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大卒就職率9年ぶり下落=高卒も減少、女子苦戦-
文科省など
2009年5月22日(金)15:30 時事通信社
文部科学省と厚生労働省は22日、今春の大学新卒
者の就職率が前年度比1.2ポイント減の95.7%
だったと発表した。前年度は調査を始めた1996年度
以降で最高だったが、昨年からの景気後退で9年ぶり
に下落に転じた。高校新卒者の内定率も1.5ポイント
減の93.2%で、7年ぶりに減少。いずれも女子の苦
戦が目立った。
両省は国公私立の大学、短大、高等専門学校から、
2008年度の卒業生6250人を抽出。就職希望者の
中で4月1日に就職していた割合を集計した。
このうち、大卒の就職率は男子が0.7ポイント減の
95.9%、女子が1.9ポイント減の95.4%。地域別
では北海道・東北が3.1ポイント減の91.3%で最低。
九州が1.6ポイント減の91.8%、中国・四国が4.4
ポイント減の93.7%で続いた。
短大卒は0.1ポイント減の94.5%、高専卒は0.4
ポイント増の100%だった。
文科省はまた、全国の高卒者を対象に3月末の内
定率を調査。男子が0.9ポイント減の95.5%、女子
が2.3ポイント減の90.2%だった。
平成22年度「大学等卒業予定者の就職内定状況調査」 <厚生労働省HPより>
~大学卒業予定者の内定率は過去最低の水準、平成23年2月1日現在~
厚生労働省は18日、平成23年3月に大学を卒業予定の学生の就職内定状況など
を文部科学省と共同で調査し、平成23年2月1日現在の状況を取りまとめました。調
査対象は、全国の大学、短期大学、高等専門学校、専修学校の中から、設置者や地
域などを考慮して抽出した112校、6,250人です(※1)。
本発表は平成23年2月1日現在の状況であり、東北地方太平洋沖地震により、新
規学校卒業予定者の就職内定状況に影響が出ることも予想されます。
【就職内定率】
○ 大学
77.4%(前年同期比2.6ポイントの減。)
<前年同期との差は、前回(※)よりも1.7ポイントもの大幅な縮小。>
※ 12月1日現在68.8%(前年同期比4.3ポイントの減)
○ 短期大学(女子学生のみ)
63.1%で、同4.2ポイントの減。
○ 高等専門学校(男子学生のみ)
97.3%で、前年同期と同じ。
○ 専修学校(専門課程)
69.5%で、同2.9ポイントの減。
3月の完全失業率、前月から0.2ポイント改善
2013年4月30日(火)08:42 朝日新聞
総務省が30日発表した3月の労働力調査によると、完
全失業率(季節調整値)は前月から0・2ポイント改善して
4・1%だった。改善は2カ月ぶり。2012年度の完全失
業率は前年度より0・2ポイント改善の4・3%だった。
また、厚生労働省が同日発表した有効求人倍率(同)
は前月を0・01ポイント上回る0・86倍だった。12年度
の有効求人倍率は前年度を0・14ポイント上回る0・82
倍で、リーマンショックのあった08年度の0・77倍を上回
った。
第1回課題レポート
「自己実現」について
・目標や夢は途中で変わってもいいの?
・目標や夢がかなえられないとき,自己実現
はできていないの?
・自己実現って,誰がいつ評価するの?
・大きい目標が小さい目標よりもいいの?
・目標や夢がない人はどうすればいいの?
