日本行動計量学会 第38回大会 2010/09/23 学力テストから 能力記述表を作成する方法 松 宮 功 京都府総合教育センター 荘島宏二郎 大学入試センター 能力記述表 学力進度表 学力記述表 Can-do table Can-do chart ・・・ テスト結果に応じて, 学力の達成状況を言葉で表現したい。 その方法は? 2 なぜ,表を作成したいのか。 74点 66点 78点 「平均点より上」 「1点足りない」 ・・・ 観点別 評価 ABC 評定 54321 3 学力プロフィールを記述する 項目内容 学力テスト テスト得点,段階評価 データ IRP他指標 段階評価 能力記述表 ニューラル テスト理論 何ができ,何ができないのかを言葉で表現 NTT 4 作成の手順 (2)項目を分類 (4)能力記述文 5 項目23 項目12項目8項目2 項目19 ・・・することができる 4 項目4 項目22 項目15 項目28 項目1 項目16 項目27 ・・・することができる (1)学力 3 項目20 項目11 項目5 項目24 項目14 項目7 ・・・することができる 2 項目18 項目10 項目25 項目13 項目6 ・・・することができる 1 項目17 項目3 項目26 項目9 項目21 ・・・することができる ニューラルテスト理論 NTT (3)項目内容/出題趣旨 項目1項目2 ・・・ 項目10 項目11 項目12 ・・・ ・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 ニューラルテスト理論(Shojima,2007) 1. 順序尺度上で段階評価するテスト標準化理論 2. 潜在ランク理論(LRT) 3. モデルを推定するメカニズム 自己組織化マップ(SOM) 生成ポトグラフィックマッピング(GTM) 4. 出力 項目参照プロファイル(IRP), テスト参照プロファイル(TRP), ランク・メンバーシップ・プロファイル(RMP) 潜在ランク分布(RMD) 潜在ランク分布(LRD), 観測率プロファイル(WORP),他 5. ソフト Exametrika(荘島),neutet(橋本),EasyNTT(熊谷) 6 ニューラルテスト理論(Shojima,2007) 確率 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 問13 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 1 2 3 4 5 潜在ランク 1 2 3 4 5 問14 潜在ランク 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 確率 確率 確率 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 確率 ランク メンバーシップ プロファイル (RMP) 1 2 3 4 5 問11 潜在ランク 確率 項目参照 プロファイル (IRP) 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 2 生徒A R1 R2 R3 R4 R5 生徒N R1 R2 R3 R4 R5 生徒P R1 R2 R3 R4 R5 1. 順序尺度上で段階評価 → 分類(ABC,5・4・3・2・1) 2. 潜在ランク理論 → 達成レベル,学力ステージ 7 対象とした学力テスト ・名称 ・対象 ・教科 ・時期 ・範囲 ・項目 京都府中学校学力診断テスト 京都府(京都市除く)内の中学校2年生(悉皆) 国語,数学,英語 2009年10月下旬(府内一斉実施) ~2年1学期 25 (4点×25項目=100点) 8 テスト結果の概要 700 600 人 数 500 400 300 200 100 0 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 正答数 基本統計量 9464 参加者 25 項目数 0 最低値 25 最高値 16 中央値 15.837 平均値 34.412 分散 5.866 標準偏差 0.880 α係数 9 Item_領域 Rank 1 Rank 2 Rank 3 Rank 4 Rank 5 弧の長さを求める 23_図形 0.35 0.40 0.47 0.57 0.66 円柱と円錐の体積の関係 21_図形 0.13 0.17 0.30 0.50 0.68 A 反比例関係から表の値を求める 12_数量関係 0.17 0.22 0.35 0.55 0.72 変数や変域の意味理解 16_数量関係 0.23 0.26 0.37 0.57 0.74 式の値を求める 09_数と式 0.36 0.46 0.57 0.66 0.75 分数の二元一次式の加減 05_数と式 0.30 0.38 0.50 0.64 0.76 正負の数の四則計算 03_数と式 0.44 0.51 0.61 0.71 0.78 文字を用いて関係を式に表す 10_数と式 0.25 0.35 0.54 0.74 0.87 扇形の面積を求める 17_図形 0.22 0.31 0.50 0.73 0.87 B+ 円柱の体積 19_図形 0.21 0.32 0.52 0.75 0.88 反比例を式に表す 13_数量関係 0.29 0.40 0.59 0.78 