第3回 論理式と論理代数 本講義のホームページ: http://www.ee.tcu.ac.jp/lectures/digital/index.html ユーザ名: tcu パスワード: seto 1 ディジタル回路の回路図作成の注意 回路記号はテンプレートを使用し、丁寧に書くこと 順番 昇順 a 0 0 0 0 1 1 1 1 b 0 0 1 1 0 0 1 1 c 0 1 0 1 0 1 0 1 必ず入力名 a b c 出力 0 1 1 交点に 0 黒丸を 1 付ける 0 0 1 必ず出力名 f はみ出さない 線は定規で書く 2 論理否定の良く使われる省略記法 論理否定(NOTゲート): 下の二つはどちらも同じ意味 x x x x こちらのほうがよく使われる NOTゲートは、小さな白丸(○)の省略表現可能 ゲートの前後にくっつける 2重否定により,以下の2つの白丸は削除可能 3 関数とは? (復習) 函数とも書く (「 はこ 」の数) 入力を与えると,出力が1つ決まる 入力 x 函数 (はこ) 出力 y=f(x) 例えば, y = f(x) = 2x (1変数, 1次関数): x=1 なら y=2 w = g(x,y,z) = 3x2+y+2z3 (2変数, 3次関数) 変数 x, y, z, y, w は,通常, 実数 x=0.1243, y=-3.333.., ... の範囲 4 論理 関数(式): 組合せ回路の機能を表す 組合せ回路の入出力関係( 真理値 表) = “関数”そのもの 入力が決まると、出力が1つに決まる 信号の状態: 変数A,B,C,...で表現(0: 低い電圧,1: 高い電圧) 論理関数と呼ぶ 変数の値は 0 か 1 どちらかだけ(2値変数) 対応する 真理値表 C B A 組合せ 回路 Y 対応する 論理関数(式) C 0 0 0 0 1 1 1 1 B 0 0 1 1 0 0 1 1 A 0 1 0 1 0 1 0 1 Y 1 0 0 0 0 0 0 1 本日学習する Y = A・B・C + A・B・C 5 基本論理演算の記号 (復習) 通常の関数で,四則演算 (+, -, ×, ÷)に対応 A∙B 論理積 (AND) B 0 0 1 1 B A A 0 1 0 1 論理和 A+B (OR) B 0 0 1 1 Y 0 0 0 1 Y= A∙B B A A 0 1 0 1 論理否定 A (NOT) Y 0 1 1 1 Y= A+B 通常の足し算と 異なるので注意 A 0 1 A Y 1 0 Y= A 6 XORも比較的よく出現します XOR (eXclusive OR, 排他的論理和) A B XOR 0 0 0 0 1 1 1 0 1 1 1 0 B A Y= A+B 7 論理式と論理関数 論理式 括弧(),論理積・, 論理和+, 論理否定 , を組合せて作った式 A∙B+C A∙(B+C) 論理式の例1 論理式の例2 括弧と使うと,式の中の 計算順序を変更可能 論理関数 (= 論理式) 論理式中の2値変数 に値を代入すると、式の値 (0, 1)が決まる 論理式で表される関数。 変数の値は,0または1 f(A,B,C)= A∙B+C 論理関数 8 論理和,論理積 の 結合 法則 加算(+)や,乗算(×)で成立 (小学校で学習) (A+B)+C = A+(B+C)= A+B+C (A×B)×C = A×(B×C)= A×B×C 論理和(+)や,論理積(・)でも,同様に成立 (A+B)+C = A+(B+C)= A+B+C (A・B)・C = A・(B・C)= A・B・C A B C Y = A B C Y = A B C 3入力ANDゲートを,2入力ANDゲート2個で実現可能 Y 9 論理否定の注意点 論理否定の付け方は,要注意! A・B ≠ A・B A B A B 例えば,A=0, B=1のとき, A・B = 0 A・B = 1 10 論理式について,少々用語説明を リテラル (literal) 二値変数 A に対して、その肯定形か否定形 例: A または A のこと 積項(product term) 2つ以上のリテラルの論理積 例: A・B 積和形 複数の 積項 の論理和で表現された論理式 A・B + A・B・C 11 積和形 ⇔ 組合せ回路 (AND・OR二段回路) 積和形は,組合せ回路を表す AND ・ OR 二段回路 とよぶ 積和形: Y = A・B・C + A・B・C + A・B・C A B C A・B・C A・B・C 積項の数 = AND ゲートの数 = OR ゲートの入力数 Y A・B・C 12 組合せ回路、真理値表、論理式の関係 組合せ回路 真理値表 論理式 互いに,変換可能 13 論理積の記号は省略できます 例: Y = A・B・C + A・B・C + A・B・C Y = ABC + ABC + ABC 注意: ただし,2進表現と,論理積を,間違えるな! 