マクロ経済学 2 2 国際収支均衡線(BP 曲線) 1.IS-LM 分析から 経常収支(≒貿易収支)を考慮した財市場の均衡を表す式は、以下のようになります。 Y=C+I+G+X(e) この時、X(e)は経常収支を表し、 X(e) >0 です。 e e は為替レートです。なお、為替レートの上昇は、自国通貨の減価(安)を意味しています。 この時、貿易を考慮した財市場の均衡式は以下のようになります。 r=― 1 1 ×{1―c(1―t) }Y+ (α0+X(e))・・IS 曲線 b b r IS0 IS1 LM E1 r1 E0 r0 Y0 Y1 Y 為替レート(e)が上昇(自国通貨安)になると、IS 曲線の切片が上昇することになるおで、 IS 曲線は右へシフトして、景気が上向くことがわかります。 2.BP 曲線 BP(Balance of Payment)曲線は国際収支均衡線と呼ばれています。国際収支を均衡させる 国民所得と金利(利子率)の組合せを表す曲線です。 ①:為替レート(e)が上昇すると、経常収支が増加するので、経常収支は為替レートの増 加関数と考えられます。 ②:国民所得(Y)が増加すると、輸入も増加します。その結果、経常収支は国民所得の減 少関と考えられます。 ③:資本収支は自国金利 r と外国金利 rf との差、つまり、金利差(r―rf)に依存します。自 国の金利が外国の金利より高くなった場合、外国から資本が流入してくるので、資本収支は 改善されます。したがって、資本収支は外国との金利差(r―rf)の増加関数と考えられます。 以上のことから、経常収支:X(e, Y)+資本収支:K(r-rf)=0という国際収支の均衡を 表す BP 曲線は、以下のような関係式として表すことができます。 X(e, Y)+K(r-rf)=0・・・BP 曲線 K(r - rf ) X(e) X(Y) >0、 <0、 >0 e Y (r - rf ) BP 曲線を図示すと以下のような関係と考えられます。 r BP Y 国民所得(Y)が増加すると、経常収支:X(e, Y)が減少する一方で、金利 r が上昇して、 資本収支:K(r-rf)が増加して国際収支が均衡するので、BP 曲線は右上がりの曲線になる ことがわかります。 なお、BP 曲線の傾きは資本収支:K(r-rf)の利子弾力性に依存しており、資本の移動が自 由なほど傾斜が緩やかになります。 r IS BP(資本移動制限) LM r* BP(資本移動自由) Y Y* また、国際収支の均衡を表すのが BP 曲線上です。BP 曲線より右下のエリアでは国際収支 赤字に、左上のエリアでは国際収支黒字の状態です。 r BP 国際収支黒字 国際収支赤字 Y 3.BP 曲線のシフト X(e, Y)+K(r-rf)=0・・・BP 曲線 K(r - rf ) X(e) X(Y) >0、 <0、 >0 e Y (r - rf ) 為替レート(e)が上昇した場合(自国通貨安) 、経常収支:X(e, Y)が増加します。この 時、国際収支を均衡させるには、「国民所得(Y)が増加して、経常収支:X(e, Y)が減少 する」か、 「金利 r が上昇して、資本収支:K(r-rf)が増加する」ことになるので、BP 曲線 は右へシフトすることがわかります。逆に、為替レート(e)が下落した場合(自国通貨高) には、BP 曲線が左へシフトすることがわかります。 r BP2 自国通貨高 BP0 自国通貨安 Y BP1
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