SR科1年生 自然探究の方法 物理学の方法とは ガリレオの落体の法則にみる物理学のア プローチ ビデオ鑑賞 その時歴史が動いた 物体の運動の基礎 空気抵抗が無視できないときの落下運動 落体の法則~近代科学のはじまり ガリレオ・ガリレイ(Galileo Galilei )1564-1642 • イタリアの物理学者、天文学者、哲学者 • 科学分野で実験結果を数学的に分析する という画期的手法で高く評価されている。 • 科学の問題について教会の権威やアリス ト テレス哲学に盲目的に従うことを拒絶し、 哲学や宗教から科学を分離することに寄 与し、「科学の父親」と呼ばれる フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)より ガリレオの業績 振り子の等時性の発見 落体の法則の発見 地動説の立証 (金星の満ち欠けの観察より) → のちの2回の宗教裁判(ローマ法王庁との対 峙)に繋がる → 「天文対話」(伊)「新科学対話」(蘭)で自説を 展開 → 1633年 異端のレッテルを貼られ終身刑 1992年ヨハネパウロ2世により名誉回復 (http://www.nhk.or.jp/sonotoki/2006_04.html#03) 落体の法則 アリストテレスの主張 重たいものほど速く落ちる。なぜなら重た いものほど地球に好かれているから。 ガリレオの主張 アリストテレスの説は破綻している。もしか すると重さに関係なく物体は落下するので はないか。 アリストテレス落下説の破綻 重い球と軽い球をひもで結んで落とすと・・・ 異同 なじ っ仮 た定 結か 論ら 2 つ の 軽いものが嫌われる分、 落ちるのが遅くなる 全体が重くなったので、 より速く落ちる ガリレオの実験 まっすぐ下に落とすと速すぎて観察できない ↓ 斜めに落としてその落ち方を観察してみよう 角度をだんだん 増していくと鉛 直になる! ガリレオの発想 斜面の角度を変えても球の移動距離の割合が変わ らなければ、球の落ち方は斜面の角度に関係ない。 ↓ まっすぐ下に球を落下させる様子を斜面を使って観 察できる。 ↓ 鉄球と木球で移動距離の割合が変わらなければ物 体の落下は重さによらず一定であると結論できる。 斜面の実験 1秒ごとの移動距離を角度を変えて観察する メトロノームのリズム に合わせてマッチ棒 をおいていく カーテンレール 鉄球と木球 で比較 データの整理 時間t[s] 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ブロック3個 距離x[m] x1の何倍? 0 x1 1 x2 x3 x4 ブロックを3個 ずつ増やして やってみる! 結果 v [m/s] 傾きΔv/Δt = 速度の変化率 (加速度 a) Δv Δt 直線→速度変化の割合が一定ということ! t [s] 速度の変化率の比較 v [m/s] Δt Δv 変化率→大 変化率→小 t [s] v-tグラフ① v [m/s] どれも傾き(速度変化の割合)は一定 速度が増加する a>0 速度が一定 a=0 t [s] 速度が減少する a<0 v-tグラフ② v [m/s] v=v0+at y 傾き a 傾き a v v0 y=b+ax at(速度の変化分) b v0(初速度) t [s] x v-tグラフ③ v [m/s] v [m/s] v=v0+at v v0 傾きがあっても… 面積 =変 位 v=v0 x=v0t t v v0 t [s] at2/2 v0t at v0 t ∴ x=v0t + at2/2 t [s] 力とは 物体を変形させたり、物体の運動状態をかえる。 運動の基本 → 等速直線運動(慣性の法則) 力が作用すると・・・ 物体の運動状態(速度)は力の向きに変化する。 加速度の大きさは力の大きさに比例し、物体の 質量に反比例する(運動の法則) 。 → a F/m a = k F / m (kは比例定数) 加速度(速度変化=状態変化)が一定のと き・・・ 作用した力も一定 → 等加速度直線運動 k = 1とおくと・・・ a=F/m ∴ F = ma (運動方程式) 力の絶対単位 物体の運動状態の変化で力の単位を決め る 力の重力単位 kg重(kgw) 1Nの力とは 質量1kgの物体に力を作用させたとき、 1m/s2の加速度を生じさせる力の大きさ m[kgw] = mg [N]→1kgw = g [N] 1 N = 1 / g [kgw] MKS絶対単位系 M・・・m(長さ) →[L] Length K・・・kg(質量) →[M] Mass S・・・ s (時間) →[T] Time 基本単位 組立単位 m/s → [L][T]-1 次元解析 N → [L][M][T]-2 加速度から速度を計算する a= v(t +Δt) – v(t – Δt) 2Δt v(t + Δt) = v(t – Δt) + a(t) 2Δt t→t+Δt V(t ) v(t + 2Δt) = v(t) + a(t+Δt) 2Δt Δt→Δt / 2 v(t + Δt) = v(t) + a(t+Δt/2) Δt t-Δt t t+Δt t 速度から変位を計算する v(t + Δt) = v(t) + a(t+Δt/2) Δt v→x, a→v x(t + Δt) = x(t) + v(t+Δt/2)Δt t→t+Δt/2 x(t + Δ3t/2) = x(t+Δt/2) + v(t+Δt)Δt 自由落下 mg V0=0, a=gの等加速度直線運動 → V=g t y= g t2 /2 y 自由落下をパソコンで計算する (1) Δt = 0.1 s, m = 0.1kgのとき 自由落下をパソコンで計算する (2) ※ “$”は絶対番地を指定する ※計算式の入力は“=”を頭に挿入すること 速度のべき乗に比例する抵抗力が 作用するときの落下 R = k v n 落下とともに速度も増す mg R mg y ↓ R = mg となったあとは... v 等速度で落下する (∵合力 0) → 終端速度という R = k v nの抵抗力が作用するとき D列に「係数 k」,E列に「ベキ n」を追加 力を次のように入力するとOK → mg – k v n → $C$4*9.8 – $D$4*ABS(B8)^$E$4 m k 速さ n ※ ABS()は「絶対値をとる」というExcel関数 実験 マドレーヌカップの落下 1. 2. 3. 4. メジャーで床から1.5mの点を探して、その位置 に目印を持って支え、動かないようにする。 マドレーヌカップを目印の点より50cm以上、上 に離して落下させる。 ストップウオッチで目印の点から床に到着する までの時間を測定し、終端速度を計算する。 →3回測定して平均値をとること マドレーヌカップの質量を測る。 R = k v nのk, nを実験データと比較し求める(1) 1.ワークシートを開き、測定した質量の値を入れる(0.35g )。 2. n=1からはじめる。適当なkの値を入れて計算し、終端速度の 計算値を求める。 3.得られた終端速度が実験値と一致したかどうかを比較する 誤差の許容範囲は5%程度とする。 4.一致しない場合は2に戻って新しいkの値で再計算する。 5. これによって得られた理論値と実験値が一致していれば、ここ で使ったkの値は妥当であり、モデルも正しい。もしそうでなけ れば、n=2として2に戻って同じ手順を繰り返す。 R = k v nのk, nを実験データと比較し求める(2) つぎのようにExcelのテーブルに整理し、マドレーヌカッ プの空気抵抗を求める。 ∴R=( )v ( ) ご紹介 スライド19「加速度から速度を計算する」~スライド28「 R = k v nのk, nを 実験データと比較し求める(2) 」の発展的内容につきましては、大阪教育大 学 理科教育講座 越桐國雄教授により「計算機物理学への招待」と題して、 本校で特別講義を実施して頂いた内容をほぼ再現したものです。 平成17年度からは、文科省SSH事業として同講座を高大連携の一環とし てご担当頂き、数学計算プログラムMathematicaを用いて物理学の様々な テーマでコンピュータシミュレーションをご指導頂いております。
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