PowerPoint プレゼンテーション

家畜の中毒 症
動衛研
有毒植物: 植物(樹木、草等)を摂取することにより、その植物体に含
まれる有毒物質によって起こる中毒。
マイコトキシン : 飼料中の赤カビ、青カビ、コウジカビ等が産生
真 する毒素を摂取することにより起こる中毒
菌 エンドファイト: 芝に付加価値を与えるために共生させたエンド
ファイト(内生菌)が、家畜に有害作用を起こす
殺虫剤等: 通常、消毒等に用いられる農薬を、何らかの経緯で
農 体内に取り込まれるlことにより起こる中毒
薬 殺鼠剤等: ネズミ等の有害動物等を駆除する目的で使用され
た薬物を、何らかの経緯で体内に取り込まれることによる中毒
その他: 硝酸塩中毒、甘藷黒斑病、無機物、スイートクローバー中毒、
1年生ライグラス中毒など。飼料の生産環境や土壌・植物の特徴等に
よって起こる中毒
有毒植物
家畜は自ら好んで有毒植物を食べることは普通
少なく、何らかの事情があることがほとんどである。
また、症状が急性でへい死して発見されることもあ
り、毒物の検出が難しい。牧場に植えてはいけない。
アセビ: ツツジ科。漢字で「馬酔木」と書
き,馬や牛が木の葉を食べると酔ったように
なるのでこの名が付いた。最近でも特に羊や
山羊の中毒が多数報告されている。グラヤノ
トキシンを含む。採食後数時間で発症し、嘔
ネジキ: ツツジ科。牛の場合、
吐や泡沫性流涎を起こす。軽症では四肢開
張、知覚過敏など、重傷では起立不能、疝痛、 体重の1%のネジキ摂取で中毒
腹部膨満、呼吸速迫などがみられる。回復は が起きる。有毒物質はグラヤノト
キシン(アセビと同じ)。
早く、致命率は低い。
キョウチクトウ: キョウチクトウ科。葉の形状が竹に似
ていて、花が桃に似ていることから「夾竹桃」と書く。有毒
物質は強心配糖体であるオレアンドリンで、疝痛、下痢、
頻脈、運動失調などがみられるが、急死により発見される
ことが多い。牛の致死量は乾燥葉として50mg/kg(経口)
と報告されている。
身近な所に有
毒植物があること
に、ほとんどの現
代人は気付いて
いない。
シキミ: 昔から墓地や寺院などに植えられ,墓前や
仏前に供える花として日本の仏教と関わりの深い植物。
最近では公園などの造園木にも用いられている。
中華料理に使用されるダイウイキョウ(八角)は同属
のトウシキミの果実で、有毒成分は含まれていないが、
実の形や香りが似ており、ヒトの食中毒原因となる。
ソテツ: 沖縄では1975年に牛のソテツ中毒
が初めて確認され、以後1982年までに116頭
の牛が中毒になり、そのうち29頭が死亡したと
報告されている。中毒の発生は、草地に草が少
なくソテツの新芽がでる4月から6月頃にみられ
る。中毒症状は、後躯の運動失調と麻痺が特
徴で、発症した牛は衰弱し腰部の麻痺や跛行
を呈す。また、角が抜け落ちることもある。
有毒成分はサイカシンという配糖体で、発癌
性のあるメチルアゾキシメタノールも含む。
ソテツの実はでんぷん質であり、救荒
作物(凶作の年の補助食)として植樹が
奨励されてきた。現在でも「ソテツ味噌」
が特産として作られている。よく水に晒し
て毒抜きしないで中毒事故を起こすこと
があった。
管理の悪い牧場で空
腹の牛が食べて中毒を
起こす。灰や重曹で「灰
汁抜き」をすれば有害物
質が溶け出して消滅する。
ワラビ: 発癌物質であるプタキロシドは腸や膀
胱に腫瘍をつくる。また、チアミナーゼを含み、馬な
