保健・衛生法規 法医学・医事法第22回-2 母子保健法 (1)市町村の役割 - 基本的サ-ビス 保健指導(10)、新生児訪問指導(11)、1歳6か月児・3歳 児の健康診査(12)、妊産婦及び乳幼児の健康診査(13)、 母子健康手帳の交付(16)、妊産婦の訪問指導(17)、母子 健康センタ-設置努力(22) (2)都道府県 - 専門的サ-ビス 未熟児の訪問指導(19)、不妊専門相談(北海道は旭医、 札幌市は札幌市民のみ対象) (3)保健所 未熟児養育医療(29) (4)親 妊娠の届出(15)、低体重児(2,500g未満)の届出(18)、 重要な用語の定義 □未成年:20歳未満の者(民法4&5) □児童:18歳未満の者(児童福祉4) □乳児:1歳に満たないもの □幼児:満1歳から小学校就学の始期に達するまでの者 □新生児:出生後28日を経過しない乳児 □未熟児:身体の発育が未熟のまま出生した乳児であって、 正常児が有する諸機能を得るに至るまでのもの (以上、母子保健法6) □低体重児:体重が2,500g未満の乳児の出生 →都道府県or保健所に親に届け出義務(母子18) 母子健康手帳 □母子保健法に根拠(16) □妊娠した者の届出(15:任意) □交付は市町村 □≠医師の診断 □記載は誰でも □記載項目→施行規則で規定 母体保護法 (1)1996(平成8)年「優生保護法」を改正 (2)定義 不妊手術:生殖線を除去せずに生殖を不能にする手術 人工妊娠中絶:胎児が母体外で生命を保続することができない時 期に胎児とその付属物を母体外に排出する手術 (3)時期 人工妊娠中絶は妊娠満22週未満(厚生事務次官通達) (4)人工妊娠中絶の適応:①妊娠の継続又は分娩が身体的または 経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの ②暴行若しくは脅迫によって又は抵抗若しくは拒絶することのでき ない間に姦淫されて妊娠したもの (5)本人および配偶者の同意が必要 (6)資格 受胎調節の実地指導:都道府県知事の指定 人工妊娠中絶:都道府県医師会の指定医 (7)届出 不妊手術および人工妊娠中絶は、翌月10日までに都道 府県知事に (3)死産証書又は死胎検案書 医師または助産師が作成、記名/捺印 (4)死産の届け出順 ①父 ②母 ③同居人 ④死産に立ち会った医師 ⑤死産に立ち会った助産師 ⑥その他の 死産の取り扱いに関する規定 (1)定義 死産:妊娠満12週(第4月)以降の 死児の出産 死児:出産後において、心臓拍動、随意筋の運動及び 呼吸のいづれをも認めないもの (2)分類 ・人工死産:母体内生存が確実なときに人工的な処 置を加えたことにより死産に至った場合 ・自然死産:人工死産以外のすべて、人工的処置を 加えた場合でも、次のものは自然死産とする。① 胎児を出生させることを目的とした場合、②母体 内の胎児が生死不明か、または死亡している場合 人工妊娠中絶と死産 死産届 人工妊娠中絶施行 中絶届 時期 (母体保護法統計) (死産の届出に関 する規定に基づく統 計) 妊娠12週未満 (約95%) ○ - 妊娠12週以上22 週未満 (約5%) ○ ○ 乳幼児対象の公費医療制度 医療制度 未熟児養 育医療 自立支援 医療 (育成医 療) 結核児童 療育医療 小児慢性 特定疾患 根拠法令 母子保健 法(20) 障害者自 立支援法 (52,58) 児童福祉 法(20) 児童福祉 法(21-5) 対象 身体の発 育が未熟 のまま出生 した乳児 身体障害 結核児童 児 先天的な 心臓病など 小児がん などのいわ ゆる難病/ 難治疾患 子育て支援事業 児童福祉法2009年改正により法定化 ・放課後児童健全育成 ・乳児家庭全戸訪問(こんにちは赤ちゃん事 業) ・養育支援訪問:全戸訪問で要支援児童を把 握した場合 ・地域子育て支援拠点 ・一時預かり ・家庭的保育事業(保育ママ制度) 児童に関する法体系 □母子保健法:児の定義、母子手帳、養育医 療 □児童福祉法:児童相談所、療育給付 □児童虐待防止法:通報先:児童相談所 □少子化対策推進基本法(2003・H15年施行) □次世代育成支援対策推進法(20005・H17年 から10年間の時限立法 児童虐待防止法 (H21年改正施行) □児童虐待の種類(2) 身体、心理(児童の目前でのDV含む)、性的、 ネグレクト、同居者による虐待含む □医師に早期発見義務(5) □通告先:児童相談所、福祉事務所、自治体(6) □通報後:出頭要求、立ち入り調査、臨検、捜査、 教育・警察との協力(8~9) □一時保護(11):乳児院、児童養護施設 