幼稚部 小学校・中学部総則

第7章 自立活動の改訂
について
徳島県教育委員会
1 ねらい(目標)
個々の幼児(児童生徒)が自立を目指し、
『障害による学習上又は生活上の困難』を主
体的に改善・克服するために必要な知識、技
能、態度及び習慣を養い、もって心身の調和
的発達の基盤を培う。
「障害に基づく種々の困難」を
「障害による学習上又は生活上の困難」に
改訂の要点①
自立活動の内容の見直し
–
障害の重度・重複化、多様化に応じた指導を充
実するため、内容に以下の5項目を追加
•
•
•
•
•
他者とのかかわりの基礎に関すること
他者の意図や感情の理解に関すること
自己の理解と行動の調整に関すること
集団への参加の基礎に関すること
感覚や認知の特性への対応に関すること
第6章特別活動
小学部又は中学部の特別活動の目標、各活動・学校行事の目標及び内容並
びに指導計画の作成と内容の取扱いについては、それぞれ小学校学習指導要領
第6章又は中学校学習指導要領第5章に示すものに準ずるほか、次に示すところ
によるものとする。
1 学級活動においては、適宜他の学級や学年と合併するなどして、少人数からくる
種々の制約を解消し、活発な集団活動が行われるようにする必要があること。
2 児童又は生徒の経験を広めて積極的な態度を養い、社会性や豊かな人間性はぐ
くむために,(略)。
3 知的障害者である児童又は生徒に対する教育を行う特別支援学校において、内
容の指導に当たっては個々の児童又は生徒の知的障害の状態や経験等に応じ
て適切に指導の重点を定め、具体的に指導する必要があること。
•
視覚障害者、聴覚障害者、肢体不自由者又は病弱者である児童生徒に対する教
育を行う特別支援学校において、知的障害を併せ有する児童生徒に対して指導
を行う場合も、同様に配慮することが大切である。
新規
改訂の要点②
自立活動の内容の見直し
・ 新たな区分として「人間関係の形成」を新設
・ これまでの区分の下に設けられていた項目を見
直し、具体的な指導内容がイメージしやすくなるよ
う表現の工夫を行い、6区分26項目に整理
第2 内容の変更点
1 健康の保持
(3)身体各部の状態の理解と養護に関すること
・「損傷」という用語が、身体の状態を表す際、一般的でなくなった。
2 心理的な安定
(2)状況の理解と変化への対応に関すること.
・場面等の状況を理解した上で、適切に対応することをより一層明確にする
ために「状況の変化への対応」を「状況の理解と変化への対応」に改めた。
3 人間関係の形成
(1) 他者とのかかわりの基礎に関すること。
(2) 他者の意図や感情の理解に関すること。
(3) 自己の理解と行動の調整に関すること。
(4) 集団への参加の基礎に関すること。
4 環境の把握
(2) 感覚や認知の特性への対応に関すること。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
改訂の要点③
指導計画作成の手順等を明確化
個別の指導計画の作成についてより一層理解を促すため、
「幼児児童生徒の実態の把握」
「指導の目標(ねらい)の設定」
「具体的な指導内容の設定」
「評価」等についての配慮事項を明確化
・ 自立活動の指導の実践を踏まえた評価を行い、
指導の改善に生かすことを新たに規定(1)
・ 具体的な指導内容を設定する際の配慮事項として、
児童生徒自身が活動しやすいように環境を整えてい
くことを新たに規定(2)
指導計画の作成手順
2 個別の指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1) 個々の児童又は生徒について、障害の状態,発達や経験の程度、興味・
関心、生活や学習環境などの実態を的確に把握すること。
(2) 実態把握に基づき長期的及び短期的な観点から指導の目標を設定しそ
れらを達成するために必要な指導内容を段階的に取り上げること。
(3) 具体的に指導内容を設定する際には、以下の点を考慮すること。
(4) 児童又は生徒の学習の状況や結果を適切に評価し、個別の指導計画や
具体的な指導の改善に生かすよう努めること。
新規
(1)は(4)
具体的な指導内容を設定する際の配慮事項
(3) 具体的に指導内容を設定する際には、以下の点を考慮する。
新規
ア 生徒が興味をもって主体的に取り組み、成就感を味わうとともに自己を
肯定的にとらえることができるような指導内容を取り上げること。
イ 児童又は生徒が、障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服し
ようとする意欲を高めることができるような指導内容を重点的に取り上げ
ること。
ウ 個々の生徒の発達の進んでいる側面を更に伸ばすことによって,遅れて
いる側面を補うことができるような指導内容も取り上げること。
エ 個々の児童又は生徒が、活動しやすいように自ら環境を整えたり、必要
に応じて周囲の人に支援を求めたりすることができるような指導内容も計
画的に取り上げること。
(2)がエ
新規