どの単胃動物にチアミン欠乏を起こす。牛では骨髄
の造血機能低下を招き、血液凝固不全、血便、血
尿がみられる。ワラビの長期摂取に伴う血尿症は
膀胱の腫瘍によるとされる。
動衛研: 有毒植物と家畜の中毒
牛膀胱肉眼所見
真菌:マイコトキシン
アフラトキシン( aflatoxin , AF): 1960年英国で10万羽以上の七面
鳥が 中毒死した原因が、落花生油粕に着生したカビが毒素を産生し
たと判明。 Aspergillus flavus や A. parasiticus が産生する最強
の発癌物質であり、ヒトの肝臓癌の原因となる。
急性毒性は低く、ヒトや家畜の中毒は希であるが、AF で汚染
された飼料を食べた牛の乳汁中に発癌活性のある AFM が分泌
されるなど、畜産物の安全性に関わる。
落花生油粕又は落花生油粕を原料とする飼料の成分規格
OH
ア 落花生油粕のアフラトキシンB1の含有量は1ppmを超え
てはならない。
イ 落花生油粕を原料とすることができる飼料の種類及びそ
の配合割合は、次の表のとおりとする。
飼料の種類
鶏用(幼すう用及びブロイラー前期用を除く)飼料
豚用(ほ乳期用を除く)飼料
搾乳牛用飼料
牛用(ほ乳期用及び搾乳牛用を除く)飼料
配合割合
4%以下
4%以下
2%以下
4%以下
AFB1
OH
AFG1
カビ毒
パツリン
デオキシニバ
レノール
オクラトキシン
主な
産生菌
Penicillium
expansum
アオカビ
Fusarium
graminearum
アカカビ
Aspergillus 属
Penicillium 属
主な毒性
消化管の充血、
出血、潰瘍
嘔吐、下痢などの
消化器症状、
免疫抑制
腎臓障害、
発がん性
検出された
主な食品
リンゴ果汁および
リンゴ加工製品
小麦、大麦、
トウモロコシ
穀類とその加工
品、インスタント
コーヒー、ワイン
規制値
50μg/kg(ppb)
1.1mg/kg(ppm)
なし
公衆衛生上
問題となる
その他の主
なカビ毒
地理的分布
Aspergillus 属:熱帯
Penicillium 属:温帯
Fusarium 属:寒冷地
飼料用トウモロコシの赤かび病とデオキシニバレノール(DON)汚染
トウモロコシの赤かび病は、国内で収量に影響がでるような被害が生じておらず、
病害の発生とかび毒汚染の実態は近年までほとんど明らかになっていなかった。
9月中旬以降は暫
定基準を超えた
Fusarium 属が産生する
DONなどのトリコセテン系カ
ビ毒はDNAに障害を与える。
飼料摂取量の低下、嘔吐、
胃腸炎などの消化器障害や
免疫機能低下を起す。
ゼアラレノンは女性ホル
モン様作用を持ち、繁殖障
害を引起す。
暫定基準 :DON濃度は
1ppm 以下(但し生後3ヶ月
以上の牛に給与される飼料
は 4ppn 以下)。ゼアラレノ
ンは全家畜用飼料で1ppm
真菌:エンドファイト
エンドファイト(内生菌; endophyte)は植物体内で共生
的している真菌や細菌のことで、広義には根粒菌も含まれる
が、一般にはイネ科植物に寄生する麦角病菌科の真菌を指
すことが多い.家畜の中毒との関連では、西洋芝に寄生する
Neotyphodium coenophialum や N. lolii が問題となる。
芝の虫害防除のためにエンドファイトを感染させている。
芝草用の種子を取った後のエンドファイトに感染したスト
ローには、麦角アルカロイドのエルゴバリンや神経毒性を持
