BM Repopulation Assay

フローサイトメトリーの特徴
 細胞の個々の大きさと形態の情報,および蛍光染色したDNA/RNA
や蛍光抗体で染色したタンパク等の情報を迅速かつ高感度に測定
する方法.
 1960年代後半に開発された.
 蛍光を測定する標準的な方法の蛍光顕微鏡に比べて下記のような
特徴がある.
・短時間に多くの細胞を生きたまま客観的に測定できる(リアルタ
イム・高速性・定量性)
・微弱な蛍光を測定できる(高感度)
・人為的要因による結果のバラツキが少ない(高再現性)
・1回の測定で多くの情報を取得できる(マルチパラメータ解析・
クラスター解析)
・特定の細胞の高速分取が出来る(ソーティング)
超高速セルソーターMoFlo
セルソーター:細胞を蛍光物質で標識し,高速で流しながら解析・分取する装置
製造:Dako (Denmark)
ソーティングの原理
前方散乱光
検出器
側方散乱光、各種蛍光、ミラー
で分光
ノズル
レーザー光、
(3波長同時励起可能)
ドロップディレイ
液滴への
チャージ
液滴形成点
水平電場
形成電極板
+
最大3つのレーザーを搭
載でき,最大10種類の蛍
光を同時測定可能.
+
+
+
廃液受け
-
-
ソーティングサンプル受け
(4種同時に分離可能)
Optics
Nozzle tip
in view
専用のCCDカメラを見ながら光
軸調整できる
Pinholes
CytoNozzle Stage
FSC Detector
Stage
Stream
Pinhole Strip
Fixed Focal distance
Laser Focus Stage
Fixed Side Scatter Collection
Objective
専用のCCDカメラを見ながら光軸調整できる
従来,光軸調整がやっかい.オシロスコープによる調整が必要.
光軸調整不要の機種もある.主要回路のブラックボックス化.
Nozzle tip
in view
Pinholes
Stream
High Speed Sorting
液滴が小さく、多いことで高速
でも超高速分離可能
30khz
40,000 events/sec
0.0001 sec
60khz
MoFLo
100khz
MoFloの特長
–
–
–
–
–
–
–
–
超高速の信号処理(特許)
特許Nozzle(高圧でも細胞にダメージを与えない)
High power
光軸調整が容易
高い回収率・純度
高速ソーティングに最も適している(最速70,000/sec)
SP解析、分離精度が高い
解析しやすい
ソーターの比較
MoFlo
Aria
Vantage
分離速度
10
5
1
レーザー
紫外線
紫色
紫外線
不可
可
SP解析
光軸調整
秀
(速い,高分解能)
容易
不要
(直感的)
(ブラックボックス化)
面倒
Hoechst 33342によるマウス骨髄単核細胞染色
S-G2M
G0/G1
Hoechst-Blue (424/44)
Hoechst-Red (585/42)
造血幹細胞
×
×
Side Population
(SP) cell
○
Goodell et al J Exp Med. 1996;183:1797.
SP細胞の特徴
 SP細胞は種を越えて存在する.
Goodell MA et al. Nat Med.1997;3:1337.
 SP細胞はさまざまな組織に存在する.
 SP細胞は,ABCトランスポーターを介して色素を細
胞外に排出する.
Zhou S et al. Nat Med. 2001;7:1028.
 心筋梗塞後にSP細胞由来の心筋再生が起こる.
Jackson KA et al. J Clin Invest. 2001;107:1395.
MoFloを用いたマウスSP細胞のSorting
マウス(B6/8週齢)の骨髄より分離した単核球分画を、Hoechst染色後、
MoFloを用いてSP細胞の分取を行った。
Sorting前
マウス骨髄単核球分画
Sorting後
分取細胞の解析結果
0.17%
0.29%
98.25%
結果:純度 98% のマウスのSP細胞分画が分取できた。
再生医学研究部
マウス各組織のSP細胞
Brain
Liver
0.8%
0.3%
Muscle
Ho-Blue
Kidney
0.5%
0.7%
Pancreas
0.44%
Heart
2.8%
Ho-Red
慶応大学 松崎有実ら
MoFloのまとめ
 さまざまな動物種の各組織に存在する幹細胞の
解析や単離を可能にする.
多くの講座の研究の発展に寄与する.
15講座の申請,共用機器室に設置.
 細胞を超高速で処理できる.
サル・ブタのような大型動物を用いた細胞移
植実験にも対応可能.
セルソーターについて注意事項
 使いやすくなってきたが,依然トラブルの多い,手の
かかる装置である.
 最近のフローサイトメーターは8カラー以上の解析が
可能になった(最大18).その際にはコンペンセー
ションなど,多重解析の原理を理解することが大切.
 今後はソーティング機能をぜひ役立てていただきたい.
細胞を生きたまま分離して解析できるのがフローサイ
トメーターの最大の長所だから.