2006年度「資源と環境」第7回 6月9日 先週のコメント・ペーパーから 日引・有村著『入門 環境経済学』より 第1章「環境問題と市場の失敗」(承前) Ⅴ 市場の失敗をどう解決するか? 第2章「政策手段の選択―環境税か、規制か、 補助金か Ⅰ 環境税の利点と問題点 Ⅱ 規制的手段の利点と問題点 Ⅲ 補助金制度か、環境税か 1 経済的手段:(1)税金による解決 環境税:汚染物質の排出量に応じて課税。 税額=生産量Q*のときの限界外部費用(EA=t *)(図1-7)→市場の供給曲線は t*分だけ上 方にシフトする。課税後の価格はP*、生産量は Q*となる。 消費者余剰は三角形P*EC、税収四角形KAEG、 生産者余剰三角形GEP、そして社会的利益は三 角形FECとなる。 政府は税収を汚染被害者への補償に当てること も可能である。 2 環境税 3 外部性の内部化 環境税は、市場の外にある環境問題を、 価格付け(税を付加する)することで市場 内の意思決定に委ねるための仕組みであ る(外部性の内部化)。 4 経済的手段:(2)補助金による解決 汚染者である生産者に、生産を削減すればその分補助 金を与える。 生産を削減することでその分費用が減少する上に、補助 金ももらえるので、企業側には減産へのインセンティブが 生じる。 市場均衡の生産量Q0から生産量(汚染量)を減らすごと にt*の補助金を与える。生産量はQ*に、このときの価格 はP*。 消費者余剰、生産者余剰、汚染被害、そして社会的利益 は規制的手段のケースと同じ。 規制的手段、経済的手段の問題点:政策担当者は外部 費用を的確に把握可能か? 5 政策手段の選択―環境税か、規 制か、補助金か 規制的手段、環境税、補助金のどの政策 手段を実施したとしても、社会的利益を最 大にできる。 環境税や補助金の長期的に産業構造に 与える影響、「政府の失敗」による規制の 非効率性を考えると補助金や規制的手段 よりも環境税のほうが望ましい政策手段で ある。 6
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