プラズマ概論 2005

2005.04.26
プラズマ概論
2005
図子 秀樹
炉心理工学講座
今週の講義のテーマ
• プラズマ中には衝突を伴わない振動(固有の
波動)が存在しうる。
Langmuir wave
• 荷電粒子間の相互作用を定めるクーロン力
はシールド(遮蔽)される。
Debye shield
Oscillations in Ionized gases
• 水銀アーク放電中の電子はT=500060,000K 程度のMaxell 速度分布を持つこと
が観測されている。
しかし、電子間の衝突平均自由行程は装置
サイズより遙かに長く、電子は電極から一回
も衝突せずに陽極に達する。
何が電子の“衝突”の役割を果たしている
か?
高周波振動の観測
• 元々電子は一方向にしか進まない、ビーム状
の加速されたエネルギー分布を有している。
これがなぜランダムな運動で定義される“温
度”と言うものに転換されるのか?
=>0.1-1GHzの非常に高周波、しかし振幅は非
常に小さい(0.2V)波動が観測される。
この波動は何か電子に“衝突”をもたらしてい
ないか?
プラズマの定義と不思議な点
• 電子とイオンの2成分粒子から構成
• 電子とイオンの電荷は釣り合っていて、局所的には
中性である。この意味で通常の気体と考えることが
できる。
• 衝突が無くとも振動が存在し、それによって、電子
の速度分布関数が初期にはbeam状であったもの
がMaxwell 速度分布を示すようになる。
• 通常の気体(衝突によってのみ平衡に近づきうる)と
は質的に異なる発展をしめす
プラズマの特徴的振る舞い
• 粒子間衝突のないプラズマ中に高周波の振動が存在
できる
Plasma /Langmuir oscillation
< 粒子の運動(平衡位置からのずれ)>
• クーロン相互作用が, ある距離を超えると遮蔽される。
Debye shielding
<静電力学的な記述>
プラズマ振動の説明
中性条件がわずかに破れると考えると電子に対する復元力が働くのではないか!
• 平衡分布関数 :電子数の保存則の破れ
• 運動方程式
:電子の運動の発現
• ポアソン方程式 :電荷の発現による場の出現
振幅が小さいことを考えて、
0.2V<60000K~6eV
上の方程式群の摂動を考える。
n
   ( nv )  0 粒子数保存則
(積分形を考えよう)
t
v
電子の運動は位置のずれ
m
 eE
によって発生した電場に
t
よってもたらされる
en
E  
中性条件のずれが電場発生の
0
原因(イオンは動かないと過程)
今、ne=ni+dn, v,Eは1次の摂動量である。
摂動は平面波的とする。  e xp(i )  e xp(i (kx  t ))
dn
 dn
v
 ne   v  0  2  ne  
0
t
t
t
v
edn
m
 eE
 E  
t
0
2
 dn e ne

d n  0,
2
t
m 0
2
2
 e xp(i )  e xp(i (kx  t ))
2
e ne
 
0
m 0
2
この方程式群から振動解が存在することが導かれた。
振動数はプラズマ密度の平方に比例する。
波束について
• 波束の性質を決めるもの
E=e|E|exp(-it+ik*r) + c.c.
振動数、波数vector、波のエネルギー

k
<E2>
• 一様媒質中の正弦波を考える。位相f f(r,t)
が空間、時間に関してゆっくり変化すると仮
定する。
E=e|E|exp(-if) + c.c.
• ある空間点での位相変化の速さ=>振動数
f
t
• ある時刻の位相の空間勾配=>空間変化の
大きさと方向を決める=>
k  f
• 波数ベクトルの保存は?
k
 f ( r , t )
 (
)   
t
r
t
分散媒質中の波数と振動数
• 媒質の空間分散の指標 => 波数
• 媒質の時間分散の指標 => 振動数
• 媒質の分散特性 DE 誘電率 (k,)
   (k )
 f ( r , t )
k
)   ( k )
 (
t
r
t
k
 k
 v g 


r
k r
k
k
0
 vg 
r
t
波束中の波数は群速度で運ばれていく。
群速度が0のものは波数が変化せず一定である。
中性条件を保つために、その復元運
動としての振動が発生する
• 準中性条件が破れると(例えば、電子の位置が平
衡の位置からξ(v=d ξ/dt)だけ変位)するといつで
も振動数Peの電子運動が起きる。
• 初期乱れが平面波(  e xp(it  ikr) )の形で
あると、Langmuir 波は平面波となる。
• この波は決まった振動数ω=ωPe を持つが、決まっ
た波長は持たない。即ち、プラズマが全体として振
動している。
• 位相速度( Vph=ω /k)はωPe/kとなる。波数がだんだ
ん大きくなると位相速度は遅くなり、やがて波数が
ある値に近づくと、vph=vthとなりうる。
1GHzの振動数に対応する
プラズマ密度は?
1
f   / 2 
2
1

2
2
e ne
,
m 0
(1.6 1019 )2  ne /(9.11031  8.8 1012 )
 28GHz ne19 ,
ne : 1019 m 3
Origin of Langmuir oscillations
(or Plasma oscillations)
• 中性気体およびプラズマ気体の衝突の概念の違い
1)衝突と見なせる運動の著しい変化は衝突パ
ラメターが大きくても起きる。
2)このような“衝突”はランダムな衝突(エントロピー増
大の源)と異なり系を平衡状態に近づけない。
3)この“衝突”は多数の粒子が背景として関与する
集団効果に基づいている。
• プラズマ媒体のもつ空間分散および時間分散
プラズマ中の電荷による
クーロン場の遮蔽(Debye shielding)
• 多数の電荷が集合したときの“場”を決定せよ。
1)1個の電荷の作る場を決定する方程式を構築
2)線形性を利用して複数の電荷の場を重ね合わ
す
Debyeの方法
• プラズマは理想気体と近似できる。
運動エネルギー>>相互作用エネルギー
粒子数はBoltzmann方程式で記述可能
• プラズマは中性であると近似できる。
電荷の総和は~0
Boltzmann relationから 相互作用のある領域での粒子数
は以下の式で記述できる。
q if
ni  ni 0 exp(
)
kT
近似条件
qif  kT
q if
ni ~ ni 0 (1 
)
kT
Quasi neutrality 条件より

f   ,
0
  qi ni  ene 0
q if
ni ~ ni 0 (1 
)
kT
f  
f  
qi ni 0
0
qi ni  ene 0
0
qi
ene 0 qi qi ni 0
(1 
f) 

f
kT
0
kT 0
f
f  2  0
D
• 球対称な座標系での解は
e xp(
f (r )  C
r
D
)
r
r=>0での解は単一電荷の作るクーロン場に収束するはず
f (r ) 
qi
40 r
e xp(
r
D
)
Debye shield
• 点電荷の作るクーロン場はその電荷を取り囲
む周りのすべての電荷によってr>Dには影
響を及ぼさないように遮蔽される。
f (r ) ~
qi
40 r

qi
40 D
 ........
D 
 0 kT
e 2 ne
12
(8.8 10 )(T / e )
7 T

~ 7.4510
/ ne 20 [m ]
19
(1.6 10 ) ne
e