二進数: A1 A0 A1 =0, A0=1のとき, 1 A1 =1, A0=1のとき, 3 論理積: A1 A0 A1 =0, A0=1のとき, 0 A1 =1, A0=1のとき, 1 また,A B ≠ A B であることにも注意 14 論理式の簡単化による組合せ回路の最適化 y =((a・b)+c)+(c・b)・d a b 一つの論理式は、様々 な論理式に変形できる a・b (a・b)+c y 6個 (c・b) c d (c・b)・d 簡単な論理式を使えば、 ゲート数が削減可能 ⇒小面積(低コスト)、 ⇒省電力 ⇒高性能 実は y は、y’ =(a・b)+cと等しい( 等価 ) a 2個 b c y’ 式簡単化の基礎 「論理(ブール)代数」 を学ぶ 15 ブール代数の公式 (1) (回路変形に利用可能, x,yは任意の論理式) (1) 交換則 実数の+,×で 当たり前の法則 x・y = y・x x+y = y+x (2) 結合則 x・(y・z)=(x・y)・z x+(y+z)=(x+y)+z (3) 分配則 x・(y+z)=x・y+x・z x+(y・z)=(x+y)・(x+z) (4) 零元0、単位元1 x・0 = 0, x+1 = 1 ブール代数(+,・) 特有の性質 (5) 補元 x x・x = 0, x+x = 1 16 ブール代数の公式 (2) (式変形,回路変形に利用可能) 二重否定 x = x ドモルガンの定理 (x+y)= x・y (x・y)= x+y 吸収律 x+x・y = x ブール代数 独特の性質 x・(x+y)= x 重要な注意: 論理式には,”2xy”とかは出てこない 17 公式による,ディジタル回路の変形 交換則 x・y = y・x x y 結合則 x・(y・z)=(x・y)・z x y z 分配則 x・(y+z)=x・y+x・z x y z x y x y z x y z 18 公式とゲート回路との対応 (ANDゲート版) x・x = x x・0 = 0 x x 0 x・1 = x x 1 x・x = 0 x=x x x 0 x 0 x x x x 配線 配線 0 x x 0 x 配線 x 19 ドモルガンの定理 (復習) ドモルガン(Augustus De Morgan, 1806-1871,英) 数学的帰納法の名付け親 以下の回路変形が可能 ANDゲートを,ORゲートに ORゲートを,ANDゲートに (x+y) x・y (x・y) x+y 20 完全性とは? {AND, OR, NOT} 「完全性」 を持つ ⇔ AND, OR, NOTゲートで, 任意 の組合せ回路を実 現 B A C B A C 0 0 0 0 1 1 1 1 B 0 0 1 1 0 0 1 1 A 0 1 0 1 0 1 0 1 C Y 0 0 0 1 0 1 1 1 Y 21 NANDゲートの完全性 NANDゲートだけで,任意の組合せ回路を実現可能 NANDゲート x y x f f = x∙y x y f = x∙x = x x x NOTゲート f = x∙y x∙y ANDゲート ド・モルガン x y x∙y = x+y = x+y ORゲート {NOR}, {AND, NOT}, {OR, NOT}, {AND, XOR} も完全 22 公式による,論理式変形の例 (a+b)・(a+c)を展開する (a+b)・(a+c)= a・(a+c)+b・(a+c) (分配法則) = a・a+a・c+b・a+b・c (分配法則) = a+a・c+b・a+b・c (x・x=x) =a +b・a+b・c (x+x・y=x) =a +a・b+b・c (交換法則) =a +b・c (x+x・y=x) 論理式なので,部分式の値は,0または1しかないことに注意 (2とか3が出てきたら,間違い!) 23 まとめ 論理関数,論理式 括弧(),論理積・, 論理和+, 論理否定 を使った式 変数は,2値 (0, 1),関数(式)の値も,2値(0, 1) 組合せ回路の機能を表す 公式を紹介 完全系 任意の組合せ回路が実現可能なゲートの集まり {NAND},{NOR},{AND, NOT},{OR,NOT},{XOR,AND} 24
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