宇宙船・宇宙機のしくみ 半田利弘 理学部物理科学科 レポート返却場所 宇宙船 ▶ 地上から宇宙へ出た後 ▶ 打ち上げロケットとの違い ■ ■ ■ ■ 大気は存在しない 重力にしたがった永久運動=周回軌道 無重力下での力学 各天体が及ぼす重力 f=mg 𝑀𝑚 𝑟2 ではなく、f=G 歴史的な無人宇宙船・人工衛星 スプートニク2号(ソ連) スプートニク1号(ソ連) エクスプローラ1号(米国) おおすみ(日本) 歴史的な有人宇宙船 ジェミニ宇宙船(米国) ボストーク宇宙船(ソ連) マーキュリーカプセル(米国) アポロ宇宙船(米国) アポロ月着陸船(米国) 最近の有人宇宙船 スペースシャトル(米国) ソユーズTMA(ソ連ロシア) 神舟5号帰還」カプセル(中国) 神舟4号(中国) 有人宇宙基地 ミール(ソ連) ISS(米国、ロシア、カナダ、日本、ESA) スカイラブ (米国) 周回軌道 ▶ なぜ、地上に落ちてこない? ▶ 実は、いつも落ちている! 周回軌道 ▶ 速く投げる 周回軌道 ▶ もっと速く投げる 周回軌道 ▶ 地球は丸い! 軌道 どれくらいの速さが必要か? ▶ 円運動の加速度 ■ ■ ■ 速度変化 Dv =v Dq 回転角Dqに要する時間Dt = 加速度 𝑑𝑣 𝑑𝑡 = v Dq ▶ 円運動させる力 ■ ■ 𝑣 𝑟Δ𝜃 = 𝑟Δ𝜃 𝑣 𝑣2 𝑟 v Dq この場合は、重力 f=G 𝑀𝑚 𝑟2 Dq 地球周回軌道 ▶ 運動方程式 ■ ■ G 𝑀𝑚 𝑟2 =m 𝑣2 𝑟 式を解くと、v = 𝐺𝑀 𝑟 :軌道周回速度 G=6.67×10-11 [N kg-2 m2] 地球周回なら M地球=5.97×1024[kg] 地表すれすれなら r地球=6371[km] ■ 代入すると v = 7.9 km s-1 :第1宇宙速度 打ち上げ基地の立地 ▶ 地球の自転速度 ■ ■ 赤道上では 0.4646 km s-1 北極、南極では0 km s-1 ▶ 打ち上げる前から地球の自転速度はある! ■ 赤道に近いほど有利 自国内でできるだけ赤道に近い地 ■ 自転方向=東向きに打ち上げる方が有利 東側が無人の地、東側が海 世界の主な衛星打ち上げ基地 バイコヌール 酒泉 ケープカナベラル 内之浦 西昌 種子島 サティシュダワン 文昌 スペースポートアメリカ ギアナ アルカンタラ ウーメラ 地球から離れると… ▶ v= 𝐺𝑀 𝑟 :軌道周回速度 ■ 軌道半径r が大きいほど、 vは小さい ■ 地上400kmだと、7.7km/s 1.6時間で一周 ■ 地上36000kmだと、3km/s 24時間で一周 ■ 国際宇宙ステーション 対地静止軌道 気象衛星ひまわり 地球から38万kmだと、1km/s 27日で一周 月 惑星軌道=太陽周回軌道 ▶ v= ■ ■ ■ 𝐺𝑀 𝑟 :軌道周回速度 G=6.67×10-11 [N kg-2 m2] 太陽周回なら M太陽=2×1030[kg] 地球軌道なら r地球軌道=1.5×108[km] ▶ この場合 ■ v = 29.8 km s-1 周回軌道の形 ▶ ケプラーの第1法則 ■ 重力源の中心を含む平面上 円、楕円、放物線、双曲線 重力源の中心が焦点 ■ 離心率と軸比 ■ ■ (a+ae)+(a-ae)=2 𝑏 解くと、 𝑎 = 1−e2 (ae)2 +b2 軌道上の運動 ▶ ケプラーの第2法則 ■ 重力源の中心に近いほど高速 軌道6要素 ▶ 人工衛星:軌道と運動は6個の数値で記述可 有用な人工衛星軌道 ▶ 対地静止軌道 ■ ■ 赤道上空 地球自転と周期して公転 地上から常に同じ方向に見える 軌道上から常に同じ地球表面が見える ■ 主な用途 気象衛星、通信衛星、放送衛星 インテルサット603(米国) ゆり3b(日本) ひまわり(日本) 有用な人工衛星軌道 ▶ 極軌道 ■ ■ 南北極上空を通過 i=90° 地球の自転により満遍なく各地上空を通過 ▶ 太陽同期軌道 ■ ■ ■ ほぼ極軌道 i≅97° 地球が球形でないために軌道面が回転する 公転軌道面が1年で1周する ランドサット6(米国) 資源探査衛星、ほか 有用な人工衛星軌道 ▶ 同期軌道 ■ 対地公転周期が24時間 ▶ 回帰衛星 ■ ■ 対地公転周期が1/n日(整数分の1日) 同一日に同一地点上空を通る 例:近地点600km、遠地点40000km、公転周期12時間 ▶ 準回帰衛星 ■ 数日後に同一地点上空を通る 例:近地点680km、遠地点700km、公転周期98.5分 1日地球を15周し、16日後に同一地点上空を通る 軌道エレベーター ▶ 静止軌道までのエレベーター ■ 対地静止軌道と地表とをつなぐ ■ 高さ36000km以上の塔! 