ディジタル信号処理 Digital Signal Processing 第8講 伝達関数とシステムの安定性 2.4 伝達関数と回路 • システムの入出力関係について,インパルス 応答との畳み込み和で表現できるが,内部構 造の考察には適していない。 • 差分方程式は内部構造を考慮した入出力関 係の表現法だが,特性の考察には便利でな い。 • 伝達関数はシステムの内部構造と特性の両 方を考察するのに適した入出力の表現方法 である。 2.4.1 伝達関数( Transfer Function ) フィルタの伝達関数 標準形構造のディジタルフィルタの出力方程式は, 伝達関数=Z[インパルス応答]=Z[h(nT)]=H(z) • 一般に,IIRシステムの伝達関数は,z-1に関 する有理関数となり,FIRシステムではz-1に 関する多項式になる。 • 伝達関数に現れるz-1に関する最高の冪数を システムの次数とよぶ。 • 差分方程式の次数とシステムの次数は同じ 値である。 次数の例 (1)差分方程式 y(nT)=x(nt)+by(nT-T) この系の伝達関数 システムの次数は1である。 (2)y(nT)=a0x(nT)+a1x(nT-T)+a2x(nT-2T) G(z)=H(z)=a0+a1z-1+a2z-2 システムの次数は2である。 例題2.16 (1)インパルス応答→伝達関数 (2)システムの次数 (3)ステップ応答 h(nT)=3δ(nT)+2δ(nT-T)+δ(nT-2T) 例題2.17 伝達関数→インパルス応答 伝達関数の極と零点 • 一般に伝達関数は上式のように表すことがで きる。 • D(z)=0の解を極という • N(z)=0の解を零点という。 • z=∞をひとつの零点と考えると,極の数と零 点の数は同じである。 例1 極と零点 FIR形の伝達関数 D(z)=zNとなり,N個の極が原点にある FIR系の伝達関数は,すべての極が原点に存在する。 例1の続き 全零形伝達関数 FIR形の伝達関数を z-1=ω と置き直すと となるが,ωの関数として極と零点を計算する と,ω平面の有限の所には零点しか存在しない (極はすべて∞) FIR形の伝達関数のことを全零形伝達関数と いう 例2 極と零点 IIR形の伝達関数 IIR形の場合には, z-1=ω と置き直すと となり, ω平面の有限の所には極しか存在しな い(零点はすべて∞) これを全極形伝達関数と呼ぶ 例題2.18 極と零点を求める 例題2.19 極と零点を求める 2.4.2 周波数特性と正弦波定常応答 ∞ • X(ejωT)=Σ x(nT)e-jωT n=0 2.4.3 回路 • 遅延要素,加算器,乗算器 • 回路:システムの内部構造をブロック図で表 したもの 2.5 システムの安定性 例題2.22 伝達関数が式(2.144)で示されるシステム の安定性を調べる
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