孤独分析

孤独分析
総合政策学部3年
小泉 健二
環境情報学部3年
松谷 乃里子
目的・動機
人々にとって孤独という言葉が、どう認識さ
れ、どういう意味を持っているのかを描き出
すため。
 「孤独」が重い意味合いの言葉であるにもか
かわらず、最近では頻繁に利用されてきてい
る。それは時代の変化によって孤独の社会
的意味が変化してきているのではないか、と
思ったため。

データソース・参考文献
☆データソース
 朝日新聞 投書欄 声
340件
(1984~2004.11)
 産経新聞 投書欄
74件
(1993~2004.11)
☆先行研究
 広辞苑
 『孤独を生ききる』瀬戸内寂聴(1991)
 『孤独感に関する社会心理学的研究』諸井克英(1995)
先行研究①
こどく【孤独】
①みなしごと老いて子なき者
②仲間のないこと。ひとりぼっち。
(広辞苑)
孤独とは物理的にひとりの状態を指す
先行研究②

「孤独とは自分の周りに人がいないために生じるのではなく、
自分にとって重要だと思っていることを他者に伝えられない
ことや、自分が他人の許容することの出来ない何らかの観
点をもつことにより生まれるのだ。(ユング)」
孤独とは物理的ではなく、
精神的にひとりの状態を指す
助詞別スクリプト分析
助詞から見える孤独の意味
①助詞は、が
孤独
動詞
解釈
ある(2)
存在する
癒される
程度に変化が生じる
高じる
こみ上げる
増す
(苦痛)を加速させる。
悪影響を与える
(力)を萎えさせる。
孤独には程度があり、増減する。
孤独が原因で何かに悪影響を及ぼす。
助詞から見える孤独の意味
②助詞 を
動詞
孤独
解釈
感じる(9)
描く(2)
文学のテーマ
知る(2)
恐れる
否定的な意味合いを持つ。
訴える
強いる
嘆く
愛する
本当に好きなわけではない。
好む
孤独文学のテーマになりやすい。(サガン)
孤独は人から忌み嫌われる存在であり、できれば避けたいと思っている。
助詞から見える孤独の意味
③助詞
孤独
に
動詞
解釈
なる(10)
常に感じるものではない。
耐える(9)
陥る(3)
生きる(3)
長期的に付き合う。
悩む(2)
思う(2)
喘ぐ・
打ちひしがれる
押しつぶされる
もがく
強くなる
何かが原因で孤独のになる。常に感じているものではない。
孤独像

言語仕様だけでなく細かな係り受け表現を探る
→ 具体的には口にされない
人々の内心にある孤独像が見えてくる
<例>
「が」高じる
「孤独」は隔離された空間の低層部に位置し、
それが上昇することによって充満してくる
「に」陥る
視覚的には認知できない世界において
精神的に抜け出せなくなる状態を表現
孤独像

「孤独」であるという状態は、口がせまい容器に入り込むような
ものであり、底の深さが深刻さを表す。

人々が「孤独」を感じる、意識するにあたって、「孤独」の捉え
方に差異がみられ、そこから孤独状態の段階分けが行える。
孤独を捉える姿勢を4つに段階分けすることができるが、必ずしも初期
段階から意識されるわけではなく、人や状況による。

孤独像 ー初期段階ー
認知
「を」感じる
「を」知る
「に」なる
「に」悩む
↓
「孤独」という状態になったこ
とを認知
孤独像 ー中期段階−
混沌
圧迫
「が」こみ上げる
「を」恐れる
「に」陥る
「に」襲われる
「に」もがく
「に」喘ぐ
「に」押しつぶされる
「に」打ちひしがれる
↓
「孤独」な状態を受け入れら
れないドロドロ、もやもやとし
た様子
孤独像 ー後期段階ー
「を」抱える
「を」噛み締める
「に」耐える
「と」戦う
対峙
↓
「孤独」である状態を受け
入れ、ドロドロ、もやもや
した状態と向き合う
孤独像 ー最終段階−
脱出
「が」理解される
「を」癒す
「を」解消する
「を」守り抜く
「に」寄り添う
「に」強くなる
「に」満ちる
「に」取り組む
「と」付き合う
↓
「孤独」である自分理解し、その上
でどう取り組んでゆくかを自ら考え、
漠然とした「孤独」から抜け出す。
孤独像
初期段階:認知
最終段階:脱出
中期段階:
混沌,圧迫
後期段階:対峙
基本形態としては似たような状態を指すが、
その詳細は人によって異なるため一概に定めて言い切ることはできない。
結論

孤独の使用方法は人によって異なり、社会的に見てひとつ
の意味にはあてはまらない。
↓あえて表現するならば…
孤独とは、人の精神レベルおかれた、口の狭い容器のよう
なもので、その形態は人や状況によって異なる。