急性副腎不全について - SQUARE - UMIN一般公開

ICU・HCUにおける
ストレス性潰瘍に
ついて
研修医・喜多洋輔
Introduction
■ 先日22日(日)、重症急性膵炎の方がHCU治療中、十二指腸潰瘍
穿孔を起こして緊急手術となった。開腹後、十二指腸球部に2cm
大の穿孔が確認された。Ptは10代の時に十二指腸潰瘍を指摘さ
れた病歴があったが、15日に前医でGIF施行されており、そのとき
は異常所見を認めなかった。PPIなどを投与していなかったことを
外科のDrから強く注意された。反省をこめてICU・HCUにおけるス
トレス性潰瘍についてまとめた。
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ストレス性潰瘍とは?
■ 通常、胃底部や胃体部におこる粘液性びらんで、時に胃前庭部、十二指腸潰瘍、食道下部にも
おこる。それらは浅い傾向で、表在毛細管床からにじみ出る血液の原因となる。しかし、より深
い病変は、粘膜下に腐食していき、大出血、穿孔の原因となる。
■ リスクは患者の基礎疾患のタイプや重傷度による。臨床的に意味のある出血まで合併するスト
レス性潰瘍のICU患者でのリスク率は1.5%〜15%というスタディがある。
■ ICUでの消化管出血のもっともよくある原因で、ICU患者でこのような病変による出血があると、
ない患者に比べて5倍の死亡率となる。
■ GI出血の結果はとても重症になりえるので、相当な努力と費用がストレス性潰瘍の予防のため
に使われている。
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病態生理
■ 浸食は大きな外傷や重症疾患の数時間以内に胃の近位部より起こる。
■ あるスタディでは、重症火傷や頭蓋外傷患者で72時間以内にされた内視鏡では75〜100%の
患者で急性の粘膜病変が明らかにされた。これらの早期粘膜病変の最大50%では最近のまた
は現在進行中の出血が内視鏡的にあきらかにされている。しかし、それらの患者のわずかしか、
急性の失血による血行動態の悪化はおこらない。
■ ストレス性の潰瘍で入院はじめの七日間で起こるものは深くなりがちで消化管の遠位部に起き
やすい。
■ 例として、平均入院14日後に消化管出血を起こしている67人の患者のスタディでは十二指腸
潰瘍がもっとも多い出血部位であった。早期の潰瘍と晩期の潰瘍形成が同じ病態生理で起こっ
ているかは定かでないが、どちらのタイプも胃酸産生と粘膜保護機構のバランスの乱れによる
物と考えられている。
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胃酸産生と粘膜保護機構のバランスの乱れ①酸の過剰分泌
■ 酸の過剰分泌は頭部外傷などの患者に最もよく見られる壁細胞の過剰なガストリン刺激による
もがある。他の患者では酸の分泌は正常か正常以下になり、それらの患者ではストレス性潰瘍、
通常胃粘膜を酸の影響から保護しているメカニズムが破綻する結果起こる。
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胃酸産生と粘膜保護機構のバランスの乱れ②糖タンパク粘膜の不良
■ 胃は通常、糖タンパクの粘膜層によって守られ、水素イ
オン拡散と重炭酸塩を捕捉する物的障壁を形成し胃の
壁に隣接する領域における胃酸の中和を許している。
■ 重症な患者では逆流した胆汁塩や尿毒症毒素の密度
増加が胃の糖タンパク粘膜バリアーを裸にし、胃の損
傷を許してしまう。
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胃酸産生と粘膜保護機構のバランスの乱れ③
虚血
■ショックや敗血症、外傷などは消化管の潅流を
傷害する。
■ショックの実験的なモデルでは胃粘膜の虚血と
防御的な粘液と重炭酸塩の分泌の減少との関
係が示唆されている。
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胃酸産生と粘膜保護機構のバランスの乱れ④ヘリコバクターピロリ
■ ICU患者におけるストレス性潰瘍の形成に関してのヘリコバクターピロリ菌の影響についてはあ
まりスタディはされていない。
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胃酸産生と粘膜保護機構のバランスの乱れ⑤リスクファクター
■ ストレス性潰瘍による出血の危険因子
 48時間以上の呼吸器による器械喚起
 凝固因子異常
■ これら両方のリスクをもたない患者の臨床的に重要な出血をもたらすリス
クは0.1%
■ その他のスタディではリスクとして以下の物があげられている。
 Shock、Sepsis、Hepatic failure、Renal failure、Multiple trauma
 Burns over 35 percent of total body surface area
 Organ transplant recipients、Head or spinal trauma、
 Prior history of peptic ulcer disease or upper GI bleeding
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予防薬
■ さまざまな薬がストレス性潰瘍の発生を減らすために使用されてい
る
■ 制酸剤、H2 blockers, sucralfate, proton pump inhibitors, and
prostaglandin analogs、栄養
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院内肺炎の危険性
■ ストレス性潰瘍の予防策は潜在的な院内肺炎のリスクとなる。
■ pHをあげる薬は胃内の細菌(特に十二指腸のグラム陰性菌)繁殖
を促進する。
■ 食堂逆流や気管内チューブを経由しての胃内容物の誤嚥は気管
支内の増殖や肺炎を導く
■ antacids or H2 blockersはsucralfateに比較して多い可能性もある。
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提言
■ 確定的な物ではないが、経口のオメプラゾール懸濁液は経静脈的なH2ブロックよりもストレス関
連の潰瘍形成・出血の予防に関してはより効果的である。
■ 確かに、経口でのPPIsは4.0以上を保つためにはよりいい物である。加えて、経口PPI治療はス
トレス性潰瘍の罹患率、死亡率を下げるために最も対コスト効果が高い物である
■ それ故に、経静脈的H2ブロッカー投与よりも経口PPIsを最も優先すべき予防としてすすめる。
■ NGチューブからの投与ができない患者ではH2ブロッカーの静脈注射がまだ重要である。
■ PPIsの経静脈的投与は多くの人にH2ブロッカーの静脈投与よりも効果的だと考えられているが、
PPIsの静脈投与は遙かに高価で、より幅広く使うことを正当化する対コスト効果を示すデータは
少ししかない。加えて、H2ブロッカーと比較して、PPIsが呼吸器関連肺炎の原因となるリスクは
わかっていない。
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