ファンのためのプロ野球の マーケティング 東洋大学経営学部マーケティング学科 塚田ゼミナール 2年 住吉宏貴 岡村悠史 2015/9/30 1 目次 はじめに 第1章 球界再編問題 第2章 プロ野球交流戦 第3章 観客のためのマーケティングの必要性 2015/9/30 2 はじめに 日本プロ野球は年々観客動員数が減少している。人気選手のメ ジャーリーグへの移籍によってスター選手が少ない迫力の欠け た現状であることや、インパクトの強い選手が少なくなってきたこ とが、今の人気が落ちてきた要因である。また、2004年に球団 合併問題や、球団オーナーによる金銭授与が発覚するなど、プ ロ野球の‘汚れた内部’が表沙汰となり既存のプロ野球ファンの テレビ観戦ばなれという事態をひきおこしてしまった。 これからのプロ野球の改革が議論されるなかで、交流戦や、新 規参入球団を加入した今年度のプロ野球界だが、観戦者が満 足できる試合はどのようにしたらできるのか。プロである以上、 ファンが求める野球は何なのか。まず、今までの体質と、今年か らの変更点をまとめ、両者を比較した上で、これからのあり方に ついて「ファンを中心に考える」という方向について考えていきた いと思う。 2015/9/30 3 第1章 球界再編問題 2015/9/30 4 1-1 球界再編問題 2004年 プロ野球のマネジメントの欠如が露呈 不誠実な経営 スポーツ軽視 裁判官も経営者側の不誠実な対応を言及 スポーツ産業を本当に理解しているのか!? 2015/9/30 5 しかし、 この問題は昨日、今日の問題ではない!! したがって、真の問題とは 「分かっていたのに何故改革ができなかったのか?」 という点である!! また、日本の大企業の経営やマーケティングにも 生じている組織の問題が、プロ野球のスター選手を 通してとてもわかりやすく表に出されたということだ と思われる。 2015/9/30 6 プロ野球とは 企業(親会社)が子会社であるプロ野球団を 経営する形態をとっており、いわば企業(親会 社)の所有物 形式的には独立採算性だが、経常収支の赤 字は親会社が補填するという図式の中で成 立。 2015/9/30 7 球団の収支 収入 「ホームゲームの入場料」 「テレビの放映権料」 「広告、グッズ販売に伴うロイヤルティ収入 支出 「球団スタッフの人件費」 「球場、施設使用料」 「試合運営料、二軍維持費、補強費等 」 2015/9/30 8 放映権料 テレビ放映権料は一律ではない 全国放送の巨人戦が高収入。 巨人戦(全国放送) 1億2000~3000万円 その他(ローカル放送)1000万円 2015/9/30 9 1リーグ制の弊害 興行収入の意味からも、慢性的な赤字に苦しむパ リーグ。 巨人戦カードを組みたいパリーグ 巨人戦減少を懸念するセリーグ リーグ制を容認せざるを得ないほど、巨人の1極支 配は強固なものに!! ところが、巨人戦人気が近年陰りが見え始める 94年 23.1% 04年 12.2% 番組編成や放映権料の見直しが急務に! 2015/9/30 10 1リーグ制になるとジャイアンツ戦が減り、放 映権料が大きく減少する 1リーグ、2リーグ制どちらであっても、現在の ファン不在の再編劇では、プロ野球自体が ファンから見放される。当然テレビ視聴率も下 がり、ジャイアンツ戦であっても1試合1億円 の放映料金を維持することは難しいだろう。 2015/9/30 11 その他の問題 プロ野球に限らず、野球というスポーツは一種独特 な体質を有していると思われるところがある。 時代の流れにそぐわないと思われる事項は枚挙に いとまがない。 プロとアマの試合の禁止 親子であってもプロがアマチュア選手を指導するこ との禁止 甲子園野球での女性マネージャーのベンチ入りの 問題(数年前に解禁) 高野連ハッスルポーズ(小川直也、清原)の禁止 他 2015/9/30 12 1-2 球団初のストライキ行使 2004年(9月17、18日) ストライキ決行 事の発端 球界再編問題 新規参入問題 2015/9/30 13 プロ野球再編問題 経営者側と選手側の意見の対立が原因といえるが、 その背景に存在するさらに大きな要因に注目しなけ ればならない。 直接的な原因が、プロ野球球団にあったのではなく、 球団の親会社 そのためプロ野球ファンは古田選手会を支持 2015/9/30 14 親会社 赤字 補填 球団 宣伝効果 選手会 会社に とって悩み の種 プロ野球ファン つまり、今回の球団合併から球界再編につい ての原因は、赤字球団自身にあるというより も、親会社にある、といえる 2015/9/30 15 新規参入問題 新規参入企業により選手の雇用が確保され ることを期待する選手会 対立 球団数減少と1リーグ制への移行を目論む経 営者 なぜ、経営者側は、そのようなマーケット縮小 の方向へと進もうとする のか? 2015/9/30 16 プロ野球組織は、「企業野球」 日本の野球の発展を目指すのではなく、あくまでも野球を利 用して親会社の宣伝や、親会社の利益を第一義に考える組 織 できるだけ少ない球団数で独占した方が、宣伝効果 が高まり、得られる利益も増加!! 