ビジネスパターンに基づく クラウドシステムのサービスレベル

湯浦研究室
70911086
宮本 佳奈
1. 背景・目的
-ITサービスマネジメントの意義
-SLAの概要
-SLAの問題点
-研究の目的
2. ビジネスパターン別SLAモデル
-ビジネスパターン別SLA概要
3. 会計システムにおけるビジネスパターン別SLA設定
-ビジネスパターン別SLAの設定手法
-システムモデルの定義
-ビジネスパターン別SLAの位置づけ
-データ特性
-ソフトウェアSLO項目表の設定
-業務活動SLO項目表の設定
4. 評価
-専門家による評価
5. 結論
-結論
-今後の課題
・ITサービスマネジメントの意義
近年のIT技術の発展により、複雑で大規模なシステムが仮想化され運用されて
いる。さらに、クラウドサービスに対する社会のニーズが高まっているなかで、IT
サービスマネジメント(システムの品質の向上・改善に関する活動)が重要となっ
てきている。
・SLA概要
「民間向けITシステムのSLAガイドライン」 JEITA(電子情報技術産業協会)
JEITAが提唱。ITサービスの価値を定義し、有効活用するためのガイドライン
*3つのサービスカテゴリーに分類
※SLA (Service Level Agreement)
*サービスレベル項目を8つの特性に区分・整理
可用性
確実性(期間)
機密性
性能(応対性)
完全性
拡張性
信頼性
保守性
8つのサービスレベル項目
ITサー
ビス
ITプロ
セスマ
ネジメン
ト
ITリソース
3つのサービスカテゴリー

ITサービスマネジメントの問題点
現在のSLAは技術的要素をマネジメントしている。
PaaSでは技術的要素でサービスマネジメントが可能である。
⇒PaaS提供範囲を現在のSLAでカバーできている。
業務アプリケーション
提
供
範
囲
DB/開発環境
ソフトウェア
ハードウェア
データセンタ
PaaS、SaaS提供範囲
技術要素のみではなく、
業務要件に即したビジネスパターン別SLA設定の提案
SaaS
目的
運用
PaaS
一方、今後の発展が期待されているSaaS提供範
囲に含まれている、運用、業務アプリケーションは
業務内容に依存するため、SLAでカバーできてい
ない。
⇒SaaSを評価するには、業務要素を評価する
新しいSLAが必要
提
供
範
囲

ビジネスパターン別SLA対象範囲
*技術要件SLO項目表(JEITA作成、従来のSLA)
技術要件(データセンタ~開発環境)
*ソフトウェアSLO項目表
業務要件(ITサービス利用者が使うソフトウェア)
*業務活動SLO項目表
業務要件(ソフトウェアとIT
サービス利用者が関わる業務)
ビジネスパターン別SLA対象範囲
1. システムモデルを定義
2. ソフトウェアの効率性に関
する要件を設定
3. ソフトウェアの機能性及
び利用性に関するSLO設定
4. 人が関わる業務サービス
の品質に関するSLOの設定
業務プロセスを定義、および最少業務単位まで分類し、
その業務に必要なデータ一覧を作成する。
最少業務単位に対して、業務の処理特性および時間
効率要件の設定
ISO9126 ソフトウェア品質特性を利用し、ソフトウェア
の動作に連動する人の活動に関する要件の評価
評価項目→合目的性、正確性、相互運用性、利用性
ソフトウェアと人が関わる業務サービスの品質の評価。
評価項目→スピード、リスク、正確性
•
システムモデルの定義
会計業務を大分類、会社機能、中分類、小分
類の階層構造に分類する
各小分類に対して、小分類の業務を実現する
ための業務フロー図を作成。
桃色
会計システムにデータ参照を
行う業務
空色
会計システムを利用してデータ
作成を行う業務
黄色
企業によって対応が分かれる業務
会計モデル構成図
(約100枚作成)
小小分類プロセス群とデータの参照/作成

データ整理
必要なデータを小小分類ごとにまとめ、一覧にする

処理特性、および効率性に関する機能要件の設定
処理特性 : 一覧出力、対話型、バッチ
効率性 : 即時、短時間、長時間
債務・債権管理プロセスにおけるデータ一覧図
1. システムモデルを定義
業務プロセスを定義、および最少業務単位まで分類し、
その業務に必要なデータ一覧を作成する。
2. ソフトウェアの効率性に関
する要件を設定
最少業務単位に対して、業務の処理特性および時間
効率要件の設定
3. ソフトウェアの機能性及
び利用性に関するSLO設定
ISO9126 ソフトウェア品質特性を利用して評価
評価項目→合目的性、正確性、相互運用性、利用性
ソフトウェアSLO項目表を作成
4. 人が関わる業務サービス
の品質に関するSLOの設定
ソフトウェアと人が関わる業務サービスの品質の評価。
評価項目→スピード、リスク、正確性
業務活動SLO項目表を作成
*システムモデル
対象システムの業務をモデル化したもの
◎プロセスモデル
対象システムの業務プロセスをまとめたもの
◎データモデル
業務データを一覧にまとめ、業務属性ごとに分類
*サービスレベルモデル
◎業務活動SLO項目表
プロセスモデルを元に業務に対するSLOを設定したもの
◎ソフトウェアSLO項目表
プロセスモデルとデータモデルを元に
ソフトウェア品質特性を利用してSLOを
設定したもの
◎技術依存部
データモデルとJEITAのSLA項目表を
元にSLOを設定したもの
ビジネスパターン別SLAモデルの構成

ソフトウェアSLO項目表の設定
設定対象:ソフトウェア
評価項目:合目的性、正確性、相互運用性、利用性 (ISO9126 ソフトウェア品
質特性)
販売プロセスにおけるソフトウェアSLO項目表

ソフトウェアSLO項目表の設定
設定対象:ソフトウェア
評価項目:合目的性、正確性、相互運用性、利用性 (ISO9126 ソフトウェア品
質特性)
販売プロセスにおけるソフトウェアSLO項目表

業務活動SLO項目表の設定
設定対象:ソフトウェアと人が関わる業務サービス
評価項目:正確性、スピード、リスク
販売プロセスにおける業務活動SLO項目表

業務活動SLO項目表の設定
設定対象:ソフトウェアと人が関わる業務サービス
評価項目:正確性、スピード、リスク
販売プロセスにおける業務活動SLO項目表

会計の専門家及び会計システムの専門家の評価
評価できる点
・SLAの適応範囲を業務面にまで拡張してマネジメントを行っている点
問題点
・データ内容はシステムや内部構造に依存するため、パッケージごとに
設定する必要がある
改善点
・対象業務の幅(範囲)、バリエーションモデル、応用事例の範囲にまで
広げるとニーズが高まる。

結論
ビジネスパターン別SLAによって、業務に対して個々の能力に頼っていた部
分(ITサービス)のマネジメントをおこなうことが可能である
しかし、ITサービスは業務によって異なるため、さらなる調査が必要

今後の課題
*株式会社TOKAIコミュニケーションズのシステムに適応をおこなう
*ビジネスパターン別SLAの検討
・販売プロセス以外のプロセスにおいてSLOの設定を行う
・SLOのレベル設定において妥当性の検討を行う
*ビジネスパターン別SLAを様々なサービスに適応
・SLO項目表の設定を企業形態を考慮して行う
ご清聴ありがとうございました