・成功体験
・チャレンジ精神
・コミュニケーション能力
2-1-3 キャリア発達(進路選択・発達)に関する
諸理論の分類
オシポウ(1983)のキャリア発達理論の分類:
①特性ー因子理論
②社会学と進路選択
③発達的自己概念理論
④職業選択と人格的諸理論
⑤行動的アプローチ
アイザックソン(1986)の進路選択・発達理論の分類:
①特性ー因子理論
②人格を基盤とした諸理論
③発達的諸理論
④社会的学習理論
⑤状況理論
キャリア発達における「内容」と「過程」は,表裏の関係
にあり,内容理論と過程理論は,焦点のあて方(強調
の違い)による分類である。
・内容理論:進路選択や発達の内容(主に,原因や規
定要因)に焦点をあてている。
・過程理論:進路選択や発達の原因よりも,過程のメカ
ニズムに焦点をあてている。
2-2 進路選択・発達に関する内容理論
2-2-1 特性ー因子理論
1900年代の初期に,職業指導の創始者とされているパーソン
ズ(Parsons)によって提唱され,1940年代まで主要理論とされ
てきた。
職業選択には次の3つの一般的要素がある。
①適性,能力,興味,希望,資質,限界,その他の諸特性を含
めた自己の明確な理解
②いろいろな職業に関して,求められる資質,成功のための条
件,利点と不利な点,報酬,機会,将来性などについての知識
③上記の①と②の両事実の関連性についての合理的な推論
パーソンズの特性ー因子理論のその後:
①→職業適性(興味)検査などの心理検査の開発を
促進させる。
②→職業や職務の科学的分析を促進。
③→カウンセリングの理論と技法を発展させる。
特性ー因子理論は,その後の職業指導の理論構築の
原初的なモデルになっており,今のコンピュータ活用
ガイダンスの出現にまでつながっている。
弱点としては,
①適材適所の考えに固執しすぎている。
②人間と職業との関係を,一面的・固定的・静態的に
とらえすぎている。
・わたしの仕事館 Job Job World:
http://www.shigotokan.ehdo.go.jp/
jjw/top.html
・「お仕事」未来図鑑 Job shower:
http://www.job-shower.com/
・ベネッセ マナビジョン:
http://manabi.benesse.ne.jp/op/
・キャリアマトリックス:
(日本最大の職業データベースです)
http://cmx.vrsys.net/TOP/
・リクルート:
http://www.recruit.jp/
・沖縄県キャリアセンター:
http://www.career-ce.jp/
・キッザニア ジャパン:(東京,甲子園)
http://www.kidzania.jp/
・カンドゥー(児童向け仕事体験テーマパーク)
http://www.kandu.co.jp/
2-2-2 ローの早期決定論
臨床心理学者のロー(Roe, 1957)は,幼児期の家庭
環境や親の養育態度が人格の形成を規定し,それが
将来の進路選択を方向づけると主張。
①幼児期における家庭の雰囲気(暖かい,冷たい)
②親の子どもに対する態度(関心,回避,受容)
③子どもによる親の態度の認知の仕方
(過保護,要求過剰,拒否,放任,なにげない,愛情)
の3つで,子どもの志向性が決まり,その後に選択さ
れる職業領域が決まるとして,環状モデルを示す。
ローの理論の修正:
ローは近年,このような関係づけが認められるのは高
い水準の職業に関してであり,低い水準の職業ではこ
のような関係は認められないとしている。
2-2-3 ボーディンらの精神分析的理論
精神分析的アプローチでは,職業選択の行動とは,抑
圧された意識や衝動が社会的に承認されている職業
行動に反映する一種の「昇華」であるとみている。
ボーディン(Bordin, E.,1963)らは,「複雑な成人の職
業活動は,単純な乳幼児の活動と全く同質の本能的
な満足の原泉が保有されている」という仮説をもとに,
個人の要求パターンと職業選択との関係を,次の10
の次元に分類している。
