卒業研究 ミイラについて ━その信仰と思想━ 赤崎有香 目次 はじめに 第一章 世界のミイラ 第二章 日本のミイラ 第三章 世界と日本のミイラの比較 おわりに はじめに 世界中には、様々なミイラがある。 日本にも即身仏、入定ミイラと呼ばれるものがあ る。 ミイラによって、当時の生活や文化、さらには流 行病、その時代の国や地域の思想を知ることが できる。 第一章 世界のミイラ ミイラには、人工的に意図して作ったミイラと、自 然条件の偶然によって作られた自然ミイラがある。 エジプトではミイラを作るときに、木から採れる香 油「ミイラ」をたくさん使ったので、これが「ミイラ」 という名の起こりと言われている。また、ペルシア 語では「ムミアイ」といい、英語の「マミー」や中国 語の「木乃伊(ム・ナイ・イ)」も同じ語源と思われ ている。 代表的なミイラ 古代エジプト─魂の不滅を信じて、再生するため の器として肉体をミイラにした。 インカ帝国─人間の死後は復活が信じられてい た。肉体を残して、昇天した魂が再び地上に降り てくる日を待っていた。 第二章 日本のミイラ 入定ミイラ、即身仏とよばれている。 入定とは、僧や行者が断食の修行ののちに魂が 永久に生き続ける状態に入ることを言う。 日本で最初の入定者は、853年高野山の奥の 院で入定した空海(弘法大師)とされている。 空海の入定説が脚色され、最後には土中入定と も結びついてしまった。 進んでわが身を荒行の中に投じた後生きながら木棺の 中に入り、土の中の石室におろしてもらい、息つき竹を地 上に出して土をかけて埋められる。この中で鉦をたたき、 読経をしながら死んでいった。そして三年三ヵ月後に掘り だされてミイラとなり、衣を着せられ厨子に安置され、即 身仏として祀られるのである。 即身仏が生まれた理由として一つ言えることは、いずれ も社会不安が背景にある。 第三章 世界と日本のミイラの比較 日本は死後、復活するという古代エジプトやイン カ帝国の死生観とは違う。 その土地によって死者に対する考え方の違いと いうものがわかるが、それらはいずれも日本のよ うに、ミイラを信仰の対象として作ってはいない。 結果として世界のミイラとは比較できない。 おわりに ミイラに対する思想はそれぞれ特徴を持っている。 理由は様々であるが、信仰上に生まれたものが 多い。 まだ、ミイラは多くの謎に包まれている。これから、 その謎を一つ一つ解き明かせるよう調べていき たい。 参考文献 渡辺照宏 1959 『死後の世界』 岩波新書 日本ミイラ研究グループ編 1969 『日本ミイ ラの研究』 平凡社 内藤正敏 1999 『日本のミイラ信仰』 法藏 館 土方正志 1996 『日本のミイラ仏をたずね て』 晶文社 深作光貞 1977 『ミイラ文化誌』 朝日新聞 社 「日本ミイラ」 (http://www.fukimbara.com/jmb/jmb_f.html)
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