つロリトレムが含まれている。麦角アルカロイドは血管収縮
作用を持つため、➀皮膚からの体熱の放散が阻害されて体
温上昇、 ➁プロラクチン分泌が抑制され泌乳量の低下や受
胎成績の悪化、➂牛の耳、尾の先、ひづめ等に壊疽が見ら
れる。ロリトレムは、足の硬直や痙攣、起立不能を起す。
2011年に、鹿児島県の繁殖雌牛33 頭,育成牛及び子牛20 頭を飼養する黒毛
和種繁殖農場で、オレゴン州産のイタリアンストローを繁殖雌牛に単味給与開始5
日~6 日目にかけ食欲低下等の症状が4 頭に認められ、内1 頭は食欲廃絶、神経
症状、起立不能に陥り、7 日目の午前中に死亡した。
農薬
種類
最近日本で発生した中毒の症例報告
中毒症状
有機リン剤
運動失調,嘔吐,流涎,発汗,縮瞳,全身痙攣,肺水腫
ピレスロイド剤
運動失調,筋の痙攣,流涎,間代性痙攣,呼吸困難
ジチオカーバメート
皮膚の発疹・掻痒感,結膜炎,血尿
有機塩素殺虫剤
嘔吐,不安,興奮,てんかん様痙攣,呼吸抑制
硫酸ニコチン
嘔吐,下痢,振戦,痙攣,呼吸困難
臭化メチル剤
嘔吐,呼吸困難,チアノーゼ,眼球振盪,四肢の痙攣,ショック
無機銅塩剤
嘔吐,下剤,黄疸,ヘモグロビン血症,血圧低下,黒色便
パラコート剤
粘膜炎症,ショック,意識障害,乏尿,黄疸,呼吸困難,肺水腫
アニリン系除草剤
嘔吐,下痢,メトヘモグロビン血症
有機ヒ素剤
嘔吐,呼気及び便のニンニク臭,血便,痙攣
クマリン剤
出血(結膜下,鼻,歯肉等の出血,血尿,出血性ショック)
硫酸タリウム
嘔吐,下痢,口内炎,痙攣
農家は様々な農薬を使用しており、「農薬取締法」に従って整理整頓されていな
いと、飼料・飲水に混入、開封容器からの蒸発など思わぬ事故につながる。
殺鼠剤
作用・効果
数度の食餌に分けて駆除する累積毒剤(混ぜる餌の嗜好性)
クマリン系のクマテトラリル、ワルファリン、ジフェチアロンなど
一度の食餌で駆除する急性毒剤(毒性がより強い)
黄燐(猫いらず)、リン化亜鉛、タリウム、硫酸タリウムなど
農薬取締法による農薬:: 農作物を害するネズミの防
除 農耕地、貯穀倉庫、山林、田畑、桑園、果樹、草地
法規制
薬事法による医薬部外品: 人または動物の保健のための駆除
ビル、工場内、倉庫、店舗(飲食店、スーパー)、一般家庭
薬事法による動物用医薬部外品: もっぱら動物に使用するもの
家畜管理施設(畜鶏舎、飼料倉庫、糞尿処理施設)
様々な感染症を広げるネズミの駆除は、畜産業、農業、食品産業において不可
欠であり、粘着トラップ、臭いによる忌避剤、振動・音・光等物理的刺激による忌避
器具だけでは十分な効果が得られず、殺鼠剤が用いられている。
殺鼠剤は使用区分によって異なる規制を受けており、許可された
製剤も異なる。法に従った適正使用に務めなければならず、誤用に
よる誤食は動物やヒトに重大な障害を引起す。
豚のクマリン中毒(1995年): 肥育豚15頭(110~115日齢)が、跛行、眼球突
出、関節の腫脹を呈し、そのうち6頭が死亡した。剖検では、眼窩、頸部、上腕部、
内股部、四肢肢端に出血と凝固不全の血塊を認め。死亡豚の肝臓から0.7~
0.8ppm、腎臓からは0.1ppmのクマテトラリルが検出された。
豚のクマリン中毒(2002年): 一貫経営農家で6頭の30日齢子豚が死亡。栄養
状態良好、心表面に激しい出血、肺は鮮紅色で割面から血液流出。組織学的には、
心、肺、肝、脾および脳に重度のうっ血および出血。
