協働型日本語教育研究者の 養成プログラム

有対動詞の自動詞・他動詞・受身の
選択
名古屋大学
杉村 泰
はじめに
このたび私は結婚することになりました。
?しました。
↓
日本語では自動詞が好まれる。
アンケート
格助詞と動詞の同時選択
(例)
風でドア(が/を)バタンと(開いた/開けた/開けられた)。
被験者
日本語母語話者
名古屋大学学部生(114人)(2012年5月)
上級日本語学習者
中国語母語話者:湖南大学3年生(58人)(2012年5月)
韓国語母語話者:韓国国際大学、釜山外国語大学、ソウル女子大学
の学生(N1合格者38人)(2012年9月,2013年4月)
ウズベク語母語話者:タシケント国立法科大学の学生、ウズベキスタン
の先生(N1合格者6人)(2012年7月)
①対象の内発的変化
①対象の内発的変化1
①対象の内発的変化1
①対象の内発的変化1
①対象の内発的変化1
①対象の内発的変化1
①対象の内発的変化2
②無情物の非意図的な作用
による対象の変化
②無情物の非意図的な作用1
②無情物の非意図的な作用1
②無情物の非意図的な作用1
②無情物の非意図的な作用1
②無情物の非意図的な作用1
②無情物の非意図的な作用2
③無情物による被害や
迷惑の意味
③無情物による被害や迷惑1
③無情物による被害や迷惑2
④対象の状態描写
(動作主不特定)
④対象の状態描写(動作主不特定)1
④対象の状態描写(動作主不特定)2
⑤対象の状態描写
(動作主特定)
⑤対象の状態描写(動作主特定)1
⑤対象の状態描写(動作主特定)2
参考:被害の意味を伴う場合
⑤対象の状態描写(動作主特定)3
⑤対象の状態描写(動作主特定)4
⑥対象の変化
重要!
⑥対象の変化1
⑥対象の変化1
⑥対象の変化2
⑥対象の変化2
⑥対象の変化3
⑥対象の変化3
⑥対象の変化4
⑥対象の変化4
学習者と日本人の感覚の違い
学習者:肉を焼いた (他動詞)
日本人:肉が焼けた (自動詞)
・肉を火にかける → 火による肉の化学変化
(人為作用)
(自然作用)
学習者:お茶を入れた (他動詞)
日本人:お茶を入れた (他動詞)、お茶が入った (自動詞)
・茶葉をお湯に浸す → お湯によるお茶エキスの抽出
(人為作用)
(自然作用)
動作主の意図性が強い
(誰か/何かのために)
動作主の意図性が弱い
(動作主を背景化)
学習者と日本人の感覚の違い
学習者:問題を解く (他動詞)
日本人:問題が解ける (自動詞)
・問題の思考 → 思考の熟成
(人為作用)
(自然作用)
「結婚すること
になりました」
も同じ
学習者:メニューを決める (他動詞)
日本人:メニューが決まる (自動詞)
・意見表出 → 意見統一までの成り行き
(人為作用)
(自然作用)
動作主の意図性が強い
(独断的な感じがする)
動作主の意図性が弱い
(独断的ではない)
学習者と日本人の感覚の違い
※次の場合は学習者・日本人ともに他動詞が選ばれる
学習者:ケーキを切った (他動詞)
日本人:ケーキを切った (他動詞)
・ケーキを切る → ?
(人為作用) (自然作用)
この場合、「ケーキが切れた」は自動詞ではなく可能の意味
になる。
⑪意図的行為による
対象の変化
⑪意図的行為による対象の変化1
⑪意図的行為による対象の変化2
謝謝、ありがとう
2014年度広東外語外貿大学南国商学院・名古屋大学中日言語文
化講演会
2014年3月9日(日)
於広東外語外貿大学南国商学院
「有対動詞の自動詞・他動詞・受身の選択」
杉村 泰