新学習指導要領の実施にむけて

教育課程研究集会資料
新学習指導要領の手引(社会科)
徳島県立総合教育センター
手引きの構成
Ⅰ 改訂の趣旨
1 改善の基本方針 2 改善の具体的事項
Ⅱ 改訂の要点
1 目標について 2 内容について
Ⅲ 具体的な改善事項
1 目標について 2 内容について
Ⅳ指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画作成上の留意点 2 第2の各学年の内容の
取扱い
Ⅴ 移行期間中の取扱い
Ⅵ Q&A
Ⅱ 改訂の要点
1 目標について
(1) 教科の目標
広い視野に立って,社会に対する関心を高め,
諸資料に基づいて多面的・多角的に考察し,我
が国の国土と歴史に対する理解と愛情を深め,
公民としての基礎的教養を培い,国際社会に生
きる平和で民主的な国家・社会の形成者として
必要な公民的資質の基礎を養う。
現行どおりの趣旨としたが,改正教育基本法第1条の表現
に合わせて,「民主的,平和的」を「平和で民主的な」と語句を
一部を改めた。
Ⅱ 改訂の要点
1 目標について
① 地理的分野の目標
(1)文言付加、(2)趣旨を改訂、(3)(4)従前
の趣旨を継承し,文言も変えていない。
(1) 世界の諸地域に関する地理的認識を養う
ことを明確化した。
(2) 地域的特色や地域の課題をとらえることを
ねらいとした趣旨の文言に改めた。
Ⅱ 改訂の要点
1 目標について
② 歴史的分野の目標
(1)改訂、(2)(3)及び(4)は基本的に従前の趣旨を継承しお
り文言も変えていない。
(1) の 「我が国に歴史の大きな流れと各時代の特色を世界
の歴史を背景に理解させ」を「我が国の歴史の大きな流れを,
世界の歴史を背景に,各時代の特色を踏まえて理解させ」に
改訂した。
③ 公民的分野の目標
(2)文言付加、(1)(3)及び(4)は基本的に従前の趣旨を継承
しおり文言も変えていない。
(2)に「現代社会についての見方や考え方の基礎を養う」と
いう文言を付加した。
Ⅱ 改訂の要点
2 内容について
① 地理的分野
○世界に関する地理的認識の重視
○動態地誌的な学習による国土認識の充実
○地理的技能の育成の一層の重視
○社会参画の視点を取り入れた身近な地域調
査の実践
Ⅱ 改訂の要点
2 内容について
② 歴史的分野
○我が国の歴史の大きな流れの理解の一層の
重視
○歴史について考察する力や説明する力を育成
するために,各時代の特色や時代の転換にか
かわる基本的な内容の定着を図り,課題追究
的な学習を重視
○現代社会についての理解が深まるよう近現代
の学習の重視
○様々な伝統や文化の学習の重視
○我が国の歴史の背景にある世界の歴史の取
扱いの充実
Ⅱ 改訂の要点
2 内容について
③ 公民的分野
○現代社会をとらえるための見方や考え方の基
礎を一層養う学習の重視
○持続可能な社会という視点から環境問題や少
子高齢社会における社会保障と財政の問題な
どについて考えさせ探究させる学習を重視
○習得した概念を活用して諸事象間の関連を説
明せること,自分の考えを論述させたり,議論
などを通してお互いの考えを深めさせることを
重視
○現代社会における文化の意義や影響を理解さ
せるとともに,国際社会に関する学習を重視
Ⅲ 具体的な改善事項
1 目標について
2 各分野の目標
〔地理的分野〕
(1) 日本や世界の地理的事象に対する関心を高め,
広い視野に立って我が国の国土及び世界の諸地
域の地域的特色を考察し理解させ,地理的な見方
や考え方の基礎を培い,我が国の国土及び世界
の諸地域に関する地理的認識を養う。
世界の諸地域に関する地理的認識を養うことを明
確にする趣旨から,それにかかわる文言を新たに付
加した。
Ⅲ 具体的な改善事項
1 目標について
2 各分野の目標
〔地理的分野〕
(2) 日本や世界の地域の諸事象を位置や空間的な広
がりとのかかわりでとらえ,それを地域の規模に応じ
て環境条件や人間の営みなどと関連付けて考察し,
地域的特色や地域の課題をとらえさせる。
今回の改訂で世界と日本の諸地域の地域的特色
を学び,身近な地域の調査の中では地域の課題を
見いだす学習を行うこととしたことを踏まえ,従前の
地域的特色をとらえるための視点や方法を身に付け
させることから,地域的特色や地域の課題をとらえる
ことに主眼を置いた趣旨の文言に改めた。
Ⅲ 具体的な改善事項
2 目標について
2 各分野の目標
〔歴史的分野〕
(1) 歴史的事象に対する関心を高め,我が国の歴史の
大きな流れを,世界の歴史を背景に,各時代の特色
を踏まえて理解させ,それを通して我が国の伝統と文
化の特色を広い視野に立って考えさせるとともに,我
が国の歴史に対する愛情を深め,国民としての自覚
を育てる。
歴史的分野の学習の中心が「我が国の歴史の大きな
流れ」の理解であるという趣旨を一層明確にした。従前,
これと同列の関係で示されていた「各時代の特色」は,
「我が国の歴史の大きな流れ」の理解のために「踏まえ」
る内容として位置付けられた。
Ⅲ 具体的な改善事項
2 目標について
2 各分野の目標
〔公民的分野〕
(2) 民主政治の意義,国民の生活の向上と経済活動と
のかかわり及び現代の社会生活などについて,個人
と社会とのかかわりを中心に理解を深め,現代社会
についての見方や考え方の基礎を養うとともに,社会
の諸問題に着目させ,自ら考えようとする態度を育て
る。
現代の民主政治や国民の生活の向上と経済活動,
社会生活などをより一層理解できるようにすることを