豚のワルファリン中毒(2003年): 一貫経営農場の育成舎で、飼料タンクへの
殺鼠剤誤混入によるワルファリン中毒が発生した。混入飼料給与開始後1週間で、
豚が元気消失、食欲不振を呈した。注射部位からの出血が止まらず死亡豚が続出
し、2週間で90%が死亡。剖検では全身皮下および各臓器の出血。死亡豚の肝お
よび腎、給与飼料からもワルファリン検出。
豚のワルファリン中毒(2004年): 60~70日齢の豚60頭が皮下出血を呈し死
亡。当該農場はネズミ対策として0.5%ワルファリン製剤を飼料給餌器の陰に設置
していた。
豚のクマリン中毒(2007年): 大規模養豚場2農場で、肥育豚が元気消失、紫
斑を呈して死亡。肝臓、腎臓、胃内容からクマテトラリルを検出。
豚のワルファリン中毒(2007年): 2ヶ月齢の肥育豚1頭で全身の紫斑、沈うつ、
呼吸速拍、眼瞼と後肢のむくみ、発熱。肝臓と腎臓からワルファリンを検出。
食肉検査で摘発・全廃棄された豚の事例
生体検査では特に著変は認められなかったが、肝臓からクマテトラリルを検出
全身の皮膚に斑状の
出血病変が密発
皮下脂肪,体幹筋肉に
点状~斑状の出血
腸全体に斑状の出血病変が散在、
リンパ節は腫脹・暗赤色
殺虫剤
蚊、ヌカカ、ダニ、ハエなどの衛生害虫は、様々な病気を運ぶだけでなく、近隣
住宅地への畜産公害問題となる。発生源となる糞尿処理などの衛生管理が基本で
あるが、蚊やヌカカなど発生源が農場外にあって集ってくる場合など、殺虫剤を使
用せざるを得ないこともある。殺虫剤の管理が不適切だと、家畜やヒトの中毒事故
を引起す。農薬だけでなく、ヒトも殺せる様々な劇毒物が違法使用されると・・・
土壌燻蒸剤中毒が疑われた子牛の血尿症
黒毛和種繁殖牛20頭と子牛15頭を飼養してい繁殖経営農場において、2頭の
子牛に血尿症が発生した。発症翌日および発症から3か月後に死亡した。
2005年7月、下痢治療のため牛舎とは別棟の仮設牛房で飼養していた約4カ月
齢の去勢牛2頭が赤色尿を呈した。牛房脇には防暑対策の扇風機が設置され、そ
の後方には1,3-ジクロロプロペンを有効成分とする畑作用の土壌燻蒸剤20L丸缶数缶
が開封後保管されていた。この薬剤は常温で揮発性の高い可燃性の液体で、有機
塩素系の殺虫剤として土壌中の線虫や害虫の防除のため使用される。
立入調査の際、丸缶数缶が開封後保管されており、牛房近辺に農薬特有の刺
激臭があった。
鶏のトリクロルホン中毒
2007年6月に採卵鶏農家において、5鶏舎中の1号鶏舎でワクモ駆除のためトリ
クロルホン(DEP、メトリホナート)製剤を散布したところ、その直後から死亡鶏が散
見され、1号鶏舎で飼養の410日齢の8,600羽のうち143羽が死亡した。
中国製冷凍ギョウザ事件
2008年に3家族計10人が下痢や嘔吐などの中毒症状を訴え、このうち、市川
市の女児が一時意識不明の重体になった。3160ppm(3.16mg/g)のメタミドホス
(有機リン殺虫剤)が検出された。解雇の怨恨による意図的混入。
消毒剤
クレゾール マウス-経口LD50:168mg/kg
濃厚液が皮膚に付着すると、灼熱感、知覚麻痺、炎症を起こし、初め皮膚を白色さ
せ、ついで紅斑を生じ、局所組織の壊死を起こす。
内服した場合は少量で口腔、食道、胃の粘膜を腐食し、灼熱感を伴い、頭痛、めま
い、嘔吐、あるいは下痢を起こし、大量では中枢神経系に対して強い作用を示し、痙
攣、失神、呼吸および心停止を起こすことがある。
