環境経済論 第13回目 市場は地球環境を救えるか その4: 排出量取引 1 Goods課税による Bads減税 (環境税の未来) 2 バッズ課税、グッズ減税とは 社会に有益な活動 社会に有害な活動 勤勉 汚染行為 倹約・投資 迷惑行為 goods bads 課税されている 課税されていない 課税を緩和すべき 課税を強化すべき 3 バッズの課税とグッズの減税 • グッズへの税は成長を抑制する – 累進的所得税=勤労意欲を抑制 – 利子・配当課税=貯蓄意欲を抑制 • 人は働かなくなり、将来への投資は細る • 結果、税1ドルに対し1ドル以上の負担 – これを「超過負担」という 4 超過負担: 税の所得抑制効果 • 超過負担の推定値(Repettoによる) – 個人の所得税 ・・・ 0.40~0.60 (税額1ドル当たり限界超過負担額、単位ドル ) – 利子・配当税 ・・・ 0.58~1.18 – 社会保障税(企業から徴収する) ・・・0.31~0.48 • 所得に中立的な環境税には超過負担がない • よって、環境税(グッズ課税)を新規導入し所得税 と利子課税を減税すれば、税の超過負担を解消 し、国民生活は豊かになる 5 環境税は一粒で二度おいしい 環境汚染を削減 グッズ減税に利用 6 バッズ課税、グッズ減税 実現への道 • 環境税は大衆課税となりやすい – エネルギー利用、ごみの排出、クルマの利用などは 所得に比例しないため、相対的に低所得者に重い • 所得税、利子・配当課税は高所得者から低所得 者への所得再分配機能を果たしてきた • 環境税(グッズ課税)による財源を既存税の減 税に使うことは望ましいとしても、税の所得再分 配効果を担保する税の設計が必要 7 排出量(排出権)取引 Emissions trading 8 排出量取引とは • 政府は個々の汚染排出源に排出割当 (allowance)を配分 • 排出源の企業は排出割当の範囲内に 収まるように排出削減を行う • 排出削減目標を超過達成した企業は 未達成の企業に余剰割当を売却でき る(排出割当市場の形成) 9 排出量取引の進め方 政府 汚染削減目標を設定 個々の排出源に割当を配分 企業 排出源における排出削減 海外市場 排出量市場 排出実績と割当の照合 10 排出量取引のイメージ 企業A 企業B 合計 ベースライン排出量 (トン) 100 300 400 排出割当量 (トン) 80 240 320 必要削減量 (トン) 20 60 80 削減単価 (万円/トン) 40 10 規制対応の費用 (万円) 800 600 1400 取引による割当増減(トン) 20 -20 0 自社削減量 (トン) 0 80 80 自社削減費用 (万円・トン) 0 800 800 売買高(万円)@25万円/トンとする 500 -500 0 規制対応の費用 (万円) 500 300 800 費用の差 300 300 600 11 排出量取引による費用削減 排出量の取引により企業間の 削減分担はG点からH点に 変化 • 排出割当価格=p* • 企業Aの費用 b→b+cへ (cの増) • 企業Bの費用変化 a+c+d→dへ (a+cの減) • 総費用は差し引き a の減 12 排出量市場の価格形成 • 社会的な限界排出削減 費用曲線(MSC)は個々 の排出源における限界 削減費用曲線(MC)を水 平方向に足して得られる • 排出量取引の結果、排出 割当価格は総削減量Q* におけるMSCの値、p*に 落ち着く 13 第13回 終わり 14
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