ねらいとして,「現代社会についての見方や考え方の
基礎」を,新たに設けた。
Ⅲ 具体的な改善事項
2 内容について
地理的分野
学習内容の構成については,二つの大項目で再構成
現
行
改 訂
(1) 世界と日本の地域構成
(1) 世界の様々な地域
(2) 地域の規模に応じた調査
(2) 日本の様々な地域
(3) 世界と比べて見た日本
各大項目はそれぞれ,まず地理的認識の座標軸を形成するべ
く世界又は日本の諸地域構成に関する学習を行い,次に世界各
地の生活等の多様性又は日本全体を大観して,その後に世界又
は日本の諸地域の地域的特色を学び,最後に調べ学習を行う構
成になっている。これは,習得-活用-探究の学習過程を基軸に
学習内容や学習活動の質を段階的に深められるようにしたため
である。
Ⅲ 具体的な改善事項
2 内容について
地理的分野
(1) 世界の様々な地域
ア 世界の地域構成
イ 世界各地の人々と生活の環境 【新設※】
世界各地における人々の生活の様子とその変容
について,自然及び社会的条件と関連付けて考察さ
せ,世界の人々の生活や環境の多様性を理解させ
る。
ウ 世界の諸地域 【新設※】
世界の諸地域について,各州に暮らす人々の生
活の様子を的確に把握できる地理的事象を取り上
げ,それを基に主題を設けて,それぞれの州の地域
的特色を理解させる。
エ 世界の様々な地域の調査
Ⅲ 具体的な改善事項
2 内容について
地理的分野
(1)
日本の様々な地域
ア 日本の地域構成
イ 世界と比べてみた日本の地域的特色
ウ 日本の諸地域 【新設※】
日本を幾つかの地域に区分し,それぞれの地域
について,考察の仕方を基にして,地域的特色をと
らえさせる。
エ 身近な地域の調査
Ⅲ 具体的な改善事項
2 内容について
歴史的分野
(1) 歴史のとらえ方 【新設※】
ア 我が国の歴史上の人物や出来事などについて調
べたり考えたりするなどの活動
時代の区分やその移り変わりに気付かせ,歴史
を学ぶ意欲を高めるとともに,年代の表し方や時代
区分についての基本的な内容を理解させる。
イ 身近な地域の歴史を調べる活動
ウ 学習した内容を活用してその時代を大観し表現
する活動
各時代の特色をとらえさせる。
Ⅲ 具体的な改善事項
2 内容について
歴史的分野
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
古代までの日本
中世の日本
近世の日本
近代の日本と世界
現代の日本と世界
•
歴史について考察する力や説明する力の育成を重
視したことから,大項目(3)から(6)にそれぞれ1か
所ずつ,政治面などその時代における変革の特色,
即ちそれ以前の時代からの転換の様子を考える学
習を設定した。
これまで「近現代」として1つだった大項目を「近代」
と「現代」の2つの項目に分けた。
•
Ⅲ 具体的な改善事項
2 内容について
公民的分野
(1) 私たちと現代社会
ア 私たちが生きる現代社会
と文化
イ 国民の生活と政府の役割
(2) 私たちと経済
ア 市場の働きと経済
イ 国民の生活と政府の役割
(3) 私たちと政治
ア 人間の尊重と日本国憲法の基本的原則
イ 民主政治と政治参加
現代社会をとらえるための見方考え方の基礎を一層養う学習と
して「対立と合意,効率と公正など」を理解させる学習を取り入れた。
Ⅲ 具体的な改善事項
2 内容について
公民的分野
(4) 私たちと国際社会の課題
ア 世界平和と人類の福祉の増大
イ よりよい社会を目指して 【新設※】
持続可能な社会を形成するという観点から私たち
がよりよい社会を築いていくために解決すべき課題
を探究させ,自分の考えをまとめさせる。
政治や経済の学習に加え,地理的分野や歴史的
分野の学習などによって習得した知識や概念を基
に,課題を探究する学習として,多面的・多角的に
探究し,私たちの社会が今後も発展していくために
どうすべきか,よりよい社会を形成していくことを主
体的に考える。
Ⅳ 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画作成上の留意点
(2) 各分野の履修については,
① 第1,第2学年を通じて地理的分野と歴史的分
野を並行して学習させること。
②第3学年において歴史的分野及び公民的分野
を学習させること。
③各分野に配当する授業時数は,
地理的分野120単位時間
歴史的分野130単位時間
公民的分野100単位時間
とすること。
(4) 道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの
関連を考慮しながら,社会科の特質に応じて適切
な指導をすること。 【新設※】
Ⅴ 移行期間中の取扱い
(1)
移行期間中の特例及び留意点
全部又は一部について,新中学校学習指導要領による
ことができる。ただし,平成22年度の第1学年並びに平成
23年度の第1学年及び第2学年の社会の指導に当たって
は,現行中学校学習指導要領第2章第2節第3の1(2)の規
定にかかわらず,新中学校学習指導要領第2章第2節第3
の1(2)の規定により,各学年において授業時数を各分野に
適切に配当するものとする。
(2)
現行中学校学習指導要領による場合には,平成23年度
の第1学年の社会の地理的分野の指導に当たっては,現
行中学校学習指導要領第2章第2節第2〔地理的分野〕の
うち,2(1),2(2)ア及びウ並びに2(3)ア(ア)から(ウ)まで及び
(オ) の事項を指導するものとする。
新学習指導要領の手引(社会科)
説明終了