①養育的次元:乳幼児や弱者の保護
②口唇攻撃的次元:言語による攻撃・論争,道具の使用
③操作的次元:物の操作や人の支配
④感覚的次元:視覚や聴覚などの使用による芸術活動
⑤肛門的次元:ものをためることや潔癖に関連する活動
⑥性器的次元:建築,生産,農業
⑦探索的次元:好奇心に基づく科学的研究
⑧尿道的次元:排尿行為に起源をもち,消防・鉛管工事
⑨露出的次元:露出行動に関連し,俳優・演劇・裁判・広告
⑩律動的次元:生理的リズムに起源をもち,音楽・芸術
これらの本質的な要求パターンは,心理性的発達が顕著な6歳
までに決定され,青年期以降の職業選択行動の無意識的な規
定要因になるといわれる。
2-2-4 ホランドの職業選択理論
ホランド(Holland, J.L.)の理論は,職業選択が人格の
表現行動のひとつであり,人は自己の人格の表現を
容認してくれる環境を求めるという考えに基づいてい
る。
A. 基本的見解:ホランドの職業選択理論は,次の4つ
の仮説によって構成されている。
(1)我々の文化において,大多数の人は,現実型,研
究型,芸術型,社会型,企業型,慣習型の6つの人格
型のうちのひとつに分類される。
(2)我々の生活する環境には,現実型,研究型,芸術
型,社会型,企業型,慣習型の6つの種類がある。
(3)人は,自己の技能や能力を発揮でき,自己の価値
観や態度を表現でき,かつ,自己の役割や問題を引き
受けさせてくれるような環境を探し求める。
(4)個人の行動は,その人の人格と環境との相互作
用によって決定される。
B. 人格型の特徴
ひとりの人間は,1つだけの人格型を発達させるの
ではなく,6つの型をその内面に備えながら,環境(両
親,兄弟姉妹,仲間,学校,職場など)との相互作用を
通して,ある特定(優秀な型と,そうでない型)の人格
型を発達させる。
C. 六角形モデル
ホランドは,人格型の相互の関係,環境相互の関係,
そして,人格型と環境との間の関係を,六角形のモデ
ルで示している。
この図形で,互いの位置(距離)が近ければ関連が
強く,遠ければ関連が弱い。
2-2-5 ブラウらの職業選択モデル
職業選択・発達における外的要因を重視する状況理
論として,ブラウ(Blau, P.M., 1956)らの職業選択モ
デルがある。
ブラウらは,社会構造(社会・経済的要因)が職業選
択と密接な関係にあることを考慮し,職業選択のモデ
ル(概念モデル)を提示している。
彼らのモデルの特徴は,職業選択を最終的には職
業に就こうとする個人の側と就職の機会を提供する側
との一致・不一致としてとらえ,その両者に対する社
会・経済的要因を含めていることである。
2-3 進路選択・発達に関する過程理論
2-3-1 キンズバーグの発達理論
キンズバーグ(1951)らは,職業選択が1つの時点で
なされるという従来の考えを否定し,それが一連の選
択・決定からなる発達的特質をもつことを主張した。
A. 職業選択の発達段階
青少年の面接調査の結果に基づき,職業の選択・決
定をなす過程には,3つの時期があるとして,次のよう
に区分している。
(1)空想期(fantasy period):11歳未満
現実の様々な制約を考えずに,「大人になったら,
何になろうか」と空想している。
(2)暫定期(tentative period):11~18歳頃
将来の職業を決める必要性を認識し,職業選択の基盤を形
成し始める。この時期は,次の4つの下部段階に細分化されて
いる。
①興味の段階(11~12歳):
興味が職業選択の主要な基準となる。
②能力の段階(12~14歳):
自己の能力を考慮して職業選択を試みる。
③価値の段階(15~16歳):
自己の価値基準が形成され,望ましさを基準とした職業選択
を試みる。
④移行の段階(17~18歳):
職業選択には,自己の内的要因(興味・能力・価値観)だけで
なく,現実的な外的要因が関与していることを認識する。
(3)現実期(realistic period):18~22ないし24歳
自己の希望と自己が遭遇した機会との間で起こる矛