0.90 比例定数の対応を言葉で表現 25_数量関係 0.21 0.38 0.60 0.78 0.88 具体的事象が描く図形を見出す 22_図形 0.38 0.49 0.65 0.80 0.88 事象から比例関係を見出す 24_数量関係 0.26 0.42 0.62 0.79 0.88 直線や平面の位置関係 20_図形 0.48 0.59 0.71 0.81 0.87 等式を目的に応じて変形する 11_数と式 0.35 0.51 0.69 0.82 0.88 B 方程式を解く際の等式の性質 08_数と式 0.40 0.55 0.72 0.85 0.91 事象から比例関係を見出す 15_数量関係 0.47 0.62 0.80 0.91 0.96 簡単な二元一次方程式を解く 07_数と式 0.54 0.68 0.81 0.89 0.93 平面図形の運動による空間図形 18_図形 0.52 0.68 0.84 0.93 0.97 C+ 正負の数の四則計算 02_数と式 0.57 0.69 0.82 0.90 0.95 簡単な一次方程式を解く 06_数と式 0.58 0.75 0.88 0.93 0.96 正負の数の簡単な計算 01_数と式 0.64 0.77 0.88 0.93 0.96 04_数と式 0.64 0.80 0.92 0.96 0.98 C 簡単な一次式の加減 10 比例のグラフを式に表す 14_数量関係 0.68 0.81 0.91 0.95 0.97 IRP 平成21年度京都府学力診断テスト 数学 能力記述表(Can-do table) ランク 数と式 数量関係 図形 A 84~ OK 分数を含む文字式の計算 ができる。 変域の意味を理解し ている。 図形の一部又は全体の長 さ・面積・体積を求めたり,比 較したりすることができる。 B+ 68~84 概ね OK 基本的な計算力を有する。 ・関係を文字式で表現 ・式の値を求める ・方程式を解く B 52~72 等式の性質を理解し,等 式を変形したり,基本的な 方程式を解いたりできる。 事象の正比例・反比 例をグラフや式で表 すことができる。 直線や平面の位置関係を区 別することができる。 簡単な方程式を解ける。 正負の数,文字式の簡単 な四則計算ができる。 文章表現された事象 から比例関係を見出 すことができる。 平面図形の直線移動によっ てできる立体の名称を指摘 できる。 正負の数,文字式の簡単 な加減算ができる。 比例のグラフから,式 に表すことができる。 ― 少し練習が必要 C+ 36~64 まだ練習が必要 C ~48 もっと練習が必要 ― 様々な平面図形の面積や空 間図形の面積を求めること ができる。 11 対応 (正答数×ランク) 正答数 25 24 23 22 21 20 19 18 17 16 15 14 13 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 計 R1 R2 1 26 177 386 416 368 248 116 17 1 5 28 113 213 309 294 236 220 115 71 20 5 25 1,655 1,755 R3 18 133 353 518 482 299 97 6 1,906 R4 10 266 546 519 372 130 22 1 1,866 R5 346 516 550 524 321 25 2,282 計 累計 346 346 516 862 550 1,412 534 1,946 587 2,533 571 3,104 537 3,641 505 4,146 483 4,629 541 5,170 509 5,679 476 6,155 484 6,639 427 7,066 396 7,462 361 7,823 329 8,152 326 8,478 294 8,772 236 9,008 220 9,228 115 9,343 71 9,414 20 9,434 5 9,439 25 9,464 12 9,464 現場での利用 ●「Can-do 表」配布の目的 (教員用資料) 生徒が,自身の学力について考え,把握する機会を提供する。 テスト得点から,「自分は何ができるのか」を考えるための表です。 (1) 得点に応じて,5つの達成段階を示しています。 (2) B なら,その段階と同レベルの問題を,「80%以上正答できる」と言えます。 ~生徒配布のCan-do表より~ 達成学力記述 段 階 ・ 得 点 帯 項目例 ・・・・・できる。 No.9,17,・・ ・・・・・できる。 No.8,15,・・ ・・・・・できる。 No.5,14,・・ ・・・・・できる。 No.6,13,・・ ・・・・・できる。 No.2,12,・・ 13 まとめ 順 方法3段階 1 データの分析 2 ランク別の項目分類 3 能力記述表の作成 内容 ニューラルテスト理論,Exametrika4.0 項目参照プロファイル(IRP),他 ランク別項目群,項目別出題内容・趣旨 (1)「能力記述表」の作成・・・短時間,簡単 (2)一人一人の学力診断・・・広範囲,豊富 ・生徒Aの所属ランク以外の,ランク所属確率が得られる。 ・生徒Aの学力達成度が,文章で表現される。 おわり 15
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