研究計画: - Psychology Department, Ritsumeikan

卒業論文 実験計画
(2010/07/14)
文学部心理学専攻4回生
1613070211-6
岡田 怜佳
◆はじめに

ジェスチャーは,言語的コミュニケーションを補足・強
調するのに有効的である。(大坊,1998)

先行研究の多くで,ジェスチャーは大きく2種類に分
類される。
ビート・・・発話に同期したジェスチャーの中で、言語内容に関係し
た動きや形などの情報を含んでいない単調な動作
表象的ジェスチャー・・・発話に同期したジェスチャーの中で、言語
内容に関係した動きや形などの情報を含んでいるジェスチャー
◆3回生後期の実験
~聞き手の理解度の認知がジェスチャー表出に与える影響~

実験参加者には,協力者(サクラ)と対面した状況で,
実際にアニメ映像を説明するという作業をしてもらった
良かった点
・自然に表出されるジェスチャーを見ることができた
・聞き手の視聴態度が話し手に影響を与えることが
確認できた
悪かった点
・サクラを用いたことによる影響
・普段からのジェスチャー表出頻度の個人差
◆今後の展望

前回は,会話の中で「聞き手が話し手に与える影響」
を明らかにするためのツールとしてジェスチャーを
選んだ
興味の移り変わり
ジェスチャーの果たす役割を細かく調べていきたい
 特に,言語内容に関係した情報をもたないビートに
ついて重点的に…

◆先行研究(磯,2001)
目的
・・・発話に伴うジェスチャーが「話の上手さ」認知に与
える影響を検討すること


方法
研究1) 質問紙によって「話の上手さ」認知に関連すると思われる項
目を得る ⇒ 「話の上手さ」評定に用いる尺度項目の作成
研究2) ジェスチャーを表出している話し手とジェスチャーを表出して
いない話し手の刺激映像を用意し,刺激情報の全てを呈示する「映
像+音声呈示条件」と,音声のみを呈示する「音声呈示条件」の2条
件を設け,被験者である聞き手に刺激人物の「話の上手さ」を評定さ
せる
◆先行研究(磯,2001)
結果
研究1) 言語的行動8項目,非言語的項目12項目
の計20項目の評定項目を作成

研究2) 上記の評定項目を用いて回答させた結果,
ジェスチャー総数の最も多い刺激が,最も「話が上
手い」と評価された
しかし, 呈示条件の主効果および交互作用には有
意差が得られていない
◆疑問・目的

磯(2001)の研究において, ジェスチャーが「話の
上手さ」認知に影響を与えることが示唆された

しかし,この研究における「ジェスチャー」とは、表象
的ジェスチャーとビートの両方を含んでいる
?2種類のジェスチャーの両方が,
「話の上手さ」認知に影響を与えているのか
情報をもたないジェスチャーであるビートの影響力は?
◆方法
実験参加者
刺激人物と面識のない大学生50名程度
刺激映像
• 大学生1名が課題の説明をしている一方向的発話
場面を撮影したビデオ映像
• 課題は2種類用いる(検討中)
• 1つの課題について4種類の刺激映像を作成する
•
•
•
ジェスチャー表出のない刺激
ビート表出のない刺激
表象的ジェスチャー表出のない刺激
2種類のジェスチャーが表出される刺激
http://www.snoopy.co.jp/clubhouse/wallpaper/
◆予想される結果

先行研究より,ジェスチャー表出のない説明場面よ
りはジェスチャー表出のある説明場面の方が「話の
上手さ」に対する評価は高くなると考えられる

ビートについては,言語内容に関係した情報はもた
ないながらも,「何かを伝える」という意思に基づいた
行動であることから,少なからず聞き手に「話が上手
い」という印象を与える役割を担っていると考えられ
る
◆参考・引用文献
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荒川歩 2003 身振りに対する態度が身振りの産出量の個人差に与える
影響 日本性格心理学会大会発表論文集, 12, 134-135.
荒川歩・鈴木直人 2006 ジェスチャーは会話スタイルの一部か?―発話
の近言語的特徴とジェスチャー頻度との関係およびその性差― 対人社会
心理学研究, 6, 57-64.
磯友輝子 2001 話し手の非言語行動が「話の上手さ」認知に与える影響
―発話に伴うジェスチャーに注目して― 対人社会心理学研究, 1, 133146.
大坊郁夫 1998 しぐさのコミュニケーション―人は親しみをどう伝えあう
か― サイエンス社
吉岡啓介・堀毛一也 2007 説明場面におけるジェスチャー表出の個人
差の規定因について 日本パーソナリティ心理学会大会発表論文集, 16,
168-169.