北海道大学 理学部 地球科学科 惑星物理学研究室 B4 山田 圭祐 1 大目標 地球型の系外惑星が, どのような表層環境であ るかを知る. 現在, 恒星のゆれなどを観測する事で, 惑星の軌道や 質量が得られている. 今後は直接, 惑星の光を観測することで, 大気の組成 や厚さが得られるであろう. → 光度の季節変化から大気の厚さについて情 報が得られる可能性がある. 今回はまず, 日射量の季節変化について調べた. 2 系外惑星とは 太陽系外の恒星の周りを公転する惑星の事を 「系外惑星」と呼ぶ. 軌道の形, 自転軸の傾きが様々と予想. 系外惑星の想像図 (ESO) 系外惑星の公転軌道 3 日射量の依存性 軌道の形, 自転軸の傾きが様々. → 日射量の変化も様々. 日射量は離心率, 赤道傾斜, 緯度に依存. 日射量 大 日射量 小 軌道上の位置と 日射量の変化 4 赤道傾斜,離心率とは 赤道傾斜 自転軸の傾き. 太陽系と同様に, 赤道傾斜は様々と予想. 離心率 楕円がどれほど, 真円から離れているか. 太陽系に比べ, 離心率は様々. 離心率と楕円の形状 5 離心率の分布 太陽系の惑星に比べ離心率が様々. 離 離既 心 心知 率 ( 率の 分系 布外 惑 井星 田の 茂 他 ) 軌道長半径 (天文単位 対数スケール) 太陽系の惑星 6 今回の目的 緯度ごとの日射量の定式化. 軌道上のある位置, ある緯度での日射量. 離心率, 赤道傾斜と日射量の関係式. Gaidos and Williams (2004) を参照した. ○ 光度曲線と, 離心率や赤道傾斜の関係を調 べた論文. 7 光度曲線とは 惑星の明るさの時間変化を描いた曲線. 赤外線の光度変化は, 表面温度の変化 . 離心率, 赤道傾斜,大気の厚さが関係. 赤道傾斜と光度曲線 (Gaidos and Williams 2004) 8 Gaidos and Williams (2004) 光度曲線と, 離心率や赤道傾斜の関係を 調べた論文. 離心率, 赤道傾斜の依存性が分かれば, 光度曲線から大気の厚さが推定できそう. 例えば, 光度変化が小さければ, 大気は厚い. 離心率, 赤道傾斜を変えてモデル計算. 9 エネルギーバランスモデル 日射量の効果 : 恒星入射フラックス : 地表と大気の有効熱容量 : 大気上部のアルベド : 南北方向の熱輸送効率 : 惑星放射フラックス : 表面温度 : 時間 : 緯度 例えば, 右辺を一定とすると, 右辺第三項以外を一定とすると, つまり また, , の時間変化は の緯度変化は に反比例し, に反比例する. が大きな(大気が厚い)ほど, 温度変化は小さくなる. を惑星半球で積分したものが赤外線の光度である. 10 緯度ごとの日射量の定式化 (a) 恒星入射フラックス 地表面上での恒星フラックスは, と書ける. ここで, と書ける. ここで, の日平均. を長半径における恒星フラックスとして, は天頂角である. 球面三角形の余弦定理から, は緯度, 日の出, 日の入りの時刻では, は赤緯, は時角である. であり, 半日の長さ(時角) は, と書ける. 11 緯度ごとの日射量の定式化 (b) とし, 自転において平均すると以下の式で表わせる. よって, 日平均のフラックスは, 動径を と書ける. , 長半径を として, 12 緯度ごとの日射量 ある緯度における, 単位時間, 面積当たりの日射量. : 時間平均の恒星放射 : 半日の長さ(時角) : 緯度 : 赤緯 : 赤道傾斜 : 離心率 : 黄経 : 近日点黄経 13 まとめ 今回のまとめ. 軌道の形, 自転軸の向きが様々. → 日射量の変化も様々. 日射量は離心率, 赤道傾斜などに依存. 今後の目標. Gaidos and Williams (2004) の理解を深める. ○ モデルの他の項の定式化も理解. 自分で光度曲線を描く. 14 参考文献 E. Gaidos, D. M. Williams: “Seasonality on terrestrial extrasolar planets”, New Astronomy 10 (2004) 67-77. D. M. Williams, J. F. Kasting: “Habitable planets with high obliquities”, iCARUS 129 (1997) 254– 267. 井田茂, 佐藤文衛, 田村元秀, 須藤靖: “宇宙は “地球”であふれている”, 技術評論社 (2000) ESO(欧州南天文台) http://www.eso.org/ 15
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