大昔の宇宙のモデルから 相対性理論まで 中根 圭一 2015/10/1 1 はじめに 宇宙の起源、未来、構造を研究する 時代とともに変わってきた、宇宙に関する 我々の理解の移り変わりをとらえる 2015/10/1 2 テーマ 宇宙観とその移り変わり 宇宙はどのように創られたか 最新の宇宙論 2015/10/1 3 大昔、多くの古代文明は観測された天体を 説明するために、宇宙に関する物語を創った。 2015/10/1 4 古代の宇宙観 その中の1つに 紀元前2世紀のプトレマイオス の天動説があり、 1400年にわたって ヨーロッパ社会に支持された。 プトレマイオス(生没年不明) 2015/10/1 5 プトレマイオスの天動説 地球は静止している 物体は支えなければ地球に 落ちてくる 物体が変化したり崩壊したり する不完全な「地界」に対し て、「天界」は完全で永遠・不 変である 3次元の完全な形は球である 2015/10/1 6 天動説から地動説へ 天体観測の技術・精度が増 していくにつれて、 プトレマイオスの天動説で は満足の行く説明ができ なくなってくる。 例)地動説による火星の逆行 2015/10/1 7 コペルニクスの地動説 コペルニクスは、 紀元前3世紀にアリスタルコス によって提案された太陽中心 の宇宙モデルを復活させ、 月や惑星の運動をより単純に 説明した。 コペルニクス(1473-1543) 2015/10/1 8 地動説の裏付け さらにケプラーの法則や、 ガリレオの精密な観測に よって、 地動説が裏付けられた。 コペルニクスの地動説は ケプラー(1571- 1630) ガリレオ(1564-1642) 多くの科学者に受け入れられた。 2015/10/1 9 ニュートンの登場 ニュートンが 万有引力の法則を発見。 「地界」と「天界」を統一した法則。 地動説をゆるぎないものとした。 当時の観測結果から、宇宙は静 的で無限であるとした。 また、時間も空間も淀みなく均一 ニュートン(1642-1727) なものであるとした。 2015/10/1 10 ハッブルの発見 我々から遠くにある銀河ほど、 より速い速度で我々から遠ざ かっていることをハッブルが 発見 (ハッブルの法則) ニュートンの静的な宇宙という 概念は否定 2015/10/1 ハッブル(1889-1953) 11 ハッブルの発見によって、静的な宇宙は 否定され、我々から遠くにある銀河ほど、 より速い速度で我々から遠ざかっている ことがわかった。 すなわち、宇宙は膨張しているということ がわかった。 2015/10/1 12 宇宙膨張の発見について 我々の銀河から遠ざかっている 銀河は赤っぽく見え(赤方偏 移)、近づいている銀河は青っ ぽく見える(青方偏移)。 これは、光のドップラー効果によ るものである(音のドップラー 効果と原理は同じ)。 銀河を観察したところ、赤方偏移 したがって、宇宙は膨張 しているため銀河同士が遠ざ している。 かっていることがわかった。 2015/10/1 13 驚くべき発見 宇宙が膨張しているというこ とは、時間を遡れば大昔 は宇宙の全ての星々は 同じ場所にいた。宇宙は そこから大きな爆発をし て始まったに違いない。 2015/10/1 14 宇宙背景放射 ペンジャスとウィリアムは、あらゆる方向からマイクロ波を絶 え間なく受けていることを発見した。 これは、地球のどこか、あるいは、太陽から受ける電磁波で もない、銀河系外から来たマイクロ波であると突き止めた。 このマイクロ波は2.7K(-270.3℃)の物体から発せられる電 磁波と同じものであった。 つまり、2.7Kという温度が全宇宙に広まっていることになる。 また、このマイクロ波のことを「宇宙背景放射」という。 2015/10/1 15 ビッグバンの裏付け ビッグバンの初期段階は非常に高温 エネルギーの高い(短い波長の)電磁波を放出 巨大な膨張 赤方偏移によって、 エネルギーの低い(長い波長の)電磁波になる に相当 2015/10/1 16 ビッグバンのまとめ①(基本原理) 宇宙の最初はとても小さい また、宇宙の最初はとても高温 宇宙は膨張しているので、ビッグバン以来 その温度は連続的に低下 2015/10/1 17 ビッグバンのまとめ②(宇宙の歴史) 宇宙誕生(今から150億年 前) 特異点(大きさ無限小、密度無限大) 1000分の1秒後 1京(10の12乗)度(K)まで下がる 100分の1秒後 太陽系の千倍以上の大きさに膨張 1000億度(K) 数分後 宇宙全体の水素・ヘリウムの生成 数百万度(K)に下がる 10万年後 物質密度のゆらぎが生じる 100万年後 水素とヘリウムの原子核と電子が結合、原子・分子の生成、 宇宙の晴れ上がり、密度のゆらぎがさまざまなスケールで物 質のばらつきを生じさせる(星もつくられていく) 3000Kに下がる 150億年後(現在) 2.7Kに値するマイクロ波の宇宙背景放射として観測される 2015/10/1 18 宇宙の未来 宇宙の膨張する速度は、銀河同士の重力に影響さ れる。宇宙の平均密度と臨界密度の関係によっ て決められる。 密度 重力 膨張・収縮 未来の宇 宙 平均密度<臨界密度 小さい 加速度的に 膨張 開いた宇宙 平均密度=臨界密度 等しい 一定の速さで 膨張 平坦な宇宙 平均密度>臨界密度 大きい 収縮する 閉じた宇宙 2015/10/1 ビッグクランチ 19 宇宙の平均密度と臨界密度 臨界密度 ハッブル定数から計算可能。しかし、銀河の距離の測 定にかなりの誤差があり、ハッブル定数も誤差ある。 宇宙の平均密度 全宇宙の物質を推定するのは困難。 見ることのできない物質(ダークマター、暗黒物質)の 推定も困難。 臨界密度・宇宙の平均密度ともにわからないので、 宇宙の未来はどうなるかわからない 2015/10/1 20 宇宙を語る上で欠かすことのできないも の。それは、アインシュタインが発表した 相対性理論。 2015/10/1 21 特殊相対性理論と 一般相対性理論の違い 特殊相対性理論は、一般相対性理論の重力 がない場合の理論 特殊相対性理論 + 重力の理論 = 一般相対性理論 2015/10/1 22 特殊相対性理論 ニュートン理論や18・19世紀の宇宙論において 基本となる「絶対時間と絶対空間(誰がどこで何 をしていても、時間の経ち方は変わらないこと)」 の否定 光速度が一定であることを提言 エーテル(光を伝える媒体と考えられていた物 質)の否定 物質とエネルギーが相互作用する (有名なE=mc2という式) 2015/10/1 23 一般相対性理論 特殊相対性理論に重力の場合も考慮した理論 ブラックホールのような不思議な物体が存在する 可能性の示唆 宇宙には開いているか、閉じているか、平坦か の3つの可能性があり、またそのことがそれぞれ の宇宙は異なる未来を持つことを示唆する 等価原理を掲げる 重力によって空間が歪められる。光さえも曲がっ てしまう。 2015/10/1 24 まとめ・感想 ビッグバンがどうして起きてしまうのか、相対 性理論や観測結果は本当に正しいものなので あろうか。 宇宙のことを考えれば考えるほどよくわからな くなってしまう。 しかし、宇宙のことを考えるのは大変楽しい。 2015/10/1 25
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