温暖化と国際機関

温暖化と国際機関
環境情報学部3年 中村治樹
はじめに
 今回は、前回の中間発表で述べた温暖化と国際
機関の役割について、CDM,貿易と環境税、そ
して炭素基金という3つの視点から考えていきた
いと思います。
テーマについて
 温暖化対策を実行する際に、困難とされる点
 1.被害が地球規模なものであること
 2.南北問題(先進国のCO2の排出量は、途上
国の5~6倍)
 3.温暖化自体の不確実性及び、不可逆性(リグ
レットポリシーか、ノーリグレットポリシー)
 4.フロンのように排出をやめることはできない
CDM(クリーン開発メカニズ
ム)の有効性
 CDMとは、いわゆる「共同実施」の中で先進国と
途上国間で行われるもの
 途上国は、自国の削減分と引き換えに先進国か
ら技術移転を受けられる
 吸収源が認められたことにより、熱帯雨林の価
値が変化した
 途上国の自主的なCO2削減を促す
CDMの問題点
 もともと途上国の5~6倍もCO2を排出している
先進国が途上国の自主的削減を望むのは、身
勝手ではないか?
 途上国側の持続可能な発展との両立ができるの
か
 参加インセンティブ設定ができるのか(途上国側
の反対をどう説得するのか)
 spill overの問題
環境税と貿易
 北欧諸国の環境税導入
 スウェーデンでは1トンあたり20000円ほど
 包括的な税制改革を行っている。
環境税の導入状況と問題点
 1990年頃から導入が始められ、年々税率は引
き上げられている。
 国際競争力の問題
 負のイメージ
WTOの対応(GATTからの引
き継ぎ)
 各国の一律の税率による環境税の導入をめざす
べき。
 環境税の副作用を相殺する政策の提言
 エネルギー輸出国に対する補償が必要となって
くる。
世界銀行の炭素基金構想とは?
 GHG(温暖化ガス)削減の包括的な政策の提言
 京都会議及びUNFCCCで決定された目標の効
果的な達成
 発展途上国における持続的発展の援助
 新たな代替エネルギー開発の援助
 炭素市場の運営
炭素基金構想の問題点
 京都議定書に従属しているため、実施の
までの時間がかかりすぎる。
 明確な制裁措置がない。(強制力がない)
 政策決定プロセスが他の温暖化防止枠組
みと変わらないため、二重の国家間交渉
が必要となる。
理想のモデル
IPCC、UNFCCC
削減目標の達成機関
(あくまで外部影響力を無視できる完全に独立した機関。
これは、上記のIPCC及びUNFCCCの提示した
削減目標を達成するために、あらゆる制裁手段を用いる
事が許されている)
強力な制裁手段
強制的な環境税の導入 徹底した環境保護 市場介入
各国は、上記の機関の求める削減目標の追求を国策の最優先課題とする。
現実的なモデル
:京都会議及びUNFCCC
環境税 炭素基金 CDM
先進国 発展途上国
(経済インセンティブをもとに自主的削減を促す) (プロジェクト主導の削減政策)
・炭素市場 ・持続的発展との両立
・環境税 ・参加インセンティブの設定
・新たな代替エネルギーの開発 ・エネルギーの転換
・技術革新 ・既存の環境保全
結論
 環境を市場が内部化するためには、必要
悪として規制措置や経済措置は必要
 そのための環境税は導入されるべき
 国家間の利害対立をどのように減らしてい
くかが焦点となる
 世銀の炭素基金のように初動を付ける意
味で、構想の早期実現は有効である
 オイルショックを見習え