食道癌患者における血中扁平上皮癌関連抗原 (SCC抗 原)濃 度に関する

日消外会誌 20(12)i2800,1987年
研究速報
食道癌患者 にお け る血 中扁平上皮癌 関連抗原
(SCC抗 原)濃 度 に関す る研究
池 田健 一 郎
寺
島 雅 典
岡本 和 美
斉
藤 和 好
石
森
田
薫
大
昌 造
は じめ に : 近 年, 腫 瘍 マ ー カ ーを用 いた癌 の診断や
治療 効果 の判定 が行われ るよ うにな って きたが, 食 道
癌 での有効 な腫 瘍 マ ー カ ーは, まだ確立 されていない。
そ こで, 食 道扁平上皮癌 に対す る腫瘍 マ ー カ ー として
津 友 見
Ⅲ
図 手 術前後 の SCC抗 原 の推移
子 宮頭癌 よ り抽 出 され た T A ‐4 1 ) の
亜 分 画 で あ る扁 平
上皮 癌 関連抗原 ( S C C 抗 原) の 有用性 につ いて検討 し
た . さ ら に, 他 の 腫 瘍 マ ー カ ー と し て i m m n o ‐
supressive acidic protein (IAP), carcinOembryonic
antigen(CEA)と
も比較検 討 した。
対象 と方法 : 対 象 は, 昭 和6 1 年 1 月 か ら昭和6 2 年 2
月 ま で に 当 科 に 入 院 した 食 道 扁 平 上 皮 癌 患 者 5 4 例
(stage o 2例, stage 1 2例, stage I1 4例, stage III
6例 ,stage IV17例,非 切 除 18711,再発 54/11),食
道良
性疾患患者 7例 ,胃癌患者10例 と健常 者 15例で あ った。
これ らの症4/11で
S CC抗 原 を測定 し,食道癌患者 は各治
療前後 で SCC抗 原,IAP,CEA,を
測定 した .な お,
SCC抗 原 は ダイ ナ ボ ッ ト社 製 SCC・ RIABEADを
いて測定 し,2.Ong/ml以 上 を陽性 とした。
用
結果 i SCC抗 原 は健常者,胃 癌患者 では全frl陰
性で
あ り食道 良性疾 患患者 は 1例 のみ が陽性 で あ った。こ
れ に 対 し, 食 道 癌 患 者 は3 . 8 0 3±. 9 9 n g / m2 l8 で
/
54(52%)と 高 い陽性率を示 し,進 行度別では stage O,
11.55± 0.78ng/ml(1/4), stage I1 1 50± 0.64ng/ml
(1/4), stage II1 4.72±
6.58ng/ml(2/6), stage IV
3.55±3.47ng/ml(8/17)と
進行度 とともに陽性率が増
加 し,非 切除3.50±3.90ng/ml(10/18),再発5.48士
1.09ng/ml(5/5)と高 い陽性率を示 し,stage O,Iお
よび stage Hと再発例の間には統計学的有意差を認め
た (p<0.01).IAPは 多数 の症例で正常値を超 える高
値を示 したが,進 行度 との関連 は認め られなかった。
行前
第
1嘉 日
第 1 4 病日 術 後 2 ケ 月
また,CEAは
再発 り卜切除例 で 高値 を示す ものがあ る
ものの,大 部分 の症例 で正 常範 囲内の値 を示 した。切
除例 の手術前後 の各 マ ー カ ーの推移 をみ る と,SCC抗
原 は術後 第 1病 日に高値 を示す ものの,そ の後 は減 少
した (図).IAPは 全経過 を通 じ正 常範 囲を超 える高値
で推移 し,CEAは ほぼ全例正常範 囲内で推移 した 。非
切 除 ・再発例 の放射線治療 ・化学療 法 な どの治療前後
の各 マ ー カ ーの推移 をみ る と,SCC抗 原 は治療 効果 に
一 致 して変動す る傾
向を示 したが ,IAP,CEAで
はこ
の よ うな傾 向 は認 め られ なか った 。
結 語 i SCC抗 原 は IAPや CEAと 比 較 し癌 の 進 行
度 や 治療 効果 を最 も良 く反 映 し,食 道 癌 の腫 瘍 マ ー
カ ー として有用 で あ る と考 え られた。
索引用語 :食道癌 の SCC抗 原
文 献 il)Kato H,TOrigoe T: RadioimmunOas‐
say for tulnor antigen of human cervical squa‐
mous cell carcinoma. cancer 40: 1621--1628, 1977
CLINICAL EVALUAT10N OF SERUM LEVEL OF SQUAMOUS CELL CARCINOMA ANTIGEN IN
PATIENTS WITH ESOPHAGEAL CANCER.
Kenichirou IKEDA,MasanOri TERASHIMA,Kaoru ISHIDA,Tomomi OHTSU,Kazumi OKAMOTO,
Kazuyoshi SAITOH and ShOzO MORIホ
First Departlnent of Surgery, I、
vate Medical University School of Medicine. ホSecond Departinent of
Surgery,TohOku University Schoo1 0f Medicine
<1987年10月1日 受理>別 刷請求先 :池 田健一郎 〒 020盛 岡市内丸19-1 岩 手医科大学第 1外科