PowerPoint プレゼンテーション

精神腫瘍学の基本教育のための都道府県指導者研修会(2007.10.14)
サバイバーシップとサポートグループ
岡 村
仁
広島大学大学院保健学研究科
心身機能生活制御科学講座
精神機能制御科学研究室
1
2
がんの臨床経過と心理・社会的介入の機会
(サバイバーシップ)
がん
再発
積極治
療中止
Q
O
L
心理的
衝撃
がんの診断
再発の診断
心理・社会的介入
緩和医療
への移行
心理的
負担
倦怠感
呼吸困難感
痛み・嘔吐
3
サイコオンコロジーにおける心理・社会的介入の位置づけ
<サイコオンコロジーの基本モデル>
がん
がん治療
QOL
生存
心理・社会・行動学的要因
性格,コーピングスタイル,感情状態,
ライフイベント,死別,宗教,
疾患関連行動,医師−患者関係,
家族/友人,ソーシャルサポート
心理・社会的介入
がん患者への心理・社会的介入
1. 教育的介入(パンフレットなど)
1) がんやがん治療などの医学情報
2) 不安、不確実感、無力感への対処法など心理学的情報
2. 精神療法
1) 支持的 2) 実存的 3) 精神力動的 4) 危機介入
3. 認知行動療法
1) 認知療法
2) コーピング技術
3) 行動療法(漸進的筋弛緩法など)
4. グループ療法
5. その他
芸術療法, 音楽療法, 代替療法など
4
5
がん患者に対する心理・社会的介入の効果①
ー45の無作為比較対照試験のメタアナリシスー
評価項目
研究数
参加者数
効果量
95%信頼区間
感情
41
2,840
0.24
0.17 - 0.32
機能
16
940
0.19
0.06 - 0.32
身体状態
28
1,606
0.26
0.16 - 0.37
医学データ
5
232
0.17
-0.10 - 0.44
総合的評価
5
373
0.28
0.08 - 0.49
(Meyer, et al: Health Psychol 14: 101, 1995)
がん患者に対する心理・社会的介入の効果②
6
627論文を系統的レビュー
介入試験:271報
無作為化比較試験:155報
Goodと評価:1報
内容的妥当性に関して評価可能:5報
不安
抑うつ
怒り
QOL
音楽療法(Tentative recommendation:1つの臨床試験による)
推奨されるもの(-)
推奨されるもの(-)
カウンセリング,誘導イメージ療法
(Tentative recommendation:1つまたは2つの臨床試験による)
コーピング
生存
グループ療法(Tentative recommendation:1つの臨床試験による)
推奨されるもの(-)
(Newell, et al: J Natl Cancer Inst 94: 558, 2002)
グループアプローチ
●
種類
認知-行動的
支持-感情表出的
●
介入期間
短期(1~3ヶ月)
長期(1年前後)
●
構成
教育(ストレス対処法や問題解決法など)
グループ討論
漸進的筋弛緩法
(Progressive Muscle Relaxation : PMR)
7
グループ療法の治療的因子(Yalom)
8
:他者の成熟が自分の成熟の希望になること
:他者も自分と同じ問題をかかえていることを知って
● 普遍性
安心すること
:他者からの助言や指示によって生活や行動の変
● 情報の伝達
容が促されること
:他者に役立つこと
● 愛他主義
● 社会適応技術の発達 :基本的な社会生活を学習すること
:他者の行動様式を観察し真似ること
● 模倣行動
:強く深い感情を表出し感情的安堵感を得ること
● カタルシス
:育成期の初期の葛藤が修正的に繰り返されること
● 初期家族関係の
修正的繰り返し
:人生や生活の限界に直面し引き受けること
● 実存的因子
:グループやグループメンバーの魅力に気付き意味
● グループの凝集性
ある関係を形成すること
:対人的相互作用を探求すること
● 対人学習
● 希望をもたらすこと
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がん患者へのグループアプローチ (1)
内 容 :毎週1回,1回90分,1年間,支持ー感情表出的
対 象 :転移性乳がん患者
評価項目:感情 Profile of Mood States (POMS)
方 法 :無作為化比較試験
結 果 : POMS - TMD
●
30
得 20
点
10
●
●
対照群(n=24)
**
●
●
●
介入群(n=34)
●
**p<0.01
介入
0
Baseline
100
●
200
300
日
(Spiegel, et al: Arch Gen Psychiatry 38: 527, 1981)
がん患者へのグループアプローチ (2)
10
評価項目:生存
週1回/90分間のグループ療法を1年間
(Spiegel et al, Lancet 2: 888, 1989)
11
がん患者へのグループアプローチ (3)
内 容 :毎週1回,1回90分,6週間,認知-行動的
対 象 :悪性黒色腫患者
評価項目:感情 Profile of Mood States (POMS)
方 法 :無作為化比較試験
結 果 : POMS - TMD
60
得 40
点
●
●
対照群(n=28)
*
●
●
介入群(n=38)
20
介入
0
Baseline
6週
●
**
●
*p<0.05
**p<0.01
6ヵ月
(Fawzy, et al: Arch Gen Psychiatry 50: 681, 1993)
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がん患者へのグループアプローチ -追試- (1)
週1回/90分間のグループ療法を1年以上
(Spiegel model)
N = 235
(Goodwin et al, N Engl J Med 345: 1719, 2001)
13
がん患者へのグループアプローチ -追試- (2)
(Goodwin et al, N Engl J Med 345: 1719, 2001)
14
まとめ
● がん患者に対する心理・社会的介入として,グループ
アプローチが最も多く用いられている。
● その心理的効果は一部に認められるが,効果の持続
性は短期間にとどまる。
● 生存期間の延長をもたらすという有力な証拠はない。
サポート内容を含め,より良質なデザインを
用いた臨床試験の蓄積が必要。