情報コミュニケーション学入門D 性の身体コミュニケーションの現在 2008年11月18日(火)3限 和泉211 平山満紀 簡単な自己紹介 • 平山満紀(ひらやままき) • 情コミ&文兼任講師 「身体コミュニケーション」 • 江戸川大学社会学部人間心理学科身体論コー ス 専任教員 • 専門:社会学、身体論 • テーマ:コンピュータ時代の身体と身体文化 • 個人サイト 「平山身体文化研究室」 http://www.hirayama-body.com/ • 大学生の広い意味での性教育の重要性 性を原理的に考えると • 種の保存 単性生殖/有性生殖 • 有性生殖とは、異なる個体の生殖細胞を完 全に合一させることで、新たな生命を生み出 すこと。個体の死もここに始まる。個体は異質 性に対し最も深く自らを開く。 • 有性生殖をする個体同士、また生殖細胞同 士は強く求め合う。 • 水生動物の性行動は産卵。陸生動物の性行 動はセックス。セックスは海を作り出す行為。 恋愛と性 • 恋愛と性 発生はまったく違う。 • 両者が一致する幸せな体験もあるが、別の原理に従っ ている。 • 「恋愛、結婚、性」の三位一体(恋愛した人とのみセック スし、結婚するべきという規範)、近代的ロマンティックラ ブ、近代家族の規範は、西洋19世紀に確立。 日本でも明治以降教育され、1960年代大衆化。 • 日本では1980年代頃より、互いの結びつき弱化。しか し現在も、ロマンティックラブ、近代家族規範の強い人 たちも。 • 川村邦光『性家族の誕生』ちくま学芸文庫2004年 性の身体コミュニケーション • 最も親密 NHK調査「愛情表現」全年代で1位 • 相手を感じあい、相手が気持ちがよくなるように与 え合う。勘の世界。即興のコラボ演奏のような。身体 の遊び。 • 自分の限界を超えることも多い。 • 限界を超えたときに快感が大きい。 オーガズム エクスタシー ・万病を癒し、すべての憂いを払うといわれてきた。 • しかし、氣の通い合いのない形だけの行為や、強制 や侵入のある暴力的コミュニケーションもある。 日本の伝統的な性の民俗 • 「恋愛、結婚、性」の三位一体とは遠い。 • 性教育 13~15歳 第二次性徴と共にセックスの 実地教育 「ふんどし祝」「お歯黒祝」 信頼できる 大人が初交、懇切丁寧に手ほどき。 • 子どもも性から遠ざけられず、子どもの性体験も。 • 夜這い (娘、女中、後家、かか、・・・)誰が誰に 通ってよいかのローカルルールに従って。 • 祭り 厄落とし 御詠歌講 出稼ぎなど多くの行事 はセックスの機会 • 性は聖(⇔西洋 性は汚らわしい。生殖のための 必要悪) • 性にあるアジワイ 技能+人格的熟成 単に好 色、上手というのをこえた、男として女としてのア ジを育てた。 • 村や町の共同体の絆が強かった。性的な誘いは 日常茶飯で巧み。 • 避妊しない。できた子は誰かが引き取る。 • 父も、自分と似ていない子を育てて平気。 • 色道も高度に発達。浮世絵春画、艶句、民謡・・・ など発達。 門口で医者と親子と待っている • 明治以降 夜這いの取締まり。純潔教育。婚外 セックスの罪悪視へ。色道、性文化衰退。 赤松啓介『夜這いの民俗学・夜這いの性愛論』ち くま学芸文庫 1994年→2004年 参考データ • セックスの体験率 1999NHK調査(無作為抽 出 全国調査) 男16~19歳36% 20代79% 30代97% 女16~19歳36% 20代87% 30代96% 『日本人の性行動・性意識』NHK出版 2002年 • 男子大学生セックス体験率の変化 1947年15.6%⇒1964年21.4%⇒1974年 23%⇒1981年33%⇒1999年63% 渋谷知美『日本の童貞』文春新書 2003年 現代日本人の性意識、性行動 ・90年代以降、性行動は全体としては鈍っている(コンドー ム売り上げ減など) • 「セックスレス」問題化。 • 「妻だけED」問題化。 (但し問題化≠問題状況増えた) • ここ数十年でみると初体験年齢低下。 • しかし、若者世代の性への関心全体として低下。 • 若者世代 性意識、性行動で二極分化。 • 情報化→性情報の氾濫 生身の相手なしの性欲解消。 • アキバ系?生身の女性でなくゲームやアニメのキャラク ターに恋愛と性の相手を見出す人たちも。 渡部伸『中年童貞』扶桑社新書 2007年 玄田有史・斎藤珠里『仕事とセックスのあいだ』朝日新書 2 006年 若い世代 身体や感覚の変化も • 成人年齢でも幼児体型の人増加。腰が未発達で 性行動困難。(アキバ系の身体 腰椎3番が中に はいる、脊椎のS字湾曲が未形成。) • 不潔恐怖、潔癖症も。 • 女性の性感鈍化?セックス下手になった? 「モア・リポート」 『MORE 2007年5月号』 • オーガズムを得たことがある 1980年54。0%→2007年39.6% • オーガズムを得たことがない 1980年5.0%→2007年35.8% 激増 『モア・リポートの20年』集英社新書 • 腰椎1 性的なことを考える機能 腰椎2 性的な行動を考える機能 腰椎3 性的な行動の機能 腰椎4 生殖器を働かせる機能 腰椎5 快感を得る機能 子どもの脊椎(参考) • 国際比較にみる日本人の性 • DUREX社 世界41カ国調査(2005年) http://www.durex.com/jp/ • 年間セックス回数 1位ギリシャ(138回)、2位クロアチア(134回) 3位セルビアモンテネグロ(128回)・・・39位インド (75回)、40位シンガポール(73回)、41位日本 (45回) ・性意識「自分の性生活は幸せだ」1位ベルギー(5 7%)、・・・40位日本(24%)、41位中国(22%) 国際的に見ると稀なほど回数少なく、幸福感乏しい 幸せな性のための 実践的な結論としては • セックスレスの多い、幸福感の乏しい、上の年代 の性意識の影響から脱する。 • 近代化以前の日本の性の文化から多くを学ぶ。 性生活の幸福感の高い外国から学ぶ。 • 情報の洪水から身を守る。腰の発達は20代なら 間に合います。 • 身体コミュニケーションの機会を増やす。 • 男女とも性的アプローチをすることを恐れない。 • 感染症を防ぐためコンドームは初めからつける! • 性は存在の原点。生涯追究しつづけてください。 そのほか参考文献 • 蛭川立『性・死・快楽の起源』福村出版1999 • 池田弥三郎『性の民俗誌』講談社学術文庫 1958、74年→2003年 • 白倉敬彦『春画で読む江戸の性愛』洋泉社2 005年 • 加藤秀一『<恋愛結婚>は何をもたらした か』ちくま新書 2004年 レスポンス課題 ●歴史的変遷、国際比較をふまえたうえで、現 代日本の性の状況についてまとめてください。 ●今日のお話について、自由に意見、感想、疑 問など書いてください。 • 以上の両方の課題に答えて下さい。 • 今日のスライドは個人サイト「平山身体文化 研究室」で見られます。みなさんの意見や疑 問なども、ここで一部ご紹介します(匿名です。 安心してください。)
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