自立活動の指導と指導の基本
教育課程説明資料
○ 「自立活動の意義と指導の基本」を新設
・特別支援学校の教員はもちろん
・小・中学校等の教員が適切な理解を図るため
新規
○ 自立活動の内容の各項目の解説を整理
① この項目について、
② 具体的指導内容例と留意点
・ 具体的な指導内容例を充実
③ 他の項目との関連例に分けて解説
・ 他の項目と関連付けて設定する指導内容を例示
1 自立活動の意義
(1) 自立活動とは
特別支援学校には、学校教育法施行令第22条の3に該当する幼児
児童生徒が在学している。こうした障害のある幼児児童生徒を対象とし
て、幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び中等教育学校( 以下「小・
中学校等」という) と同様に、 学校の教育活動全体を通じて、幼児児童
生徒の人間として調和のとれた育成を目指している。
障害のある幼児児童生徒の場合は、その障害によって、日常生活や
学習場面において様々なつまずきや困難が生じることから、小・中学校
等の幼児児童生徒と同じように心身の発達の段階等を考慮して教育す
るだけでは十分とは言えない。そこで、個々の障害による学習上又は生
活上の困難を改善・克服するための指導が必要となる。このため、特別
支援学校においては、小・中学校等と同様の各教科等のほかに、特に
「自立活動」の領域を設定し、その指導を行うことによって、幼児児童生
徒の人間として調和のとれた育成を目指しているのである。
(2) 自立活動の教育課程上の位置付け
自立活動は、特別支援学校の教育課程において特別に設
けられた指導領域である。
この自立活動は、授業時間を特設して行う自立活動の時間
における指導を中心とし、各教科等の指導においても、自立
活動の指導と密接な関連を図って行われなければな らない。
このように自立活動は障害のある幼児児童生徒の教育に
おいて教育課程上重要な位置を占めていると言える。
自立活動の指導の基本
(1) 自立活動の指導の特色
自立活動の指導は、個々の幼児児童生徒が自立を目
指し、障害による学習上又は生活上の困難を主体的に
改善・克服しようとする取組を促す教育活動であり、個々
の幼児児童生徒の障害の状態や発達の段階等に即して
指導を行うことが基本である。
自立活動の指導計画は個別に作成されることが基本
であり、最初から集団で指導することを前提とするもので
はない点に十分留意することが重要である。
(2) 自立活動の内容とその取扱いについて
ア 学習指導要領等に示す自立活動の内容
学習指導要領等に示す自立活動の「内容」は,個々の幼
児児童生徒に設定される具体的な「指導内容」の要素となる
ものである。したがって、具体的な指導内容は、個々の幼児
児童生徒の障害の状態や発達の程度等の的確な把握に基
づき、自立を目指して設定される指導の目標を達成するため
に、学習指導要領等に示されている「内容」の中から必要な
項目を選定し、それらを相互に関連付けて設定することが重
要である。
(2) 自立活動の内容とその取扱いについて
イ 自立活動の内容の考え方
学習指導要領等の自立活動の「内容」には,たくさ
んの具体的な指導内容から、人間としての基本的な
行動を遂行するために必要な要素と障害による学習
上又は生活上の困難を改善・克服するために必要な
要素を抽出し、それらの中から代表的な要素を「項
目」として示しているのである。
• 今回は、6区分26項目
(3)自立活動の指導の進め方
個別の指導計画に基づく指導は、計画(Plan)-実践(Do)- 評価
(Check)- 改善( A c t i o n )の過程で進められる。
第一に、個別の指導計画の作成に当たっては、個々の幼児児童生
徒に関する様々な情報の中から必要な情報を選択して的確に実態を把
握し、それに基づいて指導の目標や具体的な指導内容等を設定するこ
とが大切である。
第二に、個別の指導計画に基づいて行われた指導については、適切
な評価の下に改善を図ることが大切である。
指導の効果を評価するだけでなく、計画の妥当性についても詳細な
検討を行う必要がある。その際、指導の効果を適切かつ多面的に判断
するため、自立活動の指導の担当者だけでなく、各教科等の指導にか
かわっている教師間の協力の下に評価を行うとともに、必要に応じて、
外部の専門家や保護者等との連携を図っていくことも大切である。
障害のとらえ方と自立活動
ICFの考え方が広く浸透しつつあることを踏まえ、今後の
自立活動の指導においては、生活機能や障害、環境因子等
をより的確に把握し,相互の関連性についても十分考慮する
ことがこれまで以上に求められている。
自立活動の指導においては、幼児児童生徒が障害による
学習上又は生活上の困難を改善・克服するために必要な知
識・技能等を身に付けることが目標となる。したがって、それ
につながるように個々の幼児児童生徒の実態に応じて環境
を整えつつ、指導内容・方法の創意工夫に努め、幼児児童生
徒の自立と社会参加の質の向上につながる指導を進めるこ
とが大切である。