現代日本の国際収支 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2008年1月10日 国全体の経済活動 貿易黒字,政府赤字,民間貯蓄にはある関係 がある 民間純貯蓄=貿易黒字+政府赤字 国際経済の基礎13 2 国際収支表 経常収支=物やサービスの輸出入 資本収支=資本・資金の借り貸し 外貨準備増減=中央銀行の資産の増減 誤差脱漏=帳尻合わせ 国際経済の基礎13 3 国際収支表の恒等式 経常収支+資本収支+外貨準備増減 +誤差脱漏=0 トヨタが自動車を輸出→経常黒字↑ 資本収支↓ or 外貨準備増減↓ 日本人か日本政府の資産が増える 国際経済の基礎13 4 国際収支表 日本の国際収支 10億円 20,000 15,000 10,000 5,000 0 -5,000 -10,000 -15,000 -20,000 経常収支 1998 1999 資本収支 2000 外貨準備増減 国際経済の基礎13 2001 2002 誤差脱漏 5 国際収支表/2 一貫して経常収支黒字,資本収支赤字 海外に日本人の資産が増え続けている その蓄積された資産からの収益も毎年増大 もっと,詳しく国際収支表を検討する 国際経済の基礎13 6 経常収支 経常収支にはモノ,運送サービス,旅行,利子受け 取り,政府援助等が取り扱われます. モノやサービスを輸出すればプラス 外国で観光旅行をしてお金を使えばマイナス 外国に援助をするとマイナス こうしたすべての取引を足し合わせてプラスになれば 黒字. 反対にマイナスになれば赤字といいます. 国際経済の基礎13 7 資本収支 資本収支には直接投資,株式取得,資金貸借 などの企業間取引,債券取引 およびそれらに含まれない資産の取引が扱わ れます. ヤワラちゃんがアメリカのマクドナルドの証券 を1億円購入したら,マイナス1億円が計上さ れます. 国際経済の基礎13 8 資本収支/2 これは日本人の対外資産の増加を意味します が,マイナスと記帳されるのは奇異に見える かもしれません. しかし,国際的に決まっているルールなので 仕方ありません. 反対に日本人が手持ちの証券を売却するとプ ラス. それは対外資産の減少を意味します. 国際経済の基礎13 9 資本収支/3 今度はアメリカ人のトム・クルーズが日本のソ ニーの株を買ったとします. これは日本の対外債務の増加を意味します. このときプラスの金額が計上されます. 反対にアメリカ人が手持ちの証券を売却する とマイナス.それは対外債務の減少を意味し ます. 国際経済の基礎13 10 収支の符号 プラス マイナス 財サービスの輸出 財サービスの輸入 金融資産の減少 金融資産の増加 金融負債の増加 金融負債の減少 国際経済の基礎13 11 外貨準備増減と誤差脱漏 外貨準備増減は中央銀行の資産の増減を示 します. 誤差脱漏とは収支表間の整合性を保つため ののりしろと考えて無視してください. 日本の経常収支はいつも黒字ですが,資本収 支はいつも赤字です 外貨準備増減は赤字と黒字を計上 経常収支と資本収支に比べ金額は小さい 国際経済の基礎13 12 外貨準備増減と誤差脱漏 プラス マイナス 経常収支 黒字 赤字 資本収支 流入超 流出超 外貨準備 減少 増加 国際経済の基礎13 13 経常収支 貿易収支 サービス収支 所得収支 経常移転収支 2006年(億円) 貿易収支 サービス収支 所得収支 124,762 経常移転収支 合計 -14,886 国際経済の基礎13 -27,201 166,388 249,063 14 経常収支 2006年(単位:億円) 250000 137,457 経常移転収支 サービス収支 所得収支 貿易収支 200000 150000 100000 50000 0 94,643 38,179 28,931 19647 28,819 21,153 23,724 30,119 1-3月 4-6月 7-9月 10-12月 41528 2006年 -50000 国際経済の基礎13 15 貿易収支 もっとも分かり易い 目に見えるモノの貿易の収支 2006年ではすべての四半期で黒字 次のサービス収支と合わせて貿易・サービス 収支と呼ばれることもある 国際経済の基礎13 16 サービス収支 目に見えないサービスの取引の収支を表す すべての四半期で赤字 輸入が輸出を上回っている しかし,その額は大したことはない 輸送,旅行,通信や特許使用料などのその 他サービス 旅行はいつもマイナス 特許使用料はプラス 国際経済の基礎13 17 所得収支 海外との雇用者所得や投資収益の収支 経常収支の中で一番黒字額が大きい 黒字額の中で配当と債券利子の受取額が もっとも大きく寄与している 対外金融資産・負債について実現したキャピ タル・ゲインは所得収支ではなく資本収支に 計上 また評価増減は計上しません 国際経済の基礎13 18 経常移転収支 無償の援助や国際機関への分担金などの資 産の一方的な支払い マイナスであり海外に援助をしている 金額は少ない 国際収支表に複式簿記形式で記録するため の項目 10億円を援助する;資本収支の10億円のプ ラスと経常移転収支の10億円のマイナス 国際経済の基礎13 19 資本収支 直接投資収支 証券投資収支 その他投資収支 資本移転及び 金融資産収支 2006年(億円) 直接投資 -87,975 証券投資 301,095 金融派生商品 その他投資 その他資本収支 4,203 -359,176 -6,370 -148 223 国際経済の基礎13 20 200000 150000 その他資本収支 その他投資 金融派生商品 証券投資 直接投資 資本収支(単位:億円) 100000 50000 0 -50000 1-3月 4-6月 7-9月 10-12月 2006年 -100000 -150000 -200000 -250000 -300000 国際経済の基礎13 21 直接投資収支 工場の建設,外国の不動産や土地の購入に 関する収支 マイナス;日本からの対外直接投資が海外か らの対内直接投資を上回っている 特に先進各国に比べて対内直接投資の割合 が小さい 国際経済の基礎13 22 証券投資収支 株式や債券の取引に関する収支 国際経済の基礎13 23 その他投資収支 国際経済の基礎13 24 資本移転及び非金融資産収支 国際経済の基礎13 25
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