出産・育児に関する制度 ・産前、産後休業 - 労働基準法 ・育児休業 - 育児・介護休業法 出産・育児に関する給付制度 給付制度 出産育児一 時金 出産手当金 育児休業給 付金 根拠法令 健康保険法 国民健康保 険法 健康保険法 雇用保険法 対象 出産する被保 出産のため 育児休業者 険者、その被 休業する被保 への所得補 扶養者 険者 償 地域保健法 (1)設置 都道府県、指定都市、中核市、特 別区 (2)業務 人口動態統計、医事、薬事、歯科 保健、精神保健、エイズ等感染症等 医療法25条に定める医療監視 (3)所長 3年以上公衆衛生の実務に従事し た経験のある医師(施行令4条) (4)市町村保健センタ- センタ-長≠医師 精神保健福祉法 (1)沿革 1950(昭25) 精神衛生法・・・・私宅監置 (相馬事件)の廃止 1987(昭62) 精神保健法 1995(平7) 精神保健福祉法 1997(平9) 精神保健福祉士(PSW)法 「福祉」に重点 (2)精神保健指定医(18) 厚生労働大臣が指定、5年毎に研修 ・5年以上診療、3年以上精神障害 ・厚労大臣の指定する精神障害 ・研修修了 (3)精神医療審査会(12) 都道府県、医療保護入院、措置入院、患者の 処遇改善について審査 (4)精神障害者保健福祉手帳(45) 都道府県知事交付、取得は任意 *精神通院公費:障害者自立支援法に根拠を有 する障害者自立支援医療 入院類型 入院類型 入院の要件 権 限 割 病院管理者(≠ 患者) 60.2% 任意入院 患者の同意 医療保護入院 保護者の同意 精神保健指定医1 名の診断 保護者の同意×(1 病院管理者 名、72時間以内、 知事届出) 応急入院 措置入院 緊急措置入院 自傷他外の恐れ 精神保健指定医2 名の診断 1名の精神保健指 定医の診断 知事 合 38.6% 0.6% 各種統計 (1)1日平均患者数 ・入院 75908人↓ ・外来 56597人↑ (2)患者構成割合 ・入院 統合失調症>認知症>気分障害 ・外来 気分障害>神経性障害>統合失調症 (3)病床 ・病床数 34.7万床台(やや↓) ・平均在院日数301.0日(一般18.2日、全体 30.7日) (『動向12/13』より) 精神障害者保健福祉施設 ・保健所 精神保健福祉の第一線 ・精神保健福祉センタ- 都道府県・指定都市 に設置、研究・相談・広報等≠治療 ・精神障害者社会復帰施設:居住(援護寮、福 祉ホ-ム)、授産(入所&通所)、雇用(福祉 工場) 精神保健対策 (1)居宅支援事業:地域生活や在宅生活の援 助 ← 障害者自立支援法 ホームヘルプサ-ビス、ショ-トステイ、グ ル-プホ-ム(4名以上) (2)発達障害者支援:早期発見、支援援助 ←発達障害者支援法(2005年~) (3)精神科デイケア、ナイトケア ←診療報酬 自殺対策 疫学:平成10年以降年間3万人以上、男35.9>女14.4、人口10万人あたり の自殺死亡率=24.9、世界6位、原因:健康問題(64.9%)>経済・生活問 題(34.3%)>家庭問題(16.9%) (平成23年度自殺対策白書) 2006年 自殺対策基本法 2007年 自殺総合対策大綱(閣議決定) □基本認識:①自殺は追い込まれた末の死、②自殺は防ぐことができる、 ③自殺を考えている人はサインを発している、④社会的要因も踏まえ総 合的に取り組む □うつ病の早期発見・治療 →かかりつけ医をゲ-トキ-パ-として養成 □国民一人ひとりの気づきと見守り →市民ゲ-トキ-パ-の養成(内閣 府HP) 心神喪失者医療観察法 ・問題の所在:刑法第39条 心神喪失者の行為は 罰しない →刑罰を科し得ない犯罪者の矯正をどうするか □2005年「心神喪失者等医療観察法」施行 ・重大な他害行為を行った心神喪失者・耕弱者を 対象 ・裁判官と医師との合議により処遇を決定 ・厚労大臣指定の医療機関にて入院治療 ・退院後は法務省所管の保護観察所に所属する 社会復帰調整官の作成した処遇計画に基づく 犯罪被害者支援 昭和55(1980)年 犯罪被害者給付金支給法 (いわゆる通り魔犯罪被害者対策) 平成16(2004)年 犯罪被害者等基本法 平成23(2011)年 第2次犯罪被害者等基本計画 (内閣府) □医学部におけるPTSD等の精神被害に関する 教育の推進 ↓ 犯罪被害の症例に関してPTSDの診断を下せるか どうかの出題の可能性がある 感染症法の類似概念の整理 □1~5類感染症(第12条) 感染力、罹患した場合の重篤性等に基づく総合的判断 □特定病原体(第6条) 病原体=感染症の病原体及び毒素 1種~4種病原体 ≠ 1類~4類感染症 □特定感染症(第11条) →指針作成、公表 感染症のうち、特に総合的に予防のための施策を推進す る必要のあるもの: インフルエンザ、結核、AIDS,性器クラミジア感染症、性器 ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジロ-マ、梅毒、淋菌 感染症、麻しん 感染成立の3大因子と法律 (1)感染源対策 - 感染症法 検疫法 学校保健安全法 (2)感染経路対策 - 感染症法 食品衛生法 (3)感受性対策 - 予防接種法 出題が予想される感染症 □結核 - 2類(*予防接種法上は1類疾病) □腸管出血性大腸菌感染症 - 3類(←2類か ら) □先天性風しん症候群 - 5類全数 □AIDS - 5類全数 □バンコマイシン腸球菌 - 5類全数 □インフルエンザ - 5類定点 □メチシリン耐性・ペニシリン耐性・薬剤耐性 - 5類定点 検疫法(2011年改正法施行) 第2条 検疫感染症 ①感染症法の1類感染:エボラ出血熱、クリ ミア・コンゴ出血熱、痘そう(天然痘)、南米 出血熱、ペスト、マ-ルブルグ病、ラッサ熱 ②新型インフルエンザ等感染症、 ③政令で定めるもの:チクングニア熱、デング 熱、鳥インフルエンザ(H5NI)、マラリア 第15条 隔離=感染症指定医療機関への入院 予防接種法 (1)予防接種を行う疾病(第2条) 1類疾病(集団予防目的) 8疾患(結核)+痘そう 2類疾病(個人予防目的) インフルエンザ *任意接種公費対象:Hib、肺炎球菌、HPV、 (2)実施主体 定期:市町村(第3条)、臨時:知事 (第6条) (3)不適当者、接種要注意者(第7条) (4)健康被害補償 医療費、死亡一時金等は公費 負担(第11~18条) 食品衛生法 (1)医師の食中毒患者またはその死体の検案の届出(第58 条) 24時間以内に最寄りの保健所に、疑い含む (2)死体の解剖 知事、保健所を設置する市の長は遺族 の同意を得て解剖(第59~61条) *食品安全基本法 → 出題の可能性低い *保健機能食品 → 健康増進法第31条、「厚生労働 省許可 特定保健用食品」の表示 *特別用途食品 → 健康増進法第26条、内閣総理大 臣の許可、腎障害患者、嚥下困難者、幼児等の特別の 用途に供する食品 労働衛生法規 ・労働基準法 産前6週間、産後8週間の就 業禁止、15歳未満の就業禁止 ・労働者災害補償保険法 業務上疾病に対す る療養補償・休業補償等 ・労働安全衛生法 産業医制度 ・じん肺法 粉じんの吸引による肺疾患の予防及 び健康管理を目的 ・アスベスト被害 石綿被害救済法(2006年施行、 2008年改正)、石綿を原因とする中皮腫、 肺疾患に対する医療費、特別遺族弔慰金等を 支給 労働安全衛生法 産業医制度 (1)資格 日医・産業医大の研修修了者、労 働衛生コンサルタンツ (2)選任基準 50:1、3001:2 (3)職務 健康診断、作業環境の管理・改 善等7項目 (4)義務 職場巡視(月1回以上) (5)参画 衛生委員会の法定構成員 (6)健康診断 雇用時(雇用時)、定期(年1回)。特定業 務(配置換え毎、6か月に1回)、特殊健康診断(粉じ ん作業等8項目、配置換え時、6か月に1回) 学校保健安全法(平成20年6月改 正・施行~現在) (1)職種と職務内容 学校の設置者 - 臨時休業 学校長 - 定期・臨時健診の実施 学校保健安全計画の決定、 出席停止 保健主事 - 学校保健・教育の調整 養護教諭 - 学校保健安全計画立案への 参与・運営参画・保健教育 学校医 - 健康診断、職員健康診断 学校薬剤師 - 環境衛生検査(プール等) (2)健康診断 ・就学児-小学校入学予定者全員 *知能検査 ・定期健康診断-幼児、児童、生徒 *基本検査項目は両者共通 *X線検査は、ありそうでない:高1・大1の み 学校感染症対策による出席停止期間 (第19条:学校長による出席停止→学校保健 安全法施行規則平成23年4月1日改正施行) (1)第1種:感染症法の1,2類感染症、新感染症 →治癒するまで (2)第2種:飛沫感染し、学校において流行を広げる可能性の高い感 染症 →感染症毎に:解熱後○日、症状○日 (例)flu:解熱後2日経過するまで (3)第3種:飛沫感染はしないが、学校教育活動による流行を広げる 可能性ある感染症 →学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるま で (例)流行性角結膜炎 (4)その他:感染症法に規定する新型インフルエンザ等感染症、指定 感染症
© Copyright 2024 ExpyDoc