ミニ卒論中間報告

ミニ卒論中間報告
3051-6027
松本由真
方向性
防災のためのゲームを製作す
る
I. 吉川肇子著「防災教育にゲーミ
ングを生かす」を読み解く
II. これからの課題を明らかにする
I. 「防災教育にゲーミングを生かす」
吉川 肇子 著
を読み解く
1.ゲーミングと防災教育
2.ゲーミングで何を学ぶのか
3.どのように学ぶのか
4.「生徒が先生になる」という
こと
1.ゲーミングと防災教育
ゲーミング
→「ゲーム」を用いる問題解決技法
→定義が多様化しており、あいまい
→むしろ、ゲーミング技法の柔軟性を示す
「防災」に特化したゲーム
→それほど多くない
→軍事ゲーミングとの親和性
地図を用いて人員や資源の管理の作戦を立てる
実際に人が動く訓練を含むことが多い
類似点
2.ゲーミングで何を学ぶのか
ゲーミングやゲームの概念は多様
→ゲーミングで学ぶものも多様
代表的な例
1.
2.
3.
4.
正解を学ぶ
動作を身につける
問題の共有と合意形成
暗示される時間
2-1 正解を学ぶ:ぼうさいダズン
目的
火災が発生した際の対処行動を学ぶ
手順
1.
2.
3.
4.
天ぷら火災が発生
12個の対応行動に順位をつける(個人で)
グループで話し合って、集団で順位の決定
正解との隔たりの計算 ・ 個人と集団の比較
優位点
回答を、グループで時間をかけて話し合う
→正しい対処行動(正解)が、理由とともに
記憶に残りやすい
2-2 動作を身につける:
ぼうさいダック
目的
さまざまなハザードへの対応を学ぶために作ら
れた
手順
表にハザード、裏に取るべき対応行動が書かれ
たカードの表を見て、すばやく対応行動を取る。
優位点
回答の判断にスピードを求める
→ハザードの際に、考えなくても正しい行動
が取れるようになる
2-3 問題の共有と合意形成:クロスロード
目的
問題の共有と合意形成
手順
1.
2.
3.
4.
5人1組を作る
災害時のジレンマ状況が記されたカードを引く
「イエス」または「ノー」の選択肢からいずれかを選ぶ
多数派のプレーヤに加点、ただし、少数派が1人だっ
た場合、そのプレーヤに加点
優位点
→多様な意見があること、少数派の意見も多数
派の意見と同等に尊重されることを認識できる
2-4 暗示される時間:大ナマジンすごろく
目的
季節により変わるハザードへの防災意識の向上
迫り来る大地震への暗示
手順
1. 1年間12ヶ月のマスをすごろく形式で通過しながら、各月のマ
スにとまった場合、そのマスの指示に従ってハザードへの対応
行動を取る
2. 「大ナマジン」がスタートマスの3マス前からスタートし、サイコロ
の1が出たときのみ、1ずつ進んでくる。プレーヤが大ナマジン
に追いつかれた場合、脱落
優位点
手順1のマスの指示は季節のイベントと関連
→各月ごとに異なる、ハザードに対する行動を確認できる
手順2の迫り来る大ナマジン
→東海地震などの大地震を暗示させている
3.どのように学ぶのか
ゲームを使って「どのように学ぶのか」
同じルールで1つのゲームを学ぶにしても・・・
→誰がどのような場面でゲームするかによって、
学び方は異なる
代表的な例
1. ルールから学ぶ
2. 他者との相互作用から学ぶ
3. ゲーム後に学ぶ
4. 作って学ぶ
3-1 ルールから学ぶ
ゲームのルール
→「その問題(災害)はどんなものか」についての
製作者の考え方や視点が組み込まれている
例.
明確な正解のない→「クロスロード」
時間の切迫の暗示→「大ナマジンすごろく」
→ゲームは現実(防災)を学ぶのに非常に
優れた道具
→ゲームから、現実なとらえ方や見方を学
ぶことができる
3-2 他者との相互作用から学ぶ
話し合うことが重要なゲームをすることによっ
て・・・
→他者の意見を聞くことが学習を深めることにつ
ながる
→自分にはない、新しい見方や考え方に気がつく
防災教育にとっては・・・
→1人ひとりがばらばらに持っている社会的現実
(個人が固有に持っている現実の理解の仕方)
を認識できる
→社会的現実を意識的に共有できる
3-3 ゲーム後に学ぶ
ゲーミングの効果の測定
一般にかなり困難
効果は短期的に測定できず、長期的な効果
長期的な効果を支える仕組み
例.クロスロード
体験やその後の学びが共有できる
→「クロスロード新聞」
継続した学習を促す
→「ファシリテータ進級制度」
3-4 作って学ぶ
ゲームの非現実性
多くのゲームは、製作者の世界観(社会的現
実)を反映したもの
→現実を忠実に写したものではなく、プレーヤの
見ている現実とは異なることも少なくない
ゲーミングの次の段階
プレーヤ自身に新たなゲームを考えさせる
→ゲームの製作は、「学ぶ」側だけでなく、製作
者にとっても意義のある活動である
4.「生徒が先生になる」ということ
ゲーミングの教育ツールの最大の特徴
プレーヤの誰もがそれぞれの社会的現実を共有し
あっていくという学び方は・・・
→一方的に知識を伝授する「教師-生徒」関係とは異
なる
→誰もが誰かの「先生」になれる
「誰もが先生」への期待
防災教育は・・・
→「生徒(すべての国民)」の数に対して、「先生」の数
が圧倒的に足りない分野
→誰もが先生になれるゲーミングという手法が、防災
教育にさらに活用されることが期待されている
II.
これからの課題
ゲームのテーマの決定(例.地震防災)
目的の決定(例.動作を身につける)
方法の決定(例.ボードゲーム)
ゲームの試行方法の決定