心の問題から生じる身体疾患について

ヒューマニーズ EAP 通信
心の問題から生じる身体疾患について 心と身体は密接につながっています。胃が痛い、頭痛やめまいがすると
思って病院で検査をしても器質的な異常が見つからないことがあります。このような心因性による身体疾患の総称を心身症といいます。
今号では、代表的な疾患、症状、治療法などをご紹介し、心の不調が身体疾患の要因となることをぜひ知って頂きたいと思います。
ストレス
循環器系
緊張
心の悩み
神経・筋肉系
心身症の代表的な疾患
例)高血圧、起立性低血圧
不安
例)心因性めまい、頭痛、自律神経失調症
体の様々な部位に起こります。
消化器系
呼吸器・アレルギー系
例)過敏性腸症候群、胃・十二指腸潰瘍
例)過喚起症候群、気管支喘息、蕁麻疹
内分泌・代謝系
例)摂食障害、糖尿病、肥満症
心身症になりやすい心理社会的要因
<性格> 神経質、几帳面、真面目、社会適応が良い。
<行動>自分の意見や気持ちを抑えて、他人に合わせて『過剰適応』する。
<環境の変化> 近親者の死、結婚、借金、転居、就職、異動、転職など。
過敏性腸症候群
慢性的な下痢や便秘、ガス過
多などの症状が現れる病気で、
腹痛や腹部不快感、便通異常
を総称したものです。
腸の機能に問題があるわけで
はありません。
(例)
•緊張や不安といったストレスが交感神経を
刺激し、胃腸の運動が過度に高まり、激しい
腹痛や下痢が繰り返し起こるようになります。
•精神状態としては、不安、過敏、緊張、焦燥、
抑うつなどを伴うことがあります。
•男女比は男性:女性=1:1.6で、男性は下痢
型が多く、女性では便秘型が多い傾向。
治
療
法
胃潰瘍 胃酸の分泌は正常か
少なめの場合が多い。40歳
以降の人に多くみられます。
十二指腸潰瘍 胃酸の分泌が
多い(過酸症)。10代から20代
の若い人に多くみられます。
この要因に当てはまらなくても、精神的に追いつ
められると、脳内の神経伝達物質の流れが悪くな
り、身体機能が低下し、その結果、身体のあらゆ
る部位に身体症状を引き起こすことがあります。
(例)
•最も多くみられる症状は上腹部痛。
•胃潰瘍の場合は食後30分から1時間あ
たりに起こることが多く、十二指腸潰瘍の
場合は空腹時や夜間に起こりやすい。
•胸やけや酸っぱいゲップ、吐き気や嘔吐
などもみられることがある。
•出血(吐血や下血)がみられたときは、
すぐに病院に行くことが必要となる。
過喚起症候群 突然あるいは徐々(例)
に呼吸が苦しくなり、しだいに不安
がつのり、両手の指や口の辺りが
しびれた感覚に襲われれます。
胸苦しさや死の恐怖などを伴い、
ひどい場合は、指が痙攣したように
なります。
若い女性に多い病気です。男性や
高齢者にもみられることがあります。
・パニック障害の症状の一つでもある。
・持続的な不安や心理的緊張が原因。
・心因性で症状が起こった場合、どんなに
強い発作でも、時間とともに必ず軽快します。
1.内科的治療:食事療法や生活指導といったライフスタイルの改善、対症療法や薬物療法。
2.心療内科的な治療:症状をコントロールするために薬物療法(抗不安薬や抗うつ剤)を行います。
3.カウンセリングや心理療法:自律訓練法というリラックス法で不安・緊張の軽減できるようにしたり、
原因となる心理社会的ストレス(心理的葛藤や不適応状態)の解消を図るという方法などがあります。
身体疾患があったら! まずはその部位に関する科に通院したり、検査等をしましょう。それでも異常が診られない
場合、心療内科や精神科を受診することをお奨めします。身体的な症状と心理社会的要因との関連を明らかにす
るとともに、心身両面から治療することで、症状はより改善していき、再発も防ぎます。
ヒューマニーズ相談センター
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