海外の火山ハザードマップの内容と表現方法に 関する

総合科学専攻
小山研究室 3年
髙木 さやか
研究目的
日本における火山ハザードマップはどれも類似
したスタイルや表現で作成されているが、それら
の内容や表現方法が本当に住民の防災に直結する
かの検証はほとんどなされていない。
本研究は、世界の火山ハザードマップに目を転じ
て、ネット上に公開されたものをできる限り多く
調査し、その内容・表現方法・検証研究などの実
態を正しく把握するとともに、日本との比較に
よって、現行の日本の火山ハザードマップがもつ
問題点を明らかにすることを目的とする。
研究方法
 インターネットを利用して、公開されてい
る世界のハザードマップを検索し、できる
限り多くのマップを入手する。
 地区・種類・内容・表現方法・検証研究な
どの項目を設定し、それぞれのハザード
マップについて詳しく分析する。
 分析した内容を基にデータベースを作成す
る。
 日本との比較によって、現行の日本と海外
のハザードマップの持つ特徴・問題点を明
火山ハザードマップとは
 火山ハザードマップとは、将来起こりうる
火山災害の規模・様相や影響範囲・対策な
どをあらかじめ予測・図示した資料である
。
 火山災害の対策までも含めた総合防災マッ
プとしての役割を果たす。
 いずれ発生する噴火を事前に仮想的
に「体験」し、その体験にもとづいた
対策に取り組むことができる。
富士市富士山火山防災マップ
(火山ハザードマップデータベースより)
日本の火山ハザードマップの例
気象庁が発表する
火山情報の種類
表面
富士山が噴火した場合に、
溶岩流、噴石、火砕流など
の影響が及ぶと考えられる
範囲を重ねて描いた地図
噴火時の現象
避難の仕方
富士山の概要
裏面
火山ハザードマップの役割
(小山 2004)
1
• 噴火の際の生命・財産の保全
2
• 長期的な土地利用計画への活用
3
• 郷土の自然教育・防災教育への活用
4
• 観光や地域貢献のための基礎データ提供
日本のデータベース
防災科学技術研究所
火山ハザードマップ
データベースより
データベース一覧
198種のハザードマッ
プが各地方の火山ごとに
収録されており、閲覧で
きる。
先行研究について
火山爆発に迫る/諸外国の火山ハザードマップと
火山防災体制( 中村 2009)
 欧米の研究機関で作成されたものは、日本の
住民向け広報マップとは異なり、日本の学術
マップのようなものである。
 米国では、USGS(米国地質研究所)によっ
てマップが整備・作成されている。
先行研究について
 行政や住民が活用するころを想定して作成さ
れたマップとして、ラバウル火山(パプアニ
ューギニア)、ルアペフ火山(ニュージーラ
ンド)のマップがある。
 ラバウル火山のマップは1994年の噴火で
、住民避難の際に有効活用された事例である
。
 1995年のスフリエールヒルズ火山噴火で
は、リアルタイムハザードマップなどの先進
的な噴火予知システムがUSGSによって構築
海外の火山ハザードマップ
161,
000件
 世界の火山ハザードマップのデータベース
ヒット
は現在のところ存在しない。
 『volcano hazard map』をgoogleで画像
検索した結果
海外の火山ハザードマップの例
①
Mt. Rainier(マウント・レーニア)はア
メリカ合衆国ワシントン州の南部に位
置し、海抜4,392m、米国本土(アラ
スカ、ハワイを除く)48州中最大の山
頂氷河系を形成する。
ワシントン州の象徴的な山である。
・ラハールが再発する間隔が100年以下
・ラハールが再発する間隔が100~500年
・ラハールが再発する間隔が500~1000年
・溶岩流と火砕流の影響を最も受けやすい
・ラハールの堆積物
http://www.mapwatch.com/galle
ry/volcanic-hazard-map.shtml
海外の火山ハザードマップの例
②
テネリフェ島
大西洋にあるスペイン
領カナリア諸島の最大
の島
1.北西平断層。過去2000年で
最も活発な部分。
2.北西平断層の側面。溶岩流がな
だれこみ、しばしば沿岸まで到達す
る。
3.テイデ火山の周辺にあるドーム。
爆発が長らく続いている。
4.テイデ火山の北側面。ドームか
ら薄い溶岩流が到達する。
5.テイデ成層火山。薄い溶岩流。
6.ラス・カニャダス火山の東部。
過去6000年不活発。
7.ラス・カニャダス火山の西部。
テイデ火山から溶岩流が到達する。
8.北東平断層
9.盆地
10.末端の3000年以上不活発
な部分
11.ラス・カニャザス火山の側面
今後の予定
 インターネットを利用して、海外のハザード
マップを入手する。
 分析する項目の詳細を検討し、設定する。
 ハザードマップの内容を読解して、項目ごと
に分析する。
 分析結果をまとめてデータベースを作成する
。