盾や葛藤を順次解決し,現実との妥協を図らなければ
ならないことを認識する。この時期も,次の3つの下位
段階に細分化される。
①探索の段階:現在までの経験をもとにして,可能な
職業領域や方向をみつけようとする。
②結晶化の段階:可能な職業のなかから,特定の職
業に関心が集まり,それに向かって将来の計画をつく
り始める。
③特定化の段階:選択した特定の職業について,さら
に具体的な検討を深める。
B. 職業選択の発達的特長
キンズバーグ(1951)は,職業選択の発達的特長を
次の3つに要約している。
(1)職業選択は,青年期の全期間を通して行われる。
(2)職業選択の過程は,連続的なもので,基本的には
後戻りできない。
(3)職業選択は,個人的要因(興味・能力・価値観)と
現実的要因(雇用機会)との妥協で終結する。
その後,キンズバーグ(1972)は,この理論への批判
を受けて,次のように部分的修正を行っている。
(1)職業選択は,生涯を通して行われる。
(2)職業選択の過程は,後戻り可能であるが,時間や
経費などの損失を受ける。
(3)職業の選択・決定は,個人的要因と現実的要因と
の最適化の過程である。
(ネガティブなイメージがある「妥協」という用語から,
ポジティブなイメージをもつ「最適化」という用語に改称
している。)
2-3-2 スーパーの発達理論
A. 職業的発達理論
スーパー(1953)は,従来の心理学的・社会学的研
究などを整理・検討し,その基本的要素から職業的発
達理論の主軸となる10の命題を提唱した。
1957年には,研究の進展によって,「職業的発達に
関する12の命題」に改訂している。
(1)職業的発達は,前進する,継続的な,一般には不可逆的な
過程である。
(2)職業的発達は,秩序のある,1つの型をもった,予測できる
過程である。
(3)職業的発達は,ダイナミックな(個人と環境との相互作用)
過程である。
(4)自己概念は,青年期以前に形成し始め,青年期にさらに明
確となり,職業的な用語に置き換えられる。
(5)現実的な要因(個人の特徴という現実と,社会という現実)
は,青年前期から成人期へと年齢が進むのにともなって,職業
選択上ますます重要な役割を果たすようになる。
(6)親またはそれに代わる人との同一視は,適切な役割の発
達や,一貫した調和のとれた人間関係の発達と関係があり,さ
らに,職業的計画やその結果の解釈にも関連をもつ。
(7)1つの職業水準から他の職業水準への垂直移動の方向と
速度は,①知能,②親の社会経済的水準,③地位への欲求,
④価値観,⑤興味,⑥人間関係の技術,⑦経済界における需
要と供給の状態,と関連をもつ。
(8)個人が入る職業分野は,個人の,①興味,②価値観,③要
求,④役割モデルとの同一視,⑤利用する地域社会の資源,
⑥学歴の水準と質,⑦地域社会の職業構造と職業動向および
その態度,と関連をもつ。
(9)それぞれの職業は,能力,興味,性格特性について特徴の
ある型を要求するが,1つの職業でもいろいろな人が従事でき
るし,また,1人の人が異なる職業に従事できるなどの許容性
(融通性)がある。
(10)仕事から受ける満足感や生活上の満足感は,個人が自己
の能力,興味,価値観,性格特性に対するはけ口を,仕事のな
かで見出す程度によって決まる。
(11)個人が仕事から得る満足度は,その人が自己概念をどれ
ほど実現できたか(自己実現)の程度に比例している。
(12)仕事あるいは職業は,大部分の男子または多数の女子に
とって,人格組織上の焦点となっている。ただし,ある人にとっ
ては,この焦点が周辺的,偶然的であったり,あるいは全然な
かったりして,社会的な活動や家庭などのような他の焦点が中
心になっていることもある。
スーパーの発達理論の中核にあるのは,
自己概念(self-concept)の発達であり,
職業的発達の過程を,
①自己概念を形成する
②自己概念を職業上の用語に翻訳する
③自己概念を実現する(自己実現)
という3つの局面でとらえている。