2015/10/1作成 特定領域A05班発表 2006/3/3地震研究所 火山防災をいかに効果的に伝えるか: フレームワーク法の技術と実例 京都大学 人間・環境学研究科 鎌田浩毅 目 次 フレームワークとは何か 文章上の技法 トーク上の技法 →つねに相手の価値観に合わせつつ、 こちらの意図を通す方法! 1 2015/10/1作成 フレームワークとは何か フレームワークとは、 「考えかたの枠組み」「価値観」「常識」 →環境・経験・文化・学力に大きく左右される ☆理論的根拠:「認知論」←心理学の応用 e.g.,「人は思いこみの動物である」 「自分に都合のよいものしか見えない」 よって、フレームワークの橋渡しが、かならず必要 2 2015/10/1作成 フレームワークのちがい 事例: 外国語の翻訳 価値観・世界観の差 大人と子供 ボキャブラリー量の差 専門家と市民 リテラシー(読解能力)と経験の差 3 2015/10/1作成 文章上の技法 基本:テーマは1〜2つに絞る いくつも盛り込むと逆効果 例: 東京新聞 800字のコラムでは→1テーマ 岩波「科学」1500字のコラムでは→2テーマ 新書1冊では(原稿用紙250枚) =3部×3章×3節 →節ごとに 1テーマ (つまり3×3×3=27テーマ) くわしくは→PHP新書『理系の知的仕事術』 (仮題)5月刊行 4 トーク上の技法 2015/10/1作成 授業・市民講演会 =目的意識をもった聴衆へ 1.すぐに本題に入る。「学者は前置きが長い!」 →最初に目次を言わない。 (ただし、学会発表では目次が必要。 まさに、フレームワークの違い!) 2.内容を3つだけにしぼる。 3.身近なエピソードを加えて、理解を容易にする 4.恐い話だけでなく、恵みの話も。 5 トーク上の技法:準備編 2015/10/1作成 本番の前に、かならず 1.話したいメッセージをすべて書き出す。 2.話の展開を構成する パワーポイントや板書に頼らない! トークだけでイメージできるような話を、組み立てる 3.A4 用紙1枚のメモを作る 4.本番ではメモだけを見て話す 6 2015/10/1作成 トーク上の技法:実践編 1.ゆっくりとしゃべる 2.専門用語には、日常語と同音異義の漢語が多い →耳で聞いただけで理解できる言葉で ☆「火砕流」とは「火災流??」と市民は思う。 ◎「火が砕けたものが流れる、と書きます」とフォローする ☆「岩屑なだれ」→「岩なだれ」と言い換える 3.センテンスのあいだに間(ま)を取る 4.身振り手振りを加える パーフォーマンスの能力は大事 7 トーク上の技法:上級編 2015/10/1作成 1.体を動かさない 話者が動くと話に集中できない cf,. 数学者・藤原正彦氏の講演会 2.笑顔でしゃべる 表情が硬いと話に没入できない 3.聴衆の目を見て話す 4.ユーモアを入れる 科学の話はもともと飽きられやすい 5.話を少し脱線して、きちんと戻る。(ループ法) 8 2015/10/1作成 トーク技術を向上させる裏ワザ1 1.自分の講演や講義を録音する まず、話し方をチェック 話の組み立て方、ラジオでも伝えられるか? 2.自分の講演や講義をビデオに撮る 次に、ボディーランゲージをチェック 体の動き、笑顔、目線の動き 3.第三者に見てもらい、コメントをもらう できれば専門外の人や学生に 4.聴衆をビデオに撮る 反応を客観的に知る 9 2015/10/1作成 トーク技術を向上させる裏ワザ2 1.教授法の技術が既にある 講義の組み立てかた パワーポイントのつくりかた 板書のしかた・・・etc. 2.双方向の情報伝達:京大での実践例(地球科学入門) 白い紙をわたして質問・感想・意見をとる。 次回に回答する。 ライブの迫力を失わない。「活きた時間」と「死んだ時間」 3.「離見(りけん)の見」 (世阿弥『風姿花伝』) 離れた位置から見ている自分がある。 自分を見つめる司令塔をもつ。 10 まとめ1:戦略(ストラテジー) 2015/10/1作成 1.まず、「すべての人はフレームワークが異なる」 ことに気づく。 2.相手(読者、聴衆)との違いを、具体的に確認する。 3.相手の立場にたって、話をつくる。 「お客さん(読者、聴衆)は神さま!」 11 2015/10/1作成 まとめ2:戦術(タクティクス) 1.たくさんある技法を知る。 教授法、話しかたの本、心理学・・・ 2.まず、試行錯誤をしてみる。 失敗と成功から学ぶ。 (2002年講演会で沈黙の1分間) 3.自分なりの文章作法、話法をつくる。 まず自己流を確立。 →TBSラジオ 2月26日放送「サイエンス サイトーク」 インターネットで聴けます(MP3で9.7メガ) 12 2015/10/1作成 今年度の成果、今後の課題 今年度の成果: 1.本発表の基盤を考察した本 PHP新書『理系の知的仕事術』 (仮題)印刷中 2.火山防災と啓発を実践した本 岩波新書『火山噴火-予知と防災を考える』(仮題)編集中 今後の課題: 本発表を本にまとめたい(出版社未定) おわり 13
© Copyright 2024 ExpyDoc