高速フーリエ変換 (fast Fourier transform) 12月8日 第3回目発表 1 今回のテーマ 離散フーリエ変換 (discrete Fourier transform,略してDFT) 逆離散フーリエ変換 (inverse discrete Fourier transform,略して IDFT) フーリエ変換の基本的な考え方とは? “すべての信号は,三角関数(正弦波)の和とし て表現できる ” 2 フーリエ変換と離散フーリエ変換 フーリエ変換と離散フーリエ変換の違いとは? フーリエ変換 非周期信号を扱うために,積分範囲を無限大にする 数学的には連続信号を無限大の範囲で扱うことは可 能.しかし,コンピュータでは不可能 離散フーリエ変換 コンピュータで利用するために離散化されたデジタル 信号を対象にフーリエ変換をする. 3 離散フーリエ変換 DFTの公式は n 1 y k x j W kj (k 0,1, , n 1) () j 0 x k 2k ( n 1) k x W x W x W 0 1 2 n 1 である. ここで, Wは W e 2 i n , i 1 ( ) で定義する. ()で,各x jは一般に複素数である . したがって各y k も複素数である. 4 Wは以下の 2つの条件を満たす. ① Wn 1 (W e n 2 i cos 2 sin 2 1) n 1 ② kj W 0 (k 0,1,, n 1) j 0 n 1 kj k 2k ( n 1) k W 1 W W W j 0 kn k W 1 1 1 k k 0 W 1 W 1 5 整数環Zm上でのDFT DFTはある種の整数値 m( n )を法とする整数環Ζ m 上でも以下のように定義できる.ただし gcd( n, m) 1. W Z mは, gcd( W, m) 1を満たし,かつ条件 (Ⅰ) W 1 (Ⅱ) W n 1 n 1 (Ⅲ) jk W 0 (k 0,1,, n 1) j 0 を満たすとする.演算 はZ mの上で考える. 6 このとき x 0 , , x n 1 Z mである列( x 0 , , x n 1 ) に対するDFTを()と同じ式で定義する. ()は, n 1 kj y x W ( k 0 , 1 , , n 1 ) k j j 0 そうすると y k Z m (k 0,1, , n 1) となる.また n 1 modm Z m , W 1 modm Z m であることに注意する. 7 ( )で定義されるWは1の原始 n乗根であり, 上記の (Ⅰ)~(Ⅲ)を満たすWは 環Z mにおける1の原始 n乗根という. 8 逆離散フーリエ変換 ()式で定義される列( y 0 , y1 ,, y n 1 ) に対する逆変換を 1 n 1 z k y h W kh (k 0,1,, n 1) n h 0 で定義する. ( ) これを逆離散フーリエ変換 (IDFT)という. Z m上の IDFTについても,同様に定義される. 9 標本点 x k (k 0,1,, n 1)を,縦ベクトル x0 x x n 1 で表わす. ベクトルy, zについても同様に定義する. また行列Aを,その(i, j)要素 a ijについて, a ij W ijで定義する. また同様に行列 Bを,その(i, j)要素 b ijについて, 1 ij b ij W で定義する. n 10 つまり a 00 A a 01 W0 0 a 0( n 1) W W0 a ( n 1)( n 1) 0 W W0 W1 W2 W n 1 W0 W2 W4 W 2( n 1) W0 n 1 W W 2( n 1) ( n 1) 2 W W0 W0 W0 0 b 00 b 0( n 1) W W 1 W 2 1 B W0 W 2 W 4 n b 01 b ( n 1)( n 1) 0 ( n 1) 2 ( n 1) W W W すると, (*)式は y Ax, (** *)はz Byと表わされる. W0 ( n 1) W W 2( n 1) ( n 1) 2 W 11 定理 上記の x, y , zについて,x zが成り立つ.すなわち, 1 n 1 x k y h W kh (k 0,1, , n 1) n h 0 と書ける. 証明 y Ax, z By だからz By BAx.よって, B A 1,すなわちBはAの逆行列であることを言えばよい. C BAの(i, j)要素をcijとすると, 1 n 1 ( ji ) k cij W n k 0 が成り立つ. 12 i jのとき W ( ji ) k 1 だから cij 1. i jのとき n 1 n 1 k 0 k 0 lk l k j i l とすると, W W W 0 したがってcij 0 となる. これよりCは単位行列である. よって, BはAの逆行列となり証明終了. 13 まとめ 逆離散フーリエ変換は,その名の通り離散 フーリエ変換の逆変換となっている. 離散フーリエ変換の計算量はO(n2)となる. 以前やったように,高速フーリエ変換を用い ることでO(n logn)時間で計算できる. 14
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