東京スカイツリーの5.7万倍以上! 宇宙エレベーター協会HPより エレベーターというより… ▶ 宇宙行きの列車 ■ ■ ■ 静止衛星軌道は地上36000km 時速300kmでも、120時間=5日かかる 車内で“生活” 食堂車、寝台車 サロンカー、シャワー ■ 次は宇宙ステーション! ちなみに… 鹿児島中央―東京 最短 6時間25分! ランデブーとドッキング ▶ 軌道を巡る2つの宇宙船の相互運動 ■ ■ 軌道上で加速するとどうなるか? v= 𝐺𝑀 𝑟 :軌道周回速度(既出) 2𝜋𝑟 T= 𝑣 =2p 𝑟3 𝐺𝑀 :公転周期 軌道半径が増すと公転周期が長くなる! ■ 周回軌道上では加速すると遅くなる! 加速軌道半径が大公転周期が長遅れる 2つの宇宙船のドッキング用制御は地上とは全然違う 惑星間の飛行 ▶ ホーマン軌道 ■ ■ 2つの円軌道に接する楕円軌道 最小エネルギー遷移軌道 静止遷移軌道 惑星間飛行軌道 地球から無限に離れる ▶ エネルギー保存則 ■ ■ 1 𝑀𝑚 2 mv -G 2 𝑟 =0 式を解くと、v = 2𝐺𝑀 𝑟 :脱出速度 G=6.67×10-11 [N kg-2 m2] 地表からだと M地球=5.97×1024[kg]、r地球=6371[km] ■ 代入すると v = 11.2 km s-1 :第2宇宙速度 無重力下でのロケット:復習 ▶ ロケットの基礎方程式運動量保存則 ■ ガスの噴射速度はu mv dt後 (-dm)(v-u) (m+dm)(v+dv) 運動量保存則 -dm(v-u)+(m-dm)(v+dv)=mv 到達速度、比推力と推力:復習 ▶ v=u ln ■ :ツィオルコフスキーの公式 よいエンジンや燃料=uが大きなエンジンや燃料 ▶ f= ■ 𝑚 𝑚0 𝑑𝑚 𝑑𝑡 u:ロケットの推力 大推力=噴出ガスを大量に作る×uが大きい 化学燃料以外のロケット ▶ 軌道上ならば推力は重要ではない ■ ■ じっくり時間をかけて加速すれば良い 比推力が大きい方が大事 ▶ 比推力が大きなロケット ■ 電気推進ロケット イオンロケット、DCアークロケット、MPDロケット ■ ■ 熱核ロケット 光子ロケット ▶ 推進剤を用いないロケット ■ 光帆船 イオンロケット ▶ 電圧でイオンを加速する 噴射速度uが大きくできる 比推力が大きい ■ 𝑑𝑚 ■ は小さい 𝑑𝑡 𝑑𝑚 推力f =u は小さい 𝑑𝑡 JAXA 直流アークロケット ▶ アーク放電による電気抵抗の発熱で加熱 ■ W=i2R : ジュール熱 東北大学工学部 安久津誠 電磁流体プラズマ(MPD)ロケット ▶ ローレンツ力で電離ガスを加速(同軸型) 陰極電流で生じる磁場 ■ 電離ガス中の軸に垂直な放射状電流 ローレンツ力によるガス流 ■ ISASニュース No.190 熱核ロケット ▶ 原子炉の発熱で推進剤を加熱 ■ 熱運動による圧力で噴射 光子ロケット ▶ 推進剤に光を使う ■ ■ 噴出速度が究極に速い u=c (真空中の光速) 光子1個の運動量 ℎ𝜈 p= 𝑐 、エネルギー E=hn ▶ 基礎方程式に相対論的な考慮が必要 ■ 運動量保存則、エネルギー保存則 光帆船(ライトセイル、ソーラーセイル) ▶ 光の輻射圧を推力に=“推進剤”は外部から ■ 太陽光に吹かれる凧 IKAROS(日本) 最後に…:授業全体のまとめ ■ ■ 種々の乗り物が動く基礎には物理がある いろいろな知識には関連がある その裏に物理学物理学は役に立つ ■ 物理学で大雑把なことなら何でも分かる 物理学だけでは完全には予測できないこともある 経験的に知られている法則(経験則)で補う ■ 話に聞いたことの要点を捉えてまとめる レポート課題の最終目標、授業ノートも同じ 何が大事な点なのかを把握する力 理解した内容を的確に表現する文章力 たくさん書くことで要点をまとめる能力を身につける
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