ホルマリン マウス-経口LD50:350mg/kg
誤飲では上部消化管の腐食と代謝性アシドーシスが著しい。 消化管 粘膜の障害・
腐食、出血性胃炎、嘔吐、下痢、腹痛、めまい、無気力、運動失調、昏睡。
ポビドンヨード マウス-経口LD50:8,000mg/kg
安全性が高いといわれ、通常の誤飲程度ではあまり問題となる症状はみられないと
されている。熱傷創面および体腔に投与された場合に、著明な一過性の甲状腺機
能低下症の危険性を有する。
次亜塩素酸ナトリウム マウス-経口LD50:12mg/kg
接触すると皮膚炎がみられ、感作性を有する。濃厚液は皮膚に刺激が強い。口腔・
咽頭・食道・胃の腐食性変化、胸骨下部の灼熱感・疼痛、嘔気、嘔吐、大量で吐血、
まれに食道・胃の穿孔、誤嚥により声門浮腫・肺水腫、大量で昏睡(幼児例)。
その他:硝酸塩中毒(nitrate toxicosis )
土壌中の窒素が過剰で硝酸塩が必要以上に吸収されたり、吸収した硝酸が蛋
白合成に使用されなかったりすると、植物体に硝酸塩が多量に蓄積する。牧草地
への過剰な窒素投入や、家畜排せつ物の不適切な保管・処理により地下水に硝酸
態窒素が流れ込む可能性がある。このような草や水を摂取することにより牛に中毒
がみられる。硝酸塩は第一胃内で亜硝酸塩に還元され、最終的にアンモニアまで
還元されるが、亜硝酸は血液に入るとヘモグロビンをメトヘモグロビンに変化させる。
メトヘモグロビンは酸素運搬能力が無いため、酸欠状態となり、血液はチョコレート
色を呈す。流涎、食欲減退、起立不能、チアノーゼ、心迫数・呼吸速迫、頻尿などが
みられ、経過が急な場合は症状を示さず急死する。
牛の硝酸塩中毒は1960年頃から相次いでその発生が報告されたが、その原因
についての情報が広まるにつれて発生数は減少してた。ところが近年、粗飼料の輸
入量が増加するに伴い、硝酸塩濃度の高いものが見られ、それが原因となった中
毒事例が報告されている。また、急性中毒はまねかない程度の高濃度の硝酸塩を
長期間摂取することによる慢性中毒にの症状としては、流産、受胎不良、跛行、発
育不良、下痢、抗病性低下、ビタミンA欠乏、甲状腺機能低下などが挙げられてい
るが、慢性中毒に関する実験的裏付けはない。
公衆衛生上の問題: 化学肥料
や家畜の糞尿が硝酸体窒素となっ
て地下水を汚染している。
野菜に含まれる硝酸塩が肝臓
で亜硝酸塩へと代謝後唾液中に分
泌される。それが魚の二級アミンと
反応して発ガン性のあるニトロソア
ミンとなる。これが日本食で胃癌が
多い一つの原因とされている。
飼料中硝酸塩濃度のガイドライン
1985年8月、260頭を飼育する
北海道の酪農家で、乾草を8~
硝酸態窒素濃度
9kg給餌後7時間以内に、18~
給与の可否
(乾物中ppm)
23ヶ月齢のホルスタイン種雌育成
牛18頭中16頭が急死した。乾草
1,000以下 給与しても安全
1,000~1,500 妊娠していなければ安全
の硝酸体窒素は 1.3~0.3%
1,500~2,000 乾物量で総飼料の50%以下なら安全
= 13,000 ~3,000 ppm
2,000~3,500 乾物量で総飼料の35%以下なら安全
3,500~4,000 乾物量で総飼料の25%以下なら安全だが、妊娠牛には不可
4,000以上
中毒の恐れがある
その他:甘藷黒斑病
サツマイモは害虫の食害やカビ(Fusarium 「食用とならないから牛に与える」
風習は動物愛護にもとる!