球界発展を望む選手会 すなわち企業に「所有」され「支配」され「利用」され る野球チームから、「自立」し「支援」される野球チー ムへと、大転換することが必要 2015/9/30 17 1-3 アマ選手への金銭授与発覚 不正スカウト活動 以前から、金品授与行 為は黙認 球界では年間100億円 規模 契約金の上限は1億 5000万円、しかし事実 上その取り決めは崩壊 2015/9/30 18 第2章 プロ野球交流戦 2015/9/30 19 2-1 交流戦の仕組み 5月6日(金)~6月16日(木) セントラル、パシフィック各リーグの選手権 試合(公式戦) において、今シーズンから は“交流戦”として、異なるリーグに所属す るチームとの対戦が開催。公式戦という真 剣勝負の場で、夢の対決が実現! 2015/9/30 20 2-2 交流戦でもたらした各球団への影響 千葉ロッテマリーンズ 今季のスタジアム観客数は累計で130万4827 人 昨季に比べ五〇%以上の増加 交流戦開催により観客動員の伸び率上昇 プレーが全国に発信。 自治体などは、地元球団の活躍 で千葉のイメージ向上や経済効 果などに期待する声が強く支援。 「バレンタイン監督などの発案によるファン サービスの充実の効果も大きい」といえる。 2015/9/30 21 千葉マリンスタジアム観客席をグランドにせり 出す「フィールドシート」来春設置。 集客強化を目指し、球団は市が所有するマ リンスタジアムの指定管理者に名乗りを上げ ている。 米「ボールパーク」をイメージした施設運営な ど企画力をアピール。 2015/9/30 22 2-3 優勝した千葉ロッテマリーンズについて 昨年の球界再編劇ではダイエー(現ソフトバンク)と 統合の合意寸前まで至った「お荷物球団」 しかし、わずか1年で日本一に上り詰める 経営意識の改善 ファンの圧倒的支持 2015/9/30 選手への励みに!! 23 千葉市の第3セクター千葉マリンスタジアムとの契 約の見直し 場内の飲食収入は球団に一銭も入らない! 条項を一つずつ改善 よって、 従来は球場内に試合告知のポスターを張るにも市 公園管理課のハンコを要するなど制約が多く身動き できなかった。 今季、球場の正面入り口には飲食屋台が並び、特 設ステージではバンド演奏、チアガールのダンスイ ベントと球場周辺はにぎわった 2015/9/30 24 6月28日のソフトバンク戦、 内外野全席均1500円、ビールも半額の300円とし、 平日では異例の約2万5000人を集客。 昨季、37億4000万円だったとみられる球団の最 終赤字が今季20億円台に減るのは確実。 「この水準なら耐えられる数字」(重光オーナー代 行)。 ロッテ本体が広告宣伝としての球団保有価値は増 ソフト、ハード両面の改革が増加。 これを阪神と対等の応援合戦を演じたロッテファン が支えることにより。 好循環の方向へ。 2015/9/30 25 第3章 観客動員増加のための取り組み 2015/9/30 26 3-1 ファンサービス 昨年の球界再編騒動の余波で、野 球界でもファンサービスを謳う球団 が増加。 何かというとファンサービス、ファン の皆様のおかげで、という言葉が散 りばめられているが・・・ 果たしてそういう人工的な後付けの ファンサービスが本当のファンサー ビスなのだろうか? 野球を見ていて一番感動するのは 一生懸命プレーする姿であり、素晴 らしいプレーなのである!! 2015/9/30 27 だが、球界がファンサービスを怠ってきたとは 言いたくない。 サービス業といえども商売であり、決してボラ ンティアではないのである。 本当のファンであれば「物を貰ったからいい 人だ」みたいな趣向ではなく、もっと純粋にプ ロ野球の発展を応援するべきではないのだろ うか? 2015/9/30 28 3-2 選手とファンが一体化した球場作り 92年に本拠地を川崎から千葉マリンに移転して13 年。 「千葉ロッテマリーンズ」が地元に密着したことが、今 年の快進撃につながった。 重光オーナー代行は 「プロ野球ファンの底辺拡大に寄与したい。地 元に歓迎される新しい球団をつくる。」 と球団、現場を含め大刷新する考えを示した。 2015/9/30 29 周辺地域には幕張新都心というビジネス街の性質 と、新築マンションが立ち並ぶ新興住宅地という2つ の側面を併せ持つ街 がある。 球団幹部みずから赴き、住民に斡旋 周辺住民に応援しやすい様な環境を整える 結果 自治体による応援組織ベイタウン・マリーンズ・クラブ 運営を民間に託す「指定管理者制度」を適用 2015/9/30 30 ロッテは今季、積極的に県、市、マリンスタジアム社に 対し協力要請し、敷地内での屋台の出店、外野フェンス の広告など、さまざまな改革を行った。球団が指定管理 者になればプロ野球、Jリーグを含めた適用第1号とな る。自治体と一心同体となったプロ野球文化の定着。 ロッテは球場を含めてボールパーク化構想を持ってい る。31年ぶりの優勝は、その過程に弾みをつけること だろう。 2015/9/30 31 最後に ファンへのサービスについては、プレーヤー の立場から意見を言わないことには本当の サービスの提供には結びつかない。 経営学の専門家だけで、親会社のための方 向をプロモーションの一環として考えても、結 局は、そのスポーツが好きなファンの心をつ かむことはできないのではないのだろうか。 2015/9/30 32 参照 2015/9/30 33
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