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すばる/HDSによる系外惑星
HD209458bの精密分光観測
2004年天文・天体若手夏の学校
成田 憲保
もくじ
• 系外惑星とは?
– 最初の発見と探査法について
• 先行研究の紹介
– 系外惑星大気の観測
• 我々の研究成果
– すばる望遠鏡による精密分光観測
– 今後の研究予告
• まとめ
系外惑星とは?
その名の通り太陽系外の恒星にある惑星
→
最初に発見されたのは1995年
発見者
マイヨール博士
恒星 ペガスス座51番星
発見法 Radial Velocity法
木星のような巨大惑星が
主星のすぐそばを4日あ
まりで公転している!!
系外惑星の探査法
どうやって見つける?
Radial Velocity法
Transit法
惑星による主星の運動を見る
119個発見&3個確認
惑星による影を見る
3個発見&1個確認
系外惑星はどんなところ?
系外惑星の環境を探る
Transit法を用いると惑星の情報が得られる!
見かけの大きさ→惑星の半径
軌道傾斜角→惑星の質量
⇒合わせて惑星の密度!
さらにスペクトルの吸収線をTransitの内外で
比較すると、惑星の大気成分を検出できる!
先行研究の紹介
食を用いた惑星大気の研究
Transit中に主星からの光が惑星大気を透
過
⇒スペクトルの吸収線にadditionalな吸収
「Transmission Spectroscopy」
2002年 NaのD線で0.02%の追吸収
2003年 水素Lyα線で15%の追吸収
2004年 炭素、酸素でも報告された
これらは全てHSTの成果
モチベーション
HSTだけで検出されている惑星大気の存在を
地上観測でも検出できないか?
すばる望遠鏡の特長
?
HD209458想像図
○高い波長分解能
○広い波長領域
×大気の影響
• 地上から系外惑星大気の
初検出を目指そう!
• 違う結果が出ても楽しい
いざ観測へ
ハワイ・マウナケア山への旅
観測ターゲット
HD209458
すばる望遠鏡with
高分散分光器(HDS)
観測パラメータ
HDSによる高分散分光観測
2002年10月の2晩の観測で
公転周期3.5日
合計72フレームのデータを取
得
観測設定
観測波長領域 4100~6800Å
波長分解能 ~45000
SN / ピクセル ~150
観測phase
データ解析
どうやって調べるか?
取得したフレームから基準とな
る
テンプレートを作成
時系列ごとにそれぞれのフレームの
total fluxをテンプレートに合うよう較正
余分な吸収があれば、引き算した結果にresidualが残る
最新論文
水素Hα線に対するアッパーリミット
緑:中性水素(Hα)
青:短波長側 赤:長波長側
の3つの領域で積分してプロット
人工的に0.1%の吸収を加えると
きちんと検出できた
2 hour
時刻
3σ< 0.1%の精度でTransit中に
有意な吸収量の増加は見られない
astro-ph/0404469 & PASJ 56,2004(8月)
現在のお仕事
他の吸収線も調べてみよう!
Charbonneau et al.2002
中性NaのD線などで追吸収が見れないか?
天文学会秋季年会で報告します。
これからの研究テーマ1
Rossiter effectを用いた惑星大気研究
Transit中にケプラー運動の
理論曲線からずれている!
惑星が主星の自転を隠し
てしまうことによる効果
「Rossiter effect」
各吸収線でこの効果を比較することで、
Transmission Spectroscopyの代わりになる
これからの研究テーマ2
系外惑星からの反射光の検出
系外惑星も月のように主星の光を反射する
だが、その光をまだ誰も検出していない!
世界に2チーム
υ And.→ セントアンドリュース大
HD209458
→ SECOND
9月から共同研究が始まります。
おわりに
これからの系外惑星探査
系外惑星の研究は始まったばかり!
•系外惑星の形成過程
•系外惑星の環境
•系外惑星のpopulation
系外惑星はまだまだ謎だらけ
最終目標は「もうひとつの地球探し」