第2章 論理関数

第1章の概要


講義の概要
ディジタル・システム
– ディジタル信号とアナログ信号
– ディジタル・システムの特徴
– 直列と並列、符号化

数の表現
– s 進数
– 基数の変換
第2章 論理関数
ディジタル・システムは論理機能をハード
ウェアで実現したものである。
本章では論理機能を表現するための論
理関数について学習する。
概要





命題論理
二項論理演算
論理値の計算
物理的実現
完全系(素演算)
命題論理

例題
— 警報器の作動
– 警備員室のマスタースイッチが入っていて、か
つ((金庫の扉が動く)かまたは(警備員の
キーで入れられる特殊スイッチが切ってあると
きに、 銀行の入り口のドアが開く))
警備員室
マスター
スイッチ
金庫の扉
入り口のドア
特殊スイッチ
記号で表す





警報器が鳴る
マスタースイッチがオン
銀行のドアが開く
金庫の扉が動く
特殊スイッチがオン
定義

命題
– ある内容を表す文章において、その内容が真
であるか偽であるかのいずれかであるものを
いう.

真理値
– 真(T)または偽(F)の値

命題の値
– 命題は値として真理値〔真または偽の値〕をも
つ。
論理操作(論理演算)




否定
論理積
論理和
その他

否定(NOT, negation)
– 特殊スイッチがオンでない= S
– S の否定を表すのに S のほかに
などの表し方がある。

論理積
– 特殊スイッチがオンでなく、かつ 銀行のドア
が開く
一般に命題 A が真かつ命題 B が真のときに
(そのときに限って)真となる命題を A と B の
論理積
で表す.

素命題と複合命題
– 素命題 ・・・ 「特殊スイッチがオン」
– 複合命題 ・・・

論理和
– A が偽 B が偽のときに、そのときに限って偽と
なる複合命題

排他的論理和 (exclusive OR)
「太郎が青の乗用車に乗ってくるか、または赤
のスポーツカーに乗ってくる。」

その他
– 対等 (equivalence)
– 含意 (implication)

真理値表
2項論理演算

定義
– 論理変数・・・真理値をとる変数
– 論理関数・・・論理変数に対して論理演算を施
したもの
論理関数は真理値(の組み合わせ)から真理値
への写像である.
– 論理演算を で表し
• 2項演算
• 単項演算
2変数論理関数
1変数論理関数

2変数論理関数はいくつあるか?
NAND
NOR
優先順位
なるべく
を使う
論理値の計算


論理変数にT, F を代入して論理関数の値
を求める。
例題
の計算

この3つの式は等しい

同様に

任意の2変数論理関数は必ず16の二項
演算のうちの一つで表すことができる.
物理的実現

ゲートの表記法
AND
NAND
OR
NOR
NOT
物理的実現 (続き)

回路の設計手順
– 問題から論理式または真理値表を作る。
– and, or, not で表現する。
– 等価なもので最も安くできる式を探す.
– 式を回路に直す。

警報器の例 ーー 回路を書いてみよう。
完全系(素演算)





が恒等的に成立するこ
とを示せ.
2項論理演算子の中には not や他の2項
演算子で表されるものもある.
必要最低限の演算子の個数はいくつか?
, ,  の3つがあれば十分である.
 と  だけではダメである。なぜか?
否定、論理和、論理積による表現
16個の論理演算子




論理積は論理和と否定で表現できる.
論理和は論理積と否定で表現できる.
↓(nor)があればすべてが表現できる.
↑(nand)があればすべてが表現できる.
なぜか?
次章に続く