思われます。
また、教職員を対象にした書込みでも、「うざい」「むかつく」「きもい」「殺したい」、そ
の教員の体型に関する具体的な書き込み、事実無根な性的な内容等、児童生徒と同様の内容で書
き込まれていることが報告されました。
5
書き込みがいじめや不登校、暴力行為などのトラブルに発展した件数について
<小学校>
児童間トラブル・・・・・・・・・・・・・1件
<中学校>
生徒間トラブル・・・・・・・・・・・・38件
特定の子へのいじめ・・・・・・・・・・18件
不登校に発展・・・・・・・・・・・・・・1件
他校とのトラブル・・・・・・・・・・・12件
<高等学校>
特定の子へのいじめ
・・・・・・・・1件
不登校に発展・・・・・・・・・・・・・・1件
他校とのトラブル・・・・・・・・・・・・1件
■ネットの書込みが上記のような児童生徒間のトラブルのきっかけとなっていることや、中学校で
は他校の悪口を書き込むことで、学校間のトラブルにも発展していることが報告されています。
件 数
1
2
3
4
5
6
中
中
中 高 高 高
年 年 年 年 年 年 1
2
3 1 2 3
①児童生徒間のトラブルの発生
0
0
0
0
0
1
11
13
14
0
0
0
②特定の子が対象となったいじめの発生
0
0
0
0
0
0
4
6
8
0
0
1
③不登校に発展
0
0
0
0
0
0
1
0
0
1
0
0
④他校とのトラブルに発展
0
0
0
0
0
0
2
4
6
0
0
1
⑤その他
0
0
0
0
0
1
1
0
0
0
0
0
小学校
中学校
高等学校
①
削除依頼をした
2
20
4
②
保護者、地域住民に協力を得た
3
6
0
③
悪質な書き込みをした児童生徒に対し指導した
4
10
2
④
誹謗中傷の対象となった児童生徒の心のケアを行った
2
20
2
⑤
悪質な書き込みをしないよう児童生徒に全体指導した
2
23
3
⑥
とくに対策は行っていない
0
0
0
⑦
その他
1
5
0
-4-
中学校
小学校
⑦その他
⑦その他
⑥とくに対策は行っていない
⑥とくに対策は行っていない
⑤児童生徒に全体指導
⑤児童生徒に全体指導
④誹謗中傷児童生徒の心のケ
ア
④誹謗中傷児童生徒の心のケア
③悪質な書き込み児童生徒に
指導
③悪質な書き込み児童生徒に指導
②保護者、地域住民
②保護者、地域住民
①削除依頼
①削除依頼
0
1
2
3
4
0
5
件数
5
10
15
20
25
件数
■書込みに対しては、削除依頼を出したケースが中学校で20校、小学校で2校報告されています。
また、『被害児童生徒の心のケアを行った。』『書き込みをした児童生徒への直接指導をした。』
『児童生徒への全体指導した。』『保護者・地域住民の協力を得た。』等、悪質な書き込みをし
ない指導にも学校自らが取り組んでいることがわかります。
6
削除依頼者について
削除依頼の件数
小学校
中学校
高等学校
①
本人
0
4
2
②
保護者
1
8
0
③
担任
2
2
0
④
校長
1
3
0
⑤
その他
0
9
2
■学校が出した削除依頼数は、小学校で3件、中学校で5件報告されました。また、保護者やその
他、相談機関から削除依頼を出しているケースも多く、ネットトラブルに関しては協力体制が大
切だということがわかります。
-5-
7
裏サイト以外の携帯やPCメールによるトラブルについて
小学校
中学校
64
②ない
②ない 7
0
0
20
44
①あった
51
①あった
40
60
0
80
20
40
60
■その他、メールやインターネットに係わるトラブルは、中学校で44校(86%)、小学校で51
校
(44%)で発生しています。
件数
①
あった
②
なかった
中学校
51
44
高等学校
5
64
7
5
◆児童生徒ともに裏サイト以外のインタ
ーネットのトラブルはメールトラブル
小学校
が多いことが明らかになりました。
件数
6年
5年
4年
3年
2年
1年
⑧ そ の他
⑦ ネ ット オ ー ク
シ ョン
⑥有 害 サ イ ト
⑤掲 示 板 不 適 切
な書 き込 み
④ チ ェー ン メ ー
ル
③なりすま し
メー ル
② P C メー ル
① 携 帯 電 話 メー
ル
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
小学校
また、トラブル内容はチェーンメー
ルやなりすましメールが数多く報告さ
れました。
子どもたちの中で匿名性や発信者が
わからないような技術を使い、他人に
なりすます等、いたずら目的や嫌がら
せ、児童生徒同士のけんかにメールが
使われていることが分かります。
トラブルの多くは、小学校は
①チェーンメール
②携帯電話メール
③なりすましメール
④PCメール
の順に、
中学校では、
①携帯電話メール
②チェーンメール
③PCメール
④なりすましメール
の順になっています。
-6-
中学校
件数
⑧ そ の他
⑦ ネ ット オ ー ク
シ ョン
⑥有 害 サ イ ト
⑤掲 示 板 不 適 切
な書 き込 み
④ チ ェー ン メ ー
ル
③なりすま し
メー ル
② P C メー ル
8
3年
2年
1年
① 携 帯 電 話 メー
ル
70
60
50
40
30
20
10
0
学校の未然防止及び対応指導について
■これらインターネットトラブル未然防止及び対応指導として、学校では書込みを行った該当児童
生徒に直接指導するばかりでなく、情報リテラシー、情報モラル教育を実施して悪質な書込みや、
メールの悪戯を未然に防止する指導にも取り組んでいることが報告されました。
小学校
考
●
中学校
高等学校
①全体で計画的な情報モラル教育推進・・・114校(はるひ野除く)
51校
10校
②児童生徒対象の講演会・・・・・・・・・
12校
39校
2校
③保護者向け講演会・・・・・・・・・・・
18校
22校
1校
④学年集会でトラブル対応指導・・・・・・
17校
26校
3校
⑤学級指導でトラブル対処指導・・・・・・
64校
21校
4校
⑥全校集会でトラブル対処指導・・・・・・
3校
33校
5校
⑦学校便り、学年便りで啓発・・・・・・・
28校
15校
0校
察
小学校高学年から中学校で、メールでのトラブルがかなりの数で発生している状況です。携帯や
PCのメールの使い方、なりすましメールや有害サイトへのアクセス、個人情報の漏洩などトラ
ブル未然防止の観点から、小学校から情報モラル教育を計画的に推進していく必要性が明らかに
なりました。
■
学校裏サイトでは、小学校では児童同士、中学校では教職員が誹謗中傷を受けたり削除依頼した
職員が中傷の的になったりしていて、学級や学校の人間関係づくりを基盤に問題解決をしていく
ことが課題と考えます。
■
保護者等、大人の方が知識が不足しており、携帯電話は使い方によっては危険性を伴うものであ
ることを認識することが一層必要と考えます。教育委員会としては、PTAと連携を図り全市的
な取組の中で保護者へ啓発を図る計画を進めています。
■
各学校では限られた環境や時間の中で「学校裏サイト」を含むネットトラブルに対応しているこ
とが明らかになりました。今後も情報モラル教育の実施や情報トラブルを含むいじめに対する相
談体制を整備していくことが重要と考えます。
-7-