属)の発生に反応して、イポメアマロン、イポメア
ニンなどのファイトアレキシンを産生する。病変部
は黒緑色から黒色に変色する。これはヒトを含む
哺乳類の肝臓および肺への毒性があり、肺の重
度出血、間質性肺気腫、肺水腫等の症状を引き
起こす。家畜では、肺水腫、呼吸困難、泡沫性流
黒変部は内部深くまで及ぶ
涎などを起こし、死亡事故も発生している。
2011年米国ウィスコンシン州にある農家で1
月14日、200頭の雄牛約200頭が死亡し、検査で
飼料に化合物イポメアノールがあると確認した。
人間では食べられないサツマイモ廃棄物が雄牛
に与えられた。
長崎(1999): 肉用牛繁殖農家で7頭中2頭
が死亡。
京都(2006): 和牛13頭中1頭が死亡。
苦みがあるので、ヒトは食べて
愛媛(2011): 酪農家で育成牛2頭が突然死 いる途中で気付くが・・・
腐敗甘薯中毒事例におけるサツマイモからのイポメアマロンの検出
鹿児島 2011 年10 月
繁殖雌牛200 頭、子牛120 頭を飼養
する黒毛和種牛繁殖農場で,購入した家
畜飼料用サツマイモカットくずをを給与さ
れた妊娠牛45 頭中30 頭が呼吸器症状
と下痢を呈し、2 頭が死亡した。死亡牛
は、肉眼的に肺のうっ血と水腫、間質の
肥厚、肝臓表面の出血斑が認められた。
サツマイモからは、Fusarium 属菌様の
菌糸と胞子およびイポメアマロンが検出
された。
発症時に給与されていたサツマイモ
発症の原因と思われるサツマイモが、
食用としては品質が悪い農産物は、
農場の繁殖雌牛全頭に給与されていた
にも関わらず、妊娠牛群だけが発症した 飼料用とされている。10万羽以上の七
原因として、放牧区の草量不足により当 面鳥が中毒死し、アフラトキシン発見の
該牛群でサツマイモ摂取量が多くなった 契機となった落花生粕(ピーナツミール)
可能性や妊娠による肝機能の潜在的低 は、その代表である。資源の有効利用
の際に、心しなければならない。
下などの影響が考えられた。
その他:微量ミネラル
動物にとって欠かす事ができないミネラルは、一般に多量ミネラル(カルシウム、
リン、ナトリウム、塩素、カリウム、マグネシウム、イオウなど)と微量ミネラル(コバ
ルト、銅、ヨウ素、鉄、マンガン、モリブデン、セレン、亜鉛など)に分けられる。これら
の過不足は健康に影響する。
ミネラル
欠乏症
鉄
貧血、発育遅延(起きにくい)
銅
貧血、発情鈍化、繁殖能力
低下、難産、先天性くる病
亜鉛
コバルト
発育遅延、繁殖障害、脱毛、
角化不全
B12欠乏、食欲不振、乳量減
少、発育遅延、被毛光沢の消失
過剰症
下痢、代謝性アシドーシス、飼料摂
取量の低下
黄疸、ヘモグロビン血症、血色素尿、
溶血による死亡
牛では起きにくい
痩削、貧血、衰弱
セレン
子牛の白筋症、繁殖障害(起
きやすい)
下痢、失明、筋肉の弱化、無発情、
肺の充血、けいれん、呼吸困難、
ヨウ素
甲状腺肥大、発育不全、繁
殖障害、乳量減少
乳量減少、皮膚病変(過剰分は乳
汁中に排泄)
飼料中含有推奨量、中毒発生限界
(日本飼養標準の飼料中要求量)
要求量
代用乳
コバルト 0.10
銅
10
ヨウ素 0.25
鉄
100
マンガン 40
セレン 0.01
亜鉛
40
人工乳
育成牛
用飼料
乾乳牛
用飼料
搾乳牛
用飼料
搾乳中の
中毒発生
限界
0.10
10
0.25
50
40
0.01
40
0.10
10
0.25
50
40
0.01
40
0.10
10
0.50
50
40
0.01
40
0.10
10
0.60
50
40
0.01
40
10
100
50
1000
1000
2
500
ヨウ素は乳汁中に(30~00μg/L)排出されてしまうため、搾乳牛の推奨量が多
い。鉄は哺乳子牛における吸収率が飼料中の鉄含有量に反比例して低下すること
や乳汁中の含有量が非常に低い(乾物あたり6~7